セイコーマートの飯はまずくないぞ!漫画「波よ聞いてくれ」4巻の内容やネタバレ感想

波よ聞いてくれ(4)
波よ聞いてくれ(4)
作品名:波よ聞いてくれ(4)
作者・著者:沙村広明
出版社:講談社
ジャンル:青年マンガ

漫画「波よ聞いてくれ」4巻のあらすじ

4巻である。3巻の紹介の結びで「先輩DJに飲みに誘われたミナレが、軽妙面白トークを展開する中で、どうも先輩の番組にゲストか何かで招かれるらしい」と書いたわけだが、読み進めたら全然違った。

企画書のようなものを手渡すことは手渡すのだが、駆け出しのDJに過ぎないミナレにはどうでもいいような代物であった。

先輩DJは絡み上戸で、公園のベンチで酒を飲みながら、延々とミナレに説教を始める。これがまた長い。そしてタチが悪い。ミナレの出身地(釧路。北海道の中では上から4番目の都市なのだが、日本全体でいうと過疎地に分類される町)の悪口まで並べ立て始める。結局、「この先輩DJ(茅代まどか)とミナレは不倶戴天(ふぐたいてん)の敵同士であるらしい」ということが判明する。

茅代が酔い潰れた後は、大きく二つの物語が、交錯しつつもそれぞれに展開していく。一つは、カレー屋「ボイジャー」と、その店員たちの物語。そしてもう一つは、当然ラジオの話だが、今巻の主なキャラクターは構成作家・久連木克三(くれこ かつみ)である。彼が藻岩山ラジオをやめるとかやめないとか、そういう話が展開される。

波よ聞いてくれ(3)

漫画「波よ聞いてくれ」4巻のネタバレ

くだを巻く茅代とミナレが丁々発止のやり取り(ほぼ喧嘩)をするシーンはいつものこの作品のノリで軽妙なのだが、茅代が酔い潰れたあたりで急に重い話が始まる。

現在のラジオ業界を取り巻く経営とかの面での厳しさにまつわる話である。

有体に言ってしまうと、現代のラジオに構成作家なんてものは要らないし、久連木克三が藻岩山ラジオに居るのは自分のエゴのためだ、みたいなことを茅代は語る。明言はされないが、なんか男女の仲にあるようなことを匂わせつつ。

ところでその久連木が、なんか大きな文学系の賞を取れるかもしれないという話になり、藻岩山ラジオをやめるかもしれない、という話になり、新作のための取材で北海道の僻村を訪れる、という話になる。ミナレと、久連木に憧れ(というか多分恋愛感情)を抱く若いADのお嬢さん、南波瑞穂がそれに同行することになる。

ちなみに久連木という男は50絡みで、ほとんど老人のような佇まいであるが、モテるのである。

一気にラジオ局側の話、一巻分の物語を紹介した。次に語るのはカレー屋の話だが、物語の展開的には前後している。

事故に遭って入院していた店長が戻ってくる。1巻の紹介でちょっとだけ名前を出した城華(たちばな)マキエという女性も、そのままボイジャーで働き続けている。店長は、「ラジオDJの仕事もするけど専業じゃきついのでボイジャーの仕事も続けたい」と主張するミナレに、「今渡した音源を番組中のBGMに使え」という条件でそれを許可する。

ミナレは店長に頭が上がらないので、素直に放送録音中にそれを流すのだが、録音が終わった後に、非常にまずいことが判明する。そのBGM、表面上はただのどうでもいいBGM的な何かなのだが、実はカレー屋ボイジャーの広告がサブリミナル音声として仕込まれていたのである。

ちなみに、日本民間放送連盟の名で、サブリミナル広告は1999年、禁止されている。ミナレは、全力でアドリブをこなしまくった放送を、店長のやらかしのおかげで録り直す羽目になったのであった。

さて、それはそれとして、カレー屋サイドの話の主役は、マキエである。中原忠也と相変わらずいい雰囲気を醸し出しつつ、「自分には夢があるんです」みたいなことをマキエは言い出す。

後で判明するのだが、実はそれは、「ラジオDJになる」という夢であったらしい。というところで、次巻への引きである。

漫画「波よ聞いてくれ」4巻の感想

波よ聞いてくれ(4)

さて。

本編の感想とまったく関係がないのだが、筆者的に重要な話をさせてほしい。

何の話かというとあとがきである。4巻のあとがきに、ネットの評判を読む限りセイコーマート(北海道ローカルコンビニ)の飯はまずいらしい、みたいなことが書いてあるのである。

どうでもいいが、筆者は道民であるので、道民を代表して遺憾の意を表したい。

セイコーマートの飯が格別うまいかと言うと別にそんなにうまくはないが、さりとて酷評されなければならないほどまずくはない。そして安いので、コスパは高いのである。

閑話休題。

3巻までの『波よ聞いてくれ』は、正直なところ勢い任せに怒涛のノリで進んでいく作品であった。4巻では、ようやく、物語の進行が落ち着いてきたように思う。背景に「ラジオ業界というものが抱える闇」のようなものを映しつつ、だいたい配置も定まった感のある登場人物たちの、恋愛模様などが描かれる(ただしミナレは誰とも絡まない)という感じになっている。

ラジオと恋愛(※ただしミナレは除く)の漫画。ようやく、物語は本当の軌道に乗ってきた、というところだろうか。


波よ聞いてくれ(1)

波よ聞いてくれ

原作・著者沙村広明
価格660円(税込)

舞台は北海道サッポロ。主人公の鼓田ミナレは酒場で知り合ったラジオ局員にグチまじりに失恋トークを披露する。すると翌日、録音されていたトークがラジオの生放送で流されてしまった。激高したミナレはラジオ局に突撃するも、ディレクターの口車に乗せられアドリブで自身の恋愛観を叫ぶハメに。この縁でラジオ業界から勧誘されるミナレを中心に、個性あふれる面々の人生が激しく動き出す。まさに、波よ聞いてくれ、なのだ!

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