窒息するほど面白い!漫画「波よ聞いてくれ」3巻の内容やネタバレ感想

波よ聞いてくれ(3)
波よ聞いてくれ(3)
作品名:波よ聞いてくれ(3)
作者・著者:沙村広明
出版社:講談社
ジャンル:青年マンガ

漫画「波よ聞いてくれ」3巻のあらすじ

前巻からの引きで、光雄を埋葬する寸劇を第2回放送として展開する。音響のプロが(録音されている光雄の声を元に)光雄の声そっくりの合成音声を作ったりとか、なんやかんや大がかりな細工があるのだが、ともかくまあ、無事に放送は終わる。

麻藤ディレクターは「光雄とのことも、光雄との過去も、お前自身のためにお前が埋葬しろ」とかなんとかカッコつけていたので、多分光雄はもうこれを最後に出て来ないしネタにも挙げられないのではないかという感じだ。

それより、今巻の主役は、沖進次という青年。ミナレのアパートの、階下の住人である。ミナレが引っ越しをしたときに、引っ越しを手伝った忠也が、たまたま進次と遭遇して気付く。

「あの人、今開いたあの部屋の臭い……あれ、死臭だと思うんですが」

波よ聞いてくれ(2)

漫画「波よ聞いてくれ」3巻のネタバレ

ちなみに進次は1巻にも(名無しのアパート住人としてだが)登場している。飲んだくれたミナレがよく自分の部屋の前で潰れているので、毎度毎度部屋に送り届けていた、という善良かつお人よしな青年である。

この進次から、ラジオ番組『波よ聞いてくれ』宛に、相談の手紙が届くのである。死者に呪われているとかなんとか、オカルトめいていて怪しい内容の手紙が。

で、番組のネタとして、(スタンガン持参で)ご自宅訪問という寸法にあいなる。

進次には行方不明になった恋人というのがいるらしい、という話を本人がする。で、その彼女が死んでいて、自分を呪っているのではないかと悩んでいる。

具体的にどういう呪いかというと、天井裏から死臭のする謎の液体がポタポタ垂れてくる、という割と物理的な呪いである。

妄言かと思いきやそうではない。ミナレと、同行しているADもはっきりとそれを確認する。物理で。で、ミナレが天井裏に上がってみると……

本当に、あった。人間ひとり分くらいの、小分けにされた腐敗した肉塊が。

進次は「俺じゃない!俺は殺していない!」とか言いながら、ガチで警察に連行されていった。

どこまでギアが上がり続けるのだろうか。超展開が止まらない。

ところで3巻は進次が逮捕されて終わりというわけではない。まだ続く。

『波よ聞いてくれ』3回放送に、釈放されてきた進次が臨席している。なぜ簡単に釈放されたのか?天井裏から出た腐乱した肉塊、腐敗が進み過ぎていて警察でも判別がつかず、通報があったということで逮捕してしまったのだが、よく調べてみたらそもそも、人間の死体などではなかったのである。それは、マトンであった。

なぜ天井裏で大量のマトンが腐っていたのか。警察の人も説明する口調が重い。「天上から進んだ先で発見されたということで、我々も誤解してしまいましたが……アパートの見取り図などを分析したところ……あれは、下の部屋から運び込まれたものではなく、上の部屋、つまり鼓田ミナレさんの部屋から落下したものだということが判明しました」

そのマトンは、元々、ミナレがアパートに住み着いたときに実家から持ってきて、床下収納に放り込んだまま忘れていたものだったらしい。

長く放置されすぎて、床下収納の底が破れて1階の屋根裏に落下し、ずっとそこにあったのだという。

要するに、進次には何一つ非はなく、事件の全ての元凶はミナレであった。

放送では、進次の行方不明になった恋人についての尋ね人捜索の話をし、ミナレは筆談で「これで告訴だけは勘弁してください」とかやっている。

漫画「波よ聞いてくれ」3巻の感想

波よ聞いてくれ(3)

端的に感想を書くが、笑い過ぎて窒息するかと思った。

3巻の幕は、先輩DJに飲みに誘われたミナレが、軽妙面白トークを展開する中で、どうも先輩の番組にゲストか何かで招かれるらしい、というところで引きとなる。

ところで1巻では、作者によるあとがきで「恋愛とラジオの漫画」といったようなことが書いてあったのだが、作者はどうやらこれを「恋愛漫画」として成り立たせることを諦めつつあるようである。「カレーとラジオの漫画」とか言い出している。

実際ミナレ、誰ともフラグ立たないし、それらしい男キャラクターも出て来ない。まあ、面白いからいいのだけど。


波よ聞いてくれ(1)

波よ聞いてくれ

原作・著者沙村広明
価格660円(税込)

舞台は北海道サッポロ。主人公の鼓田ミナレは酒場で知り合ったラジオ局員にグチまじりに失恋トークを披露する。すると翌日、録音されていたトークがラジオの生放送で流されてしまった。激高したミナレはラジオ局に突撃するも、ディレクターの口車に乗せられアドリブで自身の恋愛観を叫ぶハメに。この縁でラジオ業界から勧誘されるミナレを中心に、個性あふれる面々の人生が激しく動き出す。まさに、波よ聞いてくれ、なのだ!

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