『天国大魔境』も4巻まで来たが、相変わらず「施設」編の方は謎だらけである。「旅する二人」編の方は、割と順調に進んでいくのも変わらない。
天国大魔境【4巻あらすじ】
6話収録されているのだが、前半3話をかけ、「不滅教団」と呼ばれていた集団の素性は明らかになり、その物語は完全に終息する。残りの3話は施設編に関するエピソードが多い。
天国大魔境【4巻ネタバレ】
まず3巻末、凶悪な怪物にキルコが片腕を食いちぎられた、これは食われた腕を不滅教団とやらにサイボーグ化してもらう流れだな、と思ったのだが違った。腕を食われたと思ったのは幻だったのである。マルは強引にキスをして、キルコに正気を取り戻させる。怪物は殲滅することに成功した。
さて、その場に一人の男が現れる。怪物の亡骸を見て、「死んだのか?本当に?」などとぶつぶつ言っている。なお、前に説明したかわからないが、マル少年には怪物の命の根を断つというか、なんかそんなような能力がある。
男は重ねて言う。
「どうか、もうひとり殺し……救けて欲しい人がいる」。
不滅教団の人間なのかと問い返すと、そう名乗ったことはないがそう呼ばれている、という。二人は手がかりとして不滅教団の宇佐美という人物を探しているのだが、それについて尋ねると「宇佐美は俺だ」という。
宇佐美が二人を連れて行ったのは、ひとりの「患者」らしき人物のところだった。包帯でぐるぐる巻きにされており、四肢が切断されている。そして生命維持装置らしきものに繋がれているのだが、宇佐美によればそれは生命維持装置ではない。機械を止めると、この女性はヒルコになってしまうらしい。装置は、そのヒルコ化を食い止めるためのものである。
宇佐美と女性は恋人同士かなんかだったらしいのだが、宇佐美は女性を怪物化させず、人間として死なせる手段をずっと探していたらしい。機械化の技術を持っていたので、やがて彼らを中心として患者たちのコミュニティが生まれ、それがやがて不滅教団と呼ばれるようになった。宇佐美は先生とか呼ばれているのだが、別に医師ではない。技術者と言った方が近いようだ。
というわけでマル少年が彼女を死なせることになるのだが、一応念のため本人に意思を尋ねると、「最後に空を見たい」という。ベッドをえっちらおっちら移動させて願いを叶えてやり、そして事は済む。
最後に彼女は宇佐美に感謝を伝え、宇佐美はそのあとまもなく、ひそかに拳銃自殺を遂げた。
二人は宇佐美の遺品として、服のボタンを手に入れる。見覚えのある、「キル光線のマーク」のあるボタンである。それを手掛かりに、二人の旅はさらに続く。
旅の途上、地震が起こった。地震は危険であるが、ビルの開かなかった扉が開いたりすることもあるので宝探しのチャンスである。一つの崩れかけたビルをのぞき込むと、そこには先客がいた。めぼしいものはない、見逃してくれ、という。二人を盗賊だと思っているのである。そいつの方が盗賊めいた格好をしているのだが。
さて、男はホラ話を人に聞かせて金をとる芸人であった。服のボタンのマークを示し、何か知らないかと尋ねると、ホラ話を聞いていけ、という。素直にホラ話に金を払っていたのだが、やがてキルコが気づく。この男が車の裏に隠している建物に何かある、と。そこを調べてみると、果たしてビルに「例のマーク」が刻まれていたのであった。
4巻はここまでである。
おっと、施設編についても少しだけ。正直前衛SFみたいになっていてわけがわからないのだが、なんか生徒の一人が「妊娠した」らしい。ふーん。
天国大魔境【4巻の感想】
旅する二人編は相変わらず面白い。施設編は相変わらず訳わからない。ま、安定して続いている作品であるといえよう。
天国大魔境
美しい壁に囲まれた世界で暮らす子供たち。少年・トキオはある日、「外の外に行きたいですか?」というメッセージを受け取る。一方、外では、マルとおねえちゃんがサバイバル生活をしながら、天国を求めて、魔境となった世界を旅している。未来の日本を「あね散歩」。二つの世界を縦横無尽に行き来する、超才・石黒正数最新作、極大スケールでスタート!!
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✅ 天国大魔境【5巻ネタバレ】積年の探し人と再会!?