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漫画「マルドゥック・スクランブル」6巻のあらすじ
6巻。この巻はあらすじだけ書いてしまえば簡単だ。まずマーロウ・ジョン・フィーバーというディーラーと勝負し、バロットが勝って、100万ドルチップの1枚目を手にする。
カジノ側は、ここに至ってアシュレイ・ハーヴェストという最強のディーラーを繰り出してくる。凄腕のイカサマ師が現れた場合であるとか、そういう非常事態にだけ出番がある、店の用心棒のような役回りの男だ。
アシュレイは強い。全てのカードを完璧にコントロールするという、どうやっているのか分からない(ウフコックの能力を以てしても、アシュレイの感情を読み取ることすらできない)テクニックによって、プレイヤーを完全に翻弄する。
では、アシュレイの能力について解説する前に、まず、そもそもブラックジャックというゲームがどういうゲームなのか、から説明していこう。
漫画「マルドゥック・スクランブル」6巻のネタバレ
ブラックジャックのルールの全容やゲームとしての神髄などを論じていくと一冊の本が出来上がってしまう故、手短に説明する。
ブラックジャックは、手札の数を「21」に近づけていくゲームである。最初に配られたカードに対して追加のカードが欲しければ「ヒット」でカードを増やしてもらう。今の手札で勝負すると決めたら「ステイ」。
ディーラーの手札と同数ならドロー、より21に近ければ勝利、22を越えたらバストと言って問答無用で敗北である。
その他の細かいルールや、この漫画のこのカジノ独自のハウスルールなどは無数にあるのだが、最低限話の筋を理解するのに必要なルールだけをもういくつか説明する。
「スプリット」
手札を2つの別の山に分け、それぞれに新しいカードを足していく形でゲームを続けるという宣言。
「ダブルダウン」
掛け金を倍にするという宣言。最後に、
「イーブンマネー」
手札の目の合計が21である場合のみ、配当を2倍に下げる(一般的に、21の目が出た場合は配当が3倍や4倍などに増える)代わりに、確実に配当を受け取れる、というルールである。
ちなみにここで筆者が書いていることを覚えても、現実のカジノでブラックジャックをする役にはあまり立たないので念のため。
さて、まずマーロウ・ジョン・フィーバーとの勝負から説明しよう。マーロウは心理戦の達人である。客をおだてて、気持ちよく負けさせて金を巻き上げる。後は、10のカード(プレイヤーにとって有利になるので、ディーラーにはありがたくない)の位置をある程度まで操作できる。
バロットは、マーロウが10のカードを1か所に固めたのを狙い、逆にそれを利用して、必ず次に10が出てくると予測できる局面を作り上げ、その状況でスプリットを繰り返し、大勝利を収めた。
そしてアシュレイとの勝負。アシュレイは、どうやってるのかは説明されずじまいだが、おそらくカードのほとんどすべての出目を完璧にコントロールしているか、それに近いことができる。で、「延々とすべてのゲームをドローにする」ということを繰り返して、バロットを挑発する。
バロットは針の穴を射抜くようにしてアシュレイの手の隙を突き、まず手持ちの100万ドルチップを倍にする。
そして次が最後の勝負だ。まずベットは100万ドル。バロットはそれをダブルダウンする。出た手は、7が3枚。合計21だが、グローリーセブン(栄誉の7)という特殊役であり、掛け金と合わせた配当は4倍、800万ドルとなる。
ところが、ここでバロットはその場の誰も想像しなかった手を選ぶ。「イーブンマネー」の宣言である。
これにより、その宣言の時点で、バロットの勝利と、400万ドルの獲得が決まる。ディーラーが開いた手は「スペードのAとスペードのジャックによる21(ブラックジャック)」。このカジノのハウスルールでは「最強の手役」であり、グローリーセブンにも勝てる。
つまり、バロットの勝機は、イーブンマネーを選ぶこと以外にはなかったのである。
アシュレイはそれを理解してはいたが、まさかその手は選ばないだろうと考えていた。そこで「400万ドル分の勝ちを捨てて、200万ドルを取りに来るとは思わなかった」と言って、自身の完敗を認めたのである。
この後、シェルが出てきて中身の記憶情報を抜かれた後の100万ドルチップを取り返し(というか、バロットが意図的に返す)て云々、というシーンの後、例によってボイルドが襲撃を、というところで次巻への引きとなる。
漫画「マルドゥック・スクランブル」6巻の感想
前巻の感想でも書いたがこのカジノ編は本当に面白い。何が面白いって、凄腕のディーラー(あるいはスピナー)たちとの、ギャンブルという特殊条件下での異能力バトルが面白いわけであるが、ちょっと残念な話が一つある。
いや、漫画とは関係ない話だ。これの原作を読んだのちに、現実のカジノというものの経営について調べてみたことがあるのだが、現実のカジノには、狙った番号に球を落とせるスピナーだの、手札をコントロールできるディーラーだのは、まず存在しないらしい。
しかもその理由というのが悲しい。そういうことは違法だから、ではなく、そういうことを現実にやるのが難しいから、でもなく、「そんなことをするより、一般の大衆客から広く浅く稼いだ方がカジノは普通に儲かるから、そんな凄腕のディーラーなんてものは別にいらない」のだそうだ。
夢もロマンもあったものではない。現実というものは無情である。
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