馬鹿馬鹿しくも物悲しい…鈴木マサカズの漫画「無頼侍」第1巻のあらすじ・ネタバレ感想

無頼侍(1)
無頼侍(1)
作品名:無頼侍(1)
作者・著者:鈴木マサカズ
出版社:Benjanet
ジャンル:少年漫画

漫画「無頼侍」第1巻のあらすじ

時は幕末。

ある日、ある宿場町に、二人の旅人が現れる。一人は無頼の旅浪人、鈴森岩十郎。博打が趣味で、ぶらぶらしているから無頼侍(ぶらざむらい)だと自称する、さえない男である。

もう一人は百両の懸賞金をかけられた賞金首、人呼んで「妹殺しの寛壱」。親を殺し妹を殺し、追手の役人まで殺めた殺人狂、と噂されている美剣士である。二人が、宿場に差し掛かる折、偶然に出会って知己となるところから物語は始まる。

寛壱はこの宿場自体に大した用事があるわけでもないので、ヤクザの組に顔を出して少しだけ用心棒の仕事をして(作中で説明はされないが、多分路銀が目的だったのだろうと思われる)また旅立っていく。

だが、なぜか寛壱の旅に同行する、と言い出す人間が現れる。美しいヤクザの女組長で「蛇山の藍」と呼ばれる女と、その手下たちだ。手下たちの筆頭は千代松といい、馬鹿なので馬鹿松とか馬鹿の千代松とか呼ばれている。

この巻では、寛壱一行が山賊と遭遇し、山賊に拉致されかけていた村娘を助けるところまで話が進む。

漫画「無頼侍」第1巻のネタバレ

この物語の主人公はいちおう、岩十郎なのだが、ストーリーそのものは主に寛壱を中心として展開していく。

寛壱は高額の賞金をかけられている上、名も顔も知れ渡っているので、年がら年じゅう命を狙われている。だが、慣れきっている上に、とてつもなく剣の腕が立つので、片っ端から返り討ちにしていく。

その中の一人に岩十郎も含まれるのであるが、寛壱は一度だけ酒を酌み交わした相手を斬り殺すに忍びなく、というか、どうも友情のようなものまで感じているらしく、「刀を抜くな お前を斬りたくない」と止めた挙句、それでも自分の前で刀を抜いた岩十郎を相手に、鼻を削ぎ落とすにとどめた。それ以後、岩十郎はずっと鼻当てをつけて暮らしている。

岸十郎が寛壱を狙ったのはひとえに金目当てである。その後も執念ぶかく、寛壱を追って旅をしていくのであるが、それも金目当てである。鼻を落とされた、ということについて、含んでいる風はない。自業自得だという認識があるのかもしれない。何も考えていない、という可能性の方が高いが。

ところで蛇山の藍についてである。なぜ寛壱と一緒に旅など始めたのか?百両の賞金が目当てなのだろう、と周囲は思っている。だが、小さな宿場の小さな組とはいえ、ヤクザの組長である。そこらの旅浪人とはシノギが違う。それが、「組を解散する」と宣言して、賞金首について行ってしまうのである。

みんな、藍は寛壱の寝首でも掻いてさっさと戻ってくるつもりなのだろう、と思っている。実は、これがまったく違う。

藍の正体は、マゾヒストである。

藍は、寛壱に出会ったとき、「こいつは自分にとって死神のような存在だ」と感じた。そして、そのことに対して、なんと「欲情」するのである。一人で酒を飲んでいる寛壱を普通に床に誘ったりもする(なお寛壱は一蹴する)が、そのようなことは彼女にとってごく表面的な欲望に過ぎない。彼女の真の望みは、「寛壱に殺されること」なのである。

さて、話は変わる。
そもそも、タイトルの無頼侍、とは誰のことを指すか。基本的には岩十郎のことなのだが、おそらくもう一つには、寛壱のことを指してもいる。寛壱はもう一人の主人公のようなものである。実際、台詞一つではあるが、岸十郎に「無頼侍」という名と、その由来を聞かされたとき、寛壱は「なるほどな ならば俺も無頼侍なのかもしれないな」と語っているのだ。

寛壱という男は、剣鬼である。事情があってのこととはいえ、地獄に片足を突っ込んでいて、死神に魅入られている。しかも彼は、いかなる組織にも属さず、いかなる背景も持たない。ちなみに、彼が妹殺しであるというのは汚名で、寛壱は妹も親も殺しておらず、家族が殺されているのを目撃して半狂乱になっているところへ、踏み込んできた役人を思わず斬ってしまい、それで追っ手をかけられる身になってしまったという経緯の持ち主である。

彼は妹を殺した真犯人が誰であるのか知っている。その犯人、「溝鼠(どぶねずみ)」という人間を追っている。その「仇討の旅」が、この物語の根幹を成すのだが……。この先は、この先の巻の紹介と共にお伝えしよう。

漫画「無頼侍」第1巻の感想

この物語は、なんとなく馬鹿馬鹿しく、どこか物悲しい。

表面的なジャンルは、いちおう、剣客もの、アクション漫画、ということになっている。実際、寛壱がとにかく自衛が主目的とはいえ人を斬りまくるので、バイオレンス描写は多い。

だが、筆者は、全体を貫く「馬鹿馬鹿しさ」と、そして根底に流れる「物悲しさ」こそが、この物語の本質だと思っている。

寛壱は、美男子で剣の達人だが、幸薄いというか、その魂の半分は死んでいるようなものである。復讐の一念だけで生きているような男だ。そんな彼にとって、同じ「無頼の侍」でありながら、ひょうひょうと生きている岩十郎がある種の「救い」であった、というのは、分からないでもない。

もっとも、岩十郎自身はあまり深いことは考えていない。1巻終了時点では、「百両、百両」というコケの一念だけで寛壱を追跡している。

その後の展開がどうなるのかについては、次巻の紹介に譲ろう。

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