- 作品名:無頼侍(2)
- 作者・著者:鈴木マサカズ
- 出版社:Benjanet
- ジャンル:少年漫画
漫画「無頼侍」第2巻のあらすじ
2巻は、千代松が藍にマッサージをしているシーンから始まる。千代松は藍に惚れていて、藍はといえば千代松のことを男として見てすらいないのであるが、千代松のマッサージの腕前だけは本当に気に入っている。
ちなみに前巻のラストで寛壱一行に助けられた村娘はちゃっかり仲間に加わっている。もっとも、途中で離脱するしあまり重要なキャラクターでもない。
それより、今巻の主役は、千代松である。
旅の途上、一行は、ある野武士の一党と関わり合いになる。ただの野武士なのだが、頭目の名は「溝鼠」であるという。寛壱の仇と同じ名である。
なお、この溝鼠は偽者であり、寛壱も会う前からそれを予測しており、気乗りがしないのだが、まぁ万が一と言うこともあるし、その溝鼠と接触を図ることになる。
ところが、その一党の中に、千代松の弟の田子作がいた。千代松はたいした取り柄があるわけでもない三流のヤクザ者に過ぎないが、マッサージの腕前と、弟への愛情だけは本物である。
そういうわけで、千代松は寛壱に嘆願する。どうか、田子作を斬らないでやってくれ、と。
寛壱はそんな赤の他人のことなど心底からどうでもいいと思っているので、心底からどうでもいいという態度をあからさまにしながらも「分かった 殺さない」と約束する。
寛壱は約束を守るのだが、その頭目の偽溝鼠というのが悪党の癖に小心で、寛壱を斬るつもりで、間違って田子作を斬ってしまう。千代松にとって、それは「世界の終わり」にも等しい出来事であった。
漫画「無頼侍」第2巻のネタバレ&感想
偽溝鼠は、怒りに燃える千代松に、寸刻みで惨殺される。しかしそこは重要ではない。偽溝鼠が語る言葉が重要である。
「本物の溝鼠から、寛壱への伝言を俺は預かっている 溝鼠は、嵌蛍寺でお前を待っている」。
溝鼠とは何者であるか。溝鼠という人間は、男であるのか、女であるのかも分からないが、極悪人である、という噂だけが伝わっている。なお、どの程度有名なのかはよく分からない。少なくとも、岩十郎は溝鼠なんて名前は聞いたこともない、と語っている。
ところで、この2巻目で、岩十郎はいつの間にか、寛壱を賞金首として追う立場から、寛壱と共に旅をする立場に変わっている。どこに境目があるのかは、ちゃんと読んでもよくわからない。とにかく、なんとなく、いつの間にか、そうなっているのである。寛壱の旅の行き着く先に、多少は興味が出てきた、というところでもあるらしい。
ところで、先にも書いたが、この巻の主役は千代松だ。
偽溝鼠を斬り、弟の仇を討った千代松は、別人のような顔つきになっていた。「おい、馬鹿松……」と呼びかけた岩十郎は、漢ぶりが50倍くらい増した千代松に「俺を馬鹿と呼ぶな」と言い放たれ、身のすくむような思いをさせられている。
千代松は、弟の墓を作り、丁重に弔いをし、その後も藍に従い続けるが、その心境は大きく変化している。まず、彼は寛壱を敵視しなくなる。寛壱が、約束通り田子作に刃を向けなかったからだ。
もっとも、寛壱に斬りかかろうとする田子作を全力で体を張って止めたのは当の千代松であるのだが。
この2巻で表紙を飾っているのは藍である。まあ、醜男の千代松では絵にならないから、それはやむを得ない措置ではあろう。しかし、ストーリー上の立場でいうなら、筆者が思うには、千代松は「3人目の主人公」とすら言えるかもしれない位置にいる。侍ではないから、「無頼侍」ではないのだが。
2巻については、まあこんなところである。それより問題は次の3巻、最終巻なのだ。
実は筆者は、この無頼侍という作品、初めて読んだのは単行本でも電子書籍版でもない。コミックビームという、これが連載された掲載誌、ちょうど当時購読していたので、全話誌上で読んだ。
最初は、なんとなく、「剣客ものは好きだから」という程度の理由で読んでいたに過ぎない。
しかし、今では、忘れられない作品の一つとなっている。その理由は、その神髄は、すべて、3巻目にある。この作品の中核は、最後の数話にあるのだ。最後の数話を読んでから、もう一度最初に戻って読み返すときに、この物語の「本当の物悲しさ」が分かるという構造になっている。
では、次が最終巻である。次は遠慮会釈なく、物語すべてのネタバレを述べていこう。
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