コンプレックスと向き合う漫画!楠田夏子「それでも恋していいでしょ」内容やネタバレ感想

それでも恋していいでしょ

楠田夏子先生の漫画「それでも恋していいでしょ」を読んでみたのでレビュー。なんか設定が斬新な漫画。主人公はイケメンで仕事もできる。女性なら理想の男性。しかし、彼は誰にも言えないコンプレックスがあった。

それが若ハゲ、チビといったもの。

人前に出る時はおでこが出ないように髪をセットしてシークレットブーツを履いて外出をする。コンプレックス男子である主人公:氷室大介(ひむろだいすけ)がコンプレックスを抱えながらも少しずつ恋に前進していく様子が描かれる漫画である。


それでも恋していいでしょ

漫画「それでも恋していいでしょ」は試し読み可能。古めの作品なので単行本での入手は困難かも。読むなら電子書籍がおすすめです!


漫画「それでも恋していいでしょ」は全7話、1巻で完結する漫画。コンプレックスを抱えており恋に億劫な人。コンプレックスを乗り越えたい!なんて思っている人に勧めたい漫画だ。

漫画「それでも恋していいでしょ」ネタバレ

第1話:松男と卵女

この漫画の主人公:氷室大介は背も高く顔もイケメンな男性…しかし蓋を開けてみると若ハゲでチビなのだ。髪型とシークレットブーツによって自分のコンプレックスを隠している。そんな彼は同僚のアッキーナといった女性に恋心を持っている。

氷室大介は市役所勤め。松の廊下と呼ばれるエリート部署に属している。そんな彼が課長に呼ばれ来年度の異動先を告げられる。それはおばさんばかりが働いているイメージの強い保健福祉課であった。

異動先でのちまっこい仕事に嫌気が差し外で道端に転がる石ころを蹴る大介。その石が前方の女性に当ってしまう。謝罪時にひょんなことから若ハゲ隠しの前髪が流れてコンプレックスが露出。二度と出会うことのない女性だからと若ハゲ全開でも開き直る。

数日後、保健福祉課に三ツ矢リサといった女性が配属されてくる。大介は驚く。先日、石ころを当ててしまった女性だったのだ。

若ハゲの事実を公にされたくない大介はひっそりとリサに口止めをお願いするがリサは何も知らない様子。その後、歓迎会のような飲み会で三ツ矢リサは大介が恋心を抱くアッキーナの従姉であることを知る。

第2話:女神降臨?

大介がアッキーナに恋心を抱いた理由が語られたり、初めてできた彼女との関係。リサと2人でホームページを作ることになったり、アッキーナとメアド交換をしたりする話しになっている。

無神経だと思っていたリサだが意外と空気を読めていたり、何やら同僚に一悶着あったような男性がいたりと波乱が起こりそうな展開。

ちなみに大介はなぜかアッキーナとなら大人の付き合いができ、自分のコンプレックスも受け止めてくれると信じて妄想を捗らせる(笑)

第3話:大人な余裕で

慎重にじっくりと恋を実らせようとする大介にライバルが現れる。それはアッキーナの所属部署に配属された大介より5コ下の男だ。体型が少し肥えているから大介は彼を心の中で肉マンと名付ける。

大介は肉マンも人より肥えた体型をしているためコンプレックスを持っているに違いないと断定するが肉マンは大介と違い、積極的。そしてアッキーナに恋心を抱いていることを察知する。

そんな肉マンを見て「劣等感はないのか」「大人の世界じゃ通用しない」「勝手に自滅していく」などと邪な考えを持つ。

第4話:梅雨夢話

肉マンは大介と違い積極的にアッキーナにアプローチをかける。同僚の間でも噂になっており肉マンとアッキーナが付き合っている噂も耳にするように。再び大介は邪な考えを持つ。

たまたま、肉マンと同じコンビニに入り、肉マンが買う昼食を見てしまう大介。でかい図体なのに昼食はおにぎり1個。

これを見た大介は体型にコンプレックスを持っているはずなのに、なぜガツガツ前に出ていけるのか不思議に思う。大介の中でコンプレックスは劣等感。そして恋に対して気後れするといった考えがあった。

そして、リサが実はコンプレックスである若ハゲのことを知っているのでは…と思わせる行動をする。焦る大介だがリサは非常に視力が悪いため気づいているはずがないと自分に言い聞かせる。

第5話:真夜中の決闘

遂に大介が勝負に出る。
アッキーナを映画に誘うメールを出したのだ。メールを出して浮かれる大介だったが見たくない光景を目にしてしまう。それは肉マンとアッキーナが楽しそうにドライブしていたのだ。

その後、大介の送ったメールに返事が届く。
結果は戦う間もなく惨敗。フラれる。

なぜ肉マンに敗北したか考える大介。思い当たる節があるようだ。肉マンはコンプレックス関係なくアッキーナにアタックしていた。大介は自分のコンプレックスがバレそうになる瞬間は自分のことだけを考え、彼女のことを忘れている。そこに敗因があると悟る。

そこから大介はクレーム処理に追われたり、ホームページの〆切が迫っていたので残業して仕事を片付けていく。

風邪だった大介は忙しさのあまり倒れてしまう。そこに駆けつけるリサ。大介の頭部は前髪が崩れており若ハゲ全開状態。バツの悪そうな顔で靴を拾いに行くリサ。第ニのコンプレックスであった低身長までリサにバレてしまう。

ヤケになった大介はリサに口であたってしまう。しかし、高身長でルックスも良いリサにもコンプレックスはあるようで大介の気持ちに共感できる部分があると言う。

そしてリサの暴露。
実は最初に石ころを当てられた時から大介が若ハゲだったことを知っていたのだ。

第6話:男はつらいよ

ギクシャクする2人。
大介はキャリア組だが仕事にも失敗する。精神的にも弱っている大介は連休を取ることに。

連休中、リサが心配して差し入れを持ってくる。
まぁ色々あってリサの優しさに目の前で泣きじゃくる大介。今まで敬遠しがちなリサだったが側にいて一番安らげる女性に変わりつつあった。

最終話:明日に恋して

2人は気を遣わず話せる関係になっていた。
大介はリサの元カレに過去の話しを聞いたり、前髪で若ハゲを隠すきっかけになった初彼女にあってけじめをつけたり、リサとコンプレックスについて深い話しをしたりする。

一皮向けた感じの大介が誕生する。

漫画「それでも恋していいでしょ」感想

それでも恋していいでしょ

結末は大介とリサが恋人同士になるのかなぁ〜なんて思ったが漫画で2人が結ばれることはない。余韻として2人が将来的に恋人同士になるんだろうなぁ〜といった感じは匂わせているが。

コンプレックスはどんな人間であろうと1つや2つは持っているもの。

この漫画はコンプレックスとの付き合い方をテーマにした漫画で恋愛模様はその次といった感じだ。

武装したイケメン大介とコンプレックス丸出しの大介のギャップが面白くギャグ系漫画に見えるかもしれないが内容はしっかりとしている。女性漫画であるがコンプレックスを強く持つのが男性なので女性だけでなく男性が見ても突き刺さる内容になっている。

コンプレックス、劣等感などの言葉に反応してしまう人は読んでみて欲しい漫画。何かしらコンプレックスと向き合うキッカケを作ってくれる作品に仕上がっている。


それでも恋していいでしょ

それでも恋していいでしょ

原作・著者楠田夏子
価格462円(税込)

「男の価値は身長でも髪の毛でもねえ!」って大声で叫べれば良かったのに――。新世代の旗手・楠田夏子が描くコンプレックス男子の恋模様! 氷室大介(ひむろ・だいすけ)、30歳。某市役所でエリート街道を驀進中の超公務員。おまけにイケメンで、仕事もできて、親切で――。ある意味、理想の男だが、彼には2つだけたりないものがあった。それは『身長』&『毛髪』。若ハゲ&チビの二重苦だけど、それでも彼は恋をする!