透明人間の骨、第4巻。これにて完結である。
漫画「透明人間の骨」4巻あらすじ
さて、父親を殺したことを伽奈にも打ち明けた花であるが、伽奈もやっぱりそんな花のことを受け入れる。花にとっては満足の行く事ばかりの青春の日々であった。
で、青春に満足が行ったことに満足し、花は父親殺しの件で警察に自首することにする。それで終わりである。
漫画「透明人間の骨」4巻ネタバレ
栞のときに比べれば、まだしも伽奈は花からの告白にショックを受けている。曰く「友達がそんなことになっちゃって、もう会えなくなってしまうのは悲しい」だそうである。伽奈は一日だけ「考える時間がほしい」というのだが、結局花と和解する。いつものように鍋である。
さて、一仕事終えた花、今度は前に栞に頼まれていた歌詞の執筆に本腰を入れ始める。そのことを栞に伝えると、「自首されても困るから、ゆーっくり書いていいよ」などと言われる。そう言われて返答に困る花である。
学友が学校で進路の話をしているのを聞いて、花は悩む。自分には将来などない、と。栞に聞いてみると、ミュージシャンになる気などは別にないという。そこまでの実力はないし、ただ好きなように歌っていたいだけだからプロでやっていけるほどの気概は最初からないのだという。そのへんで普通に働いて、休日は音楽をやって暮らすのが夢だそうである。堅実で現実的だ。
花はというと、「普通になりたかった」という。そんな花に、栞は「花ちゃんは普通の優しい女の子だよ」(透明になれること以外は)と語る。
ここで、久しぶりに(一巻以来?)花の兄が出てくる。実家の母親に会いに行ったらたまたま会ったのである。ほんとうは母親に先に告白するつもりだったらしいが、兄にも打ち明けておくことにする。父親のことを殺したのは自分であると。
兄はというと、「やっぱりそうだったか」という反応である。花が父親に対して怒鳴り返した日の三日目に事件が起きたのだから、まあ感づいていても不思議はないというところか。
兄は意外とまっとうなところを見せて、母親には自分から打ち明けるから黙っていてほしい、これから先母親のことを頼む、という花の求めを快諾する。兄もあの父親については殺してやりたいとまで思っていたのだそうで、「妹が兄を頼るのは当然のこと」と言い、全て自分にまかせろと言い切る。それを受けて、花は憑き物が落ちたような感じになる。
歌詞は完成し、花は栞に告げる。冬休みが終わったら自首する、と。
そして歌詞をもとに曲も完成し、花は栞と伽奈とともに充実した冬休みを過ごした。
その終わり、花は母親に告白に行く。例によって「私がお父さんを殺しました」である。そして「明日自首します」。母親は泣き崩れる。そりゃいろいろ思うところがあるのだろう。
なぜ一年も経ってから自首するのか、と問われると、一年前の私には何もなかったからだ、という。失いたくない現在、というものを手に入れて初めて、自首することが贖罪になると思う、というのだ。
そこから先はちょっとだけ意外な展開になる。花は祖父に会いに行くのである。殺した父親の父親だ。祖父にも父親を、つまりあなたの息子を殺しましたと打ち明ける。息子を駄目にしてしまったのは自分なのかもしれないと語りつつも、自分だけは息子のために君を許さない、と祖父は言う。もちろんわかっています、と花は答える。
そして自首しに行く花。友達が止めに来るが、それを振り払うように、涙をぬぐって、毅然とした態度で花は歩んでいく。
漫画「透明人間の骨」4巻の感想
基本的に雰囲気重視の作品である。淡々とした心情描写には美しさを感じさせてくれた。
透明人間の骨
感情的な父、無関心の兄、耐え忍ぶ母。崩壊した家庭の中で過ごす少女・来宮花(きのみやあや)。「ここに居たくない…」そう願ったある日、透明人間になる術を身に付け――。これは一人の少女が普通を、痛みを取り戻すまでの物語。