- 作品名:からかい上手の高木さん(1)
- 作者・著者:山本崇一朗
- 出版社:小学館
- ジャンル:少年マンガ
目次
漫画「からかい上手の高木さん」1巻のあらすじ
西片くんと高木さんは同じ中学校の2年生、クラスメイトである。席は隣同士。西片くんはなんだか分からないが高木さんにいつもちょっかいをかけられ、からかわれている。
大きく概論を述べるならば、ひたすらその繰り返しからなっている作品である。
漫画「からかい上手の高木さん」1巻のネタバレ
そもそもなぜ、高木さんは西片くんのことをからかうのか。その答えは大変に簡単である。というか、第一話目にして、ほぼ明示的な形で明かされている。第一話の内容はこういうものだ。
消しゴム
高木さんは筆箱に仕込んだびっくり箱で西片くんをびっくりさせる。しかしそれはほんの導入であり、高木さんは西片くんをそんな具合にいつもからかっている、という解説である。主題は次だ。高木さんは西片くんに、忘れたと称して消しゴムを借りる。
高木さんは「好きな人の名前を消しゴムの見えない部分に書いて、使い切るまで相手に知られなかったら、恋が成就する」というおまじないの話をする。そして西片くんの消しゴムを見て、へーとかふーんとか口にする。
それもただからかっているだけで、別に西片くんの消しゴムには何も書かれてはいないのだが、西片くんは大変チョロいのであたふたする。
さて。本題である。高木さんはトイレに行くと称して教室を出ていく。西片くんはその隙に高木さんの消しゴムにいたずら書きをしようとするのだが、なんとケースを外そうとすると、何かが書いてある。一文字目が「ろ」。自分の名前ではないので、西片くんは少ししょぼーんとなる。
ここでしょぼーんとなるあたりが重要なのだが、もっと重要なのは次だ。何と書いてあるかといえば「ろうかみろ」であり、西片くんが高木さんの消しゴムにいたずら書きをしようとしているところを高木さんは一部始終見ている。そして、ニヤリと笑う。
そして、その後で高木さんは「二分の一の確率を外すようじゃ、私をからかい返すのは無理だね」と一人ごちる。西片くんにはその言葉の意味は分からないが、読者には分かるようになっている。消しゴムの「ろうかみろ」の裏には、「西」で始まる文字が記されていたのである。
要するに、高木さんは西片くんのことが好きだからいつもちょっかいを出し、からかっているのである。
プール
プールの授業中、プールサイドで西片くんが高木さんにからかわれる。ちなみに、高木さんは「プールの授業を休んでいる西片くんとおしゃべりがしたい」という動機でプールサイドにいたらしい。
空き缶
二人で空き缶を投げるゲームをする。「賭けに勝ったら、私のファーストキスあげるよ」と言われて、西片くんが動揺して勝負に負ける。
傘
西片くんと高木さんが相合傘で学校から家に帰る。
本屋さん
高木さんが私の秘密を教えてあげるとか言いだし、「私 西片のこと好きだよ」と耳元でささやく。だがそれは嘘である。本人が独白するには、なぜなら、好きなのは本当であるが、それは秘密ではないからだそうだ。
漫画「からかい上手の高木さん」1巻の感想
この作品はいわゆる一つの青春ラブコメディというやつだ。「からかい上手」というのは、表層であってメインテーマではないのだろうと思う。
中学生であるということを割り引いて考えても、二人のやっていることは子供っぽすぎ、同時に、からかっているというにしては、あまりにも二人の距離感は近すぎる。
一巻時点で西片くんと高木さんについて確かなことは、「恋愛関係としてカップルになってはいない」ということ。
これは本人たちも明示的に口に出している。だがしかし、西片くんがいくらバカでおちょくられ体質であるとはいえ、これだけ年がら年中相手に構われているのだからして、高木さんは自分のことが好きなのではないか、ということに薄々は気付いているのである。
その状態で、「からかい上手の高木さん」という物語は構成されている。思うに高木さんは、からかうのは上手なのかもしれないが、愛情表現などについては幼く不器用なわけである。まあ、そうであるからこそ成立する物語である、というわけだが。