せんせいのお人形【3巻ネタバレ感想】ネグレクト児の成長を描く漫画…第一部完結巻!

せんせいのお人形

2巻から約一年ぶりのご紹介となる。『せんせいのお人形』第3巻、そして一応の「第一部完」と称された完結巻である。

せんせいのお人形
せんせいのお人形(2巻)

せんせいのお人形【3巻あらすじ】

この物語はWEB連載で全120話で完結しているのだが、この3巻ではその41話目までが掲載されている。

そして、電子書籍版も含めて単行本の刊行はいちおう打ち止めで、「第一部完」とされている。物語としては、ものすごくざっくり書くと例の編入試験にスミカが合格し、女学院に編入するところまでが描かれる。

せんせいのお人形【3巻ネタバレ】

せんせいのお人形

3巻冒頭、スミカは友達と(表面上は)楽しく過ごしているのだが、心のうちでは叫び出したい衝動に駆られている。別に友達が気に食わないわけではなく、現在の幸福と過去の荒廃した生活とを比較して葛藤しているのである。だいぶ淑女らしくなったとはいえ、被虐待児である過去はそう簡単には消えないということだろう。

その後、スミカは一人の「いじめられっ子」と出会う。そこから暴走を始める。

いじめを解決するために動くというか、そのいじめをしている側を、証拠を押さえて脅迫し始めるのである。昭明が気付かずにいる間に、スミカの行動はエスカレートしていった。しかし最終的には、類が事態に気付いてスミカをひっぱたいて止め、そこで大人たちの介入が入るという形になる。

スミカは加害側とは言わないまでも、「正義」を盾に人に害悪を為そうとしたわけで、決して褒められた事態ではない。いじめられっ子のところにはいちおう謝罪に行くのだが、「また一人怖い人が現れたと思った」と言われ、謝罪に関しては会ってももらえずに終わる。そしていじめられっ子の人は不登校になってしまった。この問題についてはここで終わり、これ以上の解決などはない。

さて、そんなこんなをしている間に、試験までの期間は残り1か月となっている。それと並行して、類が転校することになる。なんだかの事情で、外国に行くのである。空港での別れ際、類はスミカの頬にキスをする。どうも、同性愛者なんだろうか?割とそんな感じである。別にだからなんだというわけではないが。

試験に臨むスミカの成績であるが、面接はなんとかなりそうだが筆記が微妙であった。非常に微妙であった。しかし小学生並みの学力も危うかったのがわずか1年前であることを考えれば、飛躍的に進歩していることは進歩している。

なんだかんだで、すっごいギリギリであったがスミカはかろうじて合格し、女学院に転入することになったのであった。ここまで41話である。3巻にはそのほか、番外編が複数収録されている。

せんせいのお人形【3巻の感想】

せんせいのお人形

原稿は溜まっているはずなのにぜんぜん出ないから正直なところもう3巻は出ないものかと思っていたのだが、出た。出たが、結局のところは打ち切りという結末であった。

出版社を変えて一話目から再刊、などという可能性はゼロではあるまいが、まあ正直なところ望みは薄いであろう。

しかしじゃあつまらない作品だったか、駄作だったか、と言われればそれは間違いなく違う。そして単に「感動的な話だった」というのとも違う。感動的な話というのは、探してみれば世間にそれなりに転がっているものである。この作品の切り口は割と独特なもので、ちょっと類を見ないところがある。名作、と言うのは少々厳しいものがあるが、佳作であったことは間違いない。

42話から120話までについて、読む手段は現時点では存在しないわけではないが、あえてここでは紹介せずにおこうと思う。それでもどうしても読みたいという方は、作品名で検索するなどすれば見つけることはできると思うので、それらの手段をご利用いただきたい。


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