漫画「せんせいのお人形」ネタバレ感想!ネグレクト児の成長を描く感動作!

せんせいのお人形

商業での単行本はこれが初めて、という新人の作品。漫画雑誌などでのデビューではなく、WEB系のメディアから出てきた作品である。

漫画「せんせいのお人形」あらすじ

ものすごくざっくりした概要を書くと、「あちこちをたらいまわしにされてきた親のいない子供が、養育者と出会って成長していくストーリー」。要素で言えば、オードリー・ヘップバーンの『マイ・フェア・レディ』などの古典(あれは映画ですが)と相通じるところもある。

最初は死んだ目をしている少女だが、だんだん人間らしさを習得していく。で、一巻の引きはなんだか悪いやつが現れて無理難題を押し付けて行かれてそれに挑むことを少女が決意する、というところまで。

漫画「せんせいのお人形」ネタバレ

冒頭は食事のシーンから始まる。とりあえず親戚同士の押し付け合いの席で文字通り少女を押し付けられて帰ってきた主人公の片割れ、名を吉成昭明(よりなり しょうめい)という。女子高の教師をやっている若い男性である。

引き取ることになった少女の名前はスミカ。本人は自分の名前すら正確に把握していないのだが、彼女も吉成の姓を持っているらしい。

さて、のっけから険悪である。スミカはネグレクト児であるので、人との関わり方の最低限というものを知らない。喧嘩になる。昭明はこの少女をどうしたものかと思っていたのだが、あまりの様子を見かねてか、売り言葉に買い言葉的な流れで「俺は教育するよ 君を」と言い放ってしまう。まあ、ここからマイ・フェア・レディが始まるわけである。

スミカは皿の洗い方も知らないし、着替えもろくに持っていない。最初はとにかく教育教育といった感じ。服はといえば、なんとスタイリストが呼ばれてくる。この段階では興味のなさそうなスミカより、昭明の方が対応に困って照れている感じ。

ところで、服を買い与えるのにいきなりスタイリストを呼んでくるというのはちょっと通常の感覚ではないという違和感がある。実際、どうやら吉成の一族というのは金持ち一族であるらしいのである。おいおいまた説明するが。

最低限暮らしていける感じになって、次は勉学であるが、スミカは最初のうち、ろくに本を、というか文字を追うこともできない。昭明は本の虫なのだが。最初は宮沢賢治の音読から。ちなみに学校の宿題である。スミカはネグレクト児ではあるが、いちおう高校に通ってはいる。そのへんもどうやら裏の事情がいろいろあるらしいのだがまだ詳しくは語られない。

さて、二人のぎこちない関係がだいぶましになった頃、昭明の家に一人の親戚が訪ねてくる。あからさまにイヤな奴で、なんでもスミカが実はなんだとかいう大富豪の娘(愛人の子)なので、自分の手元に置いて手駒に使いたい、などと言い出す。

なんか本来なら昭明にとって頭の上がらない相手であるらしいのだが、「スミカを連れていく」と言われて、昭明は静かな怒りをあらわにする。そして、「うちの女学院の編入試験に合格させてみてよ できなかったら教師はクビ、スミカは連れて行く」と言われてしまう。

だが昭明はその後もスミカに対して直接は何も言わない。何も言わないので、スミカの方から言い出すことになる。「ここに居たいから、賭けに勝ってみせる」と。

漫画「せんせいのお人形」感想

せんせいのお人形

この作品はだいぶ先が溜まっているので、続刊も近いうちに出ることになっている。それはそれとして、気になるのはタイトルに込められた含意である。『せんせいのお人形』とは誰を指し、何を意味しているのか。

単純に「スミカのことである」というだけではなさそうだ、というのが、あらすじにはまとめなかったが垣間見える昭明の過去からなんとなく分かってくる部分である。


せんせいのお人形

せんせいのお人形

原作・著者藤のよう
価格880円(税別)

「俺は教育するよ 君を」育児放棄されていた少女の魂の再生を描く感動作が、ついに書籍化。スマートコミックアプリ「comico」の人気フルカラーコミック! カバー裏、本体表紙まであますところなく収録!! 親から育児放棄され、基本的な生活習慣すら身につかないまま育ってきた、女子高生スミカ。親戚の間をたらいまわしにされた末、教師をしている昭明に引き取られる。これまで大人になにもしてもらってないから、自分はなにもできないんだ、と慟哭するスミカに、昭明は宣言する。「――気が変わった。俺は教育するよ 君を。このまま全部人のせいにして流されるように生きたいか? 自分で自分の手綱をとるか? 俺にはその手助けができる。どうする」人は、なんのために学ぶのか。なんのために生きるのか。スミカの再生の物語が、いま、はじまる。

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