最初に書いてしまうがこの巻でガムテが死ぬ。しかし、信じられないことに、ガムテ篇そのものはまだ続いている。10巻から五章開幕だそうである。
忍者と極道【9巻】あらすじ
忍者と極道、第四章「幼狂死亡友戯」(まったく知らなかったがガムテ篇はそんな名前だったらしい)はとうとうクライマックスである。
シノハとガムテが最後の決戦を行い、命を捨ててパワーアップしたガムテをそれでもシノハが凌駕して、勝つ。ところが、この作品では珍しいことに、首を飛ばしてとどめを刺すシーンはない。そこでガムテの、最後の大見せ場と言うべきシーンが用意されている(いや、死ぬんだけどね)。
忍者と極道【9巻】ネタバレ
パワーアップしたガムテだが、具体的に何がどうパワーアップしているかというと、筋力とかスピードが上がるのかと思ったら(いや、多分それも上がってるくさくはあるんだけど)、なんと死んでいった仲間たちの能力が使えるようになる。仲間たちといっても破壊の八極道の殺島さんとかのことではなく、グラスチルドレンたちのことである。幹部たちは極道スキルを使えるやつが何人も混じっていたわけだが、それらを使えるようになったのである。
死んでいった仲間たちの能力を使いこなし、最後の戦いに挑むガムテ。めちゃくちゃ盛り上がっている。なんかもうこれ最終章でいいんじゃ?というくらいの勢いである。といっても、忍者も極道もそれぞれ半分以上がまだ残っているわけなんだけど。
さて、いろんな能力が使えるようになったとはいっても、ガムテさんの必殺技が一番得意な例のやつ、やまいだれ(表記不可能)であることに変わりはない。一撃必殺の技なので、それを決めるのを狙いにいく。相討ち狙いというわけだ。
ガムテは、シノハにだって隙とか癖があるだろうからそのタイミングを狙うつもりでいる。どうも、確かにそういうものはあるらしい、今だ!と思って攻撃を仕掛けるのだが、それはなんと信じられないことに「シノハ自身が、そう演出していた、偽りの癖」であったのである。そのタイミングでカウンターをくらい、ガムテは利き腕を切り飛ばされた。もう両腕が無い。戦闘不能である。で、両足も飛ばされる。首だけは切られなかったが、シノハがとどめを刺す前に、ガムテはその場にやってきたキワミと対面する(虫の息である)。
キワミは死にゆく部下に対して功をねぎらい、誉めるような態度をとる。キワミからガムテに対しては珍しいことである。しかし、ガムテはそんなことを望んでいるわけではない。ここ一番、「シノハとキワミは、敵同士の関係だ!」ということをとうとう大声でバラす。ちなみにシノハもその場で聴いている。ガムテはそれを聞いたキワミが自分に向けてほほ笑むのを見て、満足して死んでいった。
その後、破壊の八極道の残りメンバーの顔見せなどがあるが、極道側が撤退する流れになり、次巻に続く。
忍者と極道【9巻】感想
厳密はまだ終わっていないわけだが、まあガムテ死んだし、さすがにもういいだろうからずいぶん前に言った総括というのをやる。
いやぁ、ガムテ篇、長かった。本当に長かった。ガムテは心底本当に、いいキャラクターだった。最低最悪の狂った殺人狂なんだけど、哀しみも背負っていて、そして多くの人間の哀しみを背中にしょっている。珍しい、しかし本当によくできたキャラクター造形だったと思う。
ちなみに作者によるあとがきによると、ガムテを終盤まで生存させる構想もないではなかったらしいが、ここで完全燃焼させた方がキャラが輝くと思って、泣く泣く殺したらしい。まあ、結果論だけど、それで正解じゃないかな。多分、そういうキャラクターではなかったような気がする。
というわけで、次は10巻であり、そして「第二部」にこのまま突入するらしい。この先、いったい何十巻続いていくことになるのか分からないが、気長に楽しもうと思う。
忍者と極道
トラウマから笑えない少年・忍者<しのは>、表向きはエリート会社員ながら裏では組を牛耳る極道<きわみ>。そんな2人が出会った時、300年にわたる忍者<ニンジャ>と極道<ゴクドウ>の殺し合いの炎が熱く燃え盛る!孤独を抱えた漢達による、情熱と哀切に彩られた命のやり取り。決めようか…忍者と極道、どちらが生きるかくたばるか!
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