えらい久しぶりの紹介となってしまった。『新婚のいろはさん』第3巻である。ちなみに、4巻も既に出ている。
新婚のいろはさん【3巻あらすじ】
これまで通り、新婚夫婦の平和でラブラブな日常を描いた4コマ漫画であり、あらすじというほどのあらすじもないのだが、4巻までの(4巻も既に入手済みである)表紙を並べて今更ではあるが気づいたことが一つある。
1巻は春、2巻は夏、3巻は秋の表紙なのである。もうお分かりだと思うが、4巻は冬である。今回ご紹介する3巻は、二人が結婚してつまり半年ほど経った秋を描いているということになる。
新婚のいろはさん【3巻ネタバレ】
軒並ライジ(ペンネーム。本名:新妻始)は漫画家であるので、平日にも休みを取るのが容易である。というわけで、車に乗ってお出かけ。高速道路をかっ飛ばし、どこに行くのかと思ったら(いろはさんは行き先を知らされていないのである)、目的地は「サービスエリア」だという。そんじょそこらにあるサービスエリアではなく、かなり大きなサービスエリアだが。
さて朝ごはんを抜いてきた二人(というかいろはさん)、さっそく買い食いである。たこ焼きから揚げソフトクリームとあって悩んで、結局買ったのは牛串と豚串であった。といっても、そのあとでからあげとソフトクリームも買い、自販機のホットスナックのホットドックも食べ、あんぱんも買い、さらにおみやげのあんぱんまで買って帰るのであるが。
またある日。ライジがスーツを着ている。冗談半分に「惚れ直しました?」と聞いたらいろはさんは「はい……」だという。ごちそうさまと言ってよい。
スーツなど着て今度はどこに行くのかというと、恩師の漫画家(要するに昔のアシスタント先だと思われる)の展覧会に行くのだという。行ってみたら、フウトもいた。スーツで来たのはやりすぎだったらしく先生本人にも大笑いされるのだが、立派になって奥さんも紹介して、一人前の漫画家のライジ先生なのであった。
回想シーンなどもはさまれる。二人が中学生(始が2年生、いろはが3年生。姉さん女房なのである)だったころの思い出話だ。川べりで将来の話などをするのだが、始はこのころすでに、漫画家になるという決意を固めていたらしい。
一方、いろはさんは、このころに既に始の奥さんになるという夢を抱いていた模様である。お熱いことだ。
また別の日。紹介してなかったかもしれないが、二人にはいきつけのラーメン屋がある。若い女主人(どうでもいいが美人)が一人でやっているラーメン屋である。夫婦喧嘩をしたらしきいろはさん、「グレてやる」とかいって、チャーシュー麺の大盛りを一人で食べて帰っていく。
そのあとで行き違いでライジが来て、いろはさんとおんなじようなことを言ってチャーシュー麺大盛りを注文するので、笑いをこらえきれない店主さんなのであった。
新婚のいろはさん【3巻の感想】
安定して読める、よくできた4コマ漫画である。
ギャグとシュールさのバランスもいい。
この作者、OYSTERの漫画はもうずいぶん昔から(ざっと15年くらい)読んでいるが、よくぞこの境地にまでたどり着いたものだと感慨深い。
ずいぶん前に別の記事で、この作者の代表作は『男爵校長』の無印版だ、と書いたことがあるが、今にして思えばあの作品は粗削りさと不安定さと作者の力量とがうまくバランスをとりあい、奇跡的なバランスで完成した一品であった。
一方、この『いろはさん』シリーズに関しては、もはや円熟の極みに達している。本質的には作風自体はあんまり変わっていないのだが、だからこそその差というものが強くこちらに印象付けられるのである。
というところで3巻の紹介は終わり。次は4巻をご紹介する。
新婚のいろはさん
なんでもない毎日が、とても幸せ…。鬼才が送る、新婚夫婦の日常4コマ。
新居に引っ越してきた、いろはさんとハジメくん夫婦。ゼロから、少しずつ自分たちの生活を作っていきます。家電を買いに出かけたり、深夜にコンビニへ行ったり、そんななんでもない日常が、二人にはかけがえのない幸福なのです。読むものをたまらなくあたたかい気持ちにさせる(ギャグの冴えもそのままの)一冊です。
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