ライトノベルを原作とする、いわゆる「コミカライズ」ものである。タイトルからお分かりかとは思うがジャンルは異世界ものファンタジー(現代世界から異世界への転生とかではない)。
作画の人はエロ漫画出身で、個人的に昔から知っているのだが、もう既に一般向け作品の方が刊行点数は多くなっているというキャリアの漫画家である。
漫画「望まぬ不死の冒険者」あらすじ
主人公はいわゆる中堅どころの冒険者である。最近はやりのスタイルに従い、ギルドがあって冒険者等級があるのだが、等級も低く、これ以上の出世も望めそうもなく、でも夢はでっかく大冒険者、という感じでいたのだが。
冒頭でいきなりドラゴンに喰われる。俺の人生よさようなら、と思っていたら、気が付いたら骸骨人間になっていた。スケルトンというモンスターである。
これがどういう現象なのかが分からない(死んだ冒険者がスケルトンになるという現象が普遍的な現象であるという説明はない。そういうわけではないらしい)が、便宜的に「転生」と言われている。
そう、主人公レント・ファイナはモンスターに転生してしまったのだ。
漫画「望まぬ不死の冒険者」ネタバレ
で、スケルトンになってそこからどうするのか。本人も困る。人間としての自我と記憶は完全に残っており、人間が食べたくなったりする衝動に襲われたりなんてことも全然ないので、本人の意思としては街へ帰りたいのだが、たぶん人間はこちらを見ると退治しようとしてくるだろうから帰るに帰れない。
ところでこの世界の魔物には「進化」という性質がある。進化といってもダーウィンのやつではなく、ポケモンのほうである(この説明でお分かり頂けるでしょうか)。要するに、科学的には進化とは違うんだが、別のモンスターにクラスチェンジする的なことを進化というのだ。
何が何へ進化するかは一律で決まっているらしく、スケルトンはグールに進化するらしい。骨よりはゾンビの方がまだしも色々便宜がいいだろうということで、とりあえずレントはそのままダンジョンに籠り、地道にモンスターを狩ってレベル上げに励む。おおむね地味であるが、その地に足のついた具合がなかなかよい。
さて、なんだかんだで晴れてグールにはなれた。怪物であることに代わりはないが、非常に重要なことに、たどたどしいながらも言葉を発することもできるようになった。
そして、駆け出し冒険者の少女リナ・ルパージュと出会い、彼女がモンスターにやられかけていたのを助け、どうにか友好関係を樹立し、服と仮面を買ってきてもらい、服はいいとして仮面はかぶったら外れなくなった。呪いの仮面なのであった。
だがまあ人前で外す用事もないのだからさほど困るというほどでもない。レントはリナとともに街へ戻った。ようやくの帰還である。ここまでで既に一巻の半分以上を費やしている。
そこからはダイジェストで解説するが、中堅どころとはいえ長く冒険者をやっているレントにはそれなりに人脈などもあり、かろうじて人里で身を寄せる場所もできた。だいたいそんなあたりで、次巻に続く。
漫画「望まぬ不死の冒険者」感想
正直なことを言えば、馴染みのエロマンガ家が描いている、というだけの理由で特にたいして期待もせずに読み始めた作品である。昨今流行りのファンタジーではあるが、別にそういうのが格別好きなわけでもない。
だが読んでみたら面白かった。こういう手合いのライトノベルにありがちな、世界構造の雑さや人間心理のいい加減さなどがなく、二回言うが地に足のついた描写がされているのがポイントが高いのである。
美女が次から次へと出てきたり、そのへんのツボもちゃんと押さえてはいるが、あんまり関係ないようで個人的には近いと思う『29歳独身中堅冒険者の日常』あたりと脳内で並べて注視していきたいと思う。
望まぬ不死の冒険者
最高位の神銀級冒険者を目指して十年。いまだ銅級冒険者のレントは、いつものように単独で《水月の迷宮》に潜り、鍛錬と日銭稼ぎをするつもり――だった。だが、初心者向けの迷宮にいるはずもない《龍》と遭遇。圧倒的な力の前に為す術なく喰われてしまう。そして、死んだはずのレントは“目覚めた”――『骨人(スケルトン)』の姿で。途方にくれたレントだったが魔物の持つ『存在進化』を用い人間を目指すことを決意。迷宮でひとり魔物へと挑み始める!
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