『不滅のあなたへ』17巻。
不滅のあなたへ【17巻】あらすじ
現代篇に入ってからずーっと難解だ難解だと言い続けてきたが、今巻は比較的そういう面ではマシである。
まず、フシの力で蘇らされた仲間たち各員にスポットライトがあたる話が巻の半分くらいを占め、それから学校に来なくなったミズハに、フシが会いに行って、どえらい事態になる（そのまま次巻に続く）。だいたいそんな感じ。
不滅のあなたへ【17巻】ネタバレ
フシが冒頭で言うには、現代篇が始まって半年が経過している。フシはとりあえず家に帰った。みんなが幸せそうに暮らしていて、温かく迎えてくれるものと期待していたのだが、全然そんなことはなく、割とみんなしんどそうにしていた。
フシは彼らをおおむねほったらかしにしていたから把握すらしていなかったのだが、現代の日本（に似た世界）に連れてこられためいめい、だいたい大多数は適応障害を起こしていたようである。個人差はあるが、かなりひどいのがグーグーとマーチのふたり。
さて、フシはなぜかれらがこの社会に適応できないのか、なんてことを理解できるだけの感性を持ち合わせていない。なにしろ人間じゃないし、人間的な存在でもない。ただ、孤独だけは確かに感じているらしく、「おれを一人にしないでくれ」みたいなことは思っている。
「それはお前と一緒に不死者として永遠を生きろということか？」と問いかけられるのだけど、その質問に正面から答えることもできないフシである。
とはいえ、少しは状況を調整しないといけないことは理解したフシ、故郷に帰りたがっているグーグーはそっちで一人暮らしをしてもらうことにした。マーチは学校に通い始めたが、速攻で不登校に陥った。やっぱりはかばかしくない状況である。
さて、ミズハの方である。ミズハは久しく学校に来ていないらしい。たぶんフシに振られたからであろう。フシの仲間達とはまたまったく異質な形で不適応を起こし、荒れ狂っている。それをノッカーが甘やかして共依存の暮らしをやっている。
フシは友人たち（仲間とは別。現代世界の人間の少年たち。ミズハの友人でもある）を連れ、ミズハに語りかけるのだが、ほとんど対話は成立しない。ただ、ミズハは友人たちを人質にとってフシを脅迫すると同時に、フシの抜け殻とノッカーを混ぜて作り出した、なんていうのかな……おかしな言い草だけど「不死のモンスター」のようなものを、地上で暴れ出させた。
17巻は以上である。
不滅のあなたへ【17巻】感想
世の中には面白い話というのがたくさんあって、それらはいろいろな角度からいろいろな分類に分けることができる。その中にひとつ、こういうのがある。「面白いがゆえにページをめくる手が止まらなくなる作品」と「面白いがゆえにページをめくる手がしばしば止まってしまう作品」だ。
あくまで主観で言うのだが、筆者にとってこの作品は間違いなく「後者」である。……さて。
ずいぶん前、フシが他者を蘇らせられることが明らかになったとき、筆者は「これはかなりまずいんじゃないか？」と思った。しかもその蘇生は、ただ死体を動かすみたいなことではなく、魂を含めて当人を復活させるという性質のものである。
勇者が魔王を退治するファンタジーRPGではあるまいし、死者を、それも時を超えて蘇らせるという行為には、多くの弊害が付きまとうはずだ。そう思った。
その予感はまんまと的中したというか、作者はそうするつもりでそういう伏線を長い時間かけて張っていたのだろうと思われる。
正直、今巻を読んでいて、心底辛かった。フシのあまりのナイーヴさもそうだし、仲間たちの切実な苦悩も本当に鋭く伝わってくるからである。
だが、もう読みたくないという辛さとはこれは違う。これは、この物語の結末をなんとしてでも見届けなければならないという、そういう種類の辛さなのだ。
不滅のあなたへ
何者かによって”球”がこの地上に投げ入れられた。その球体は、情報を収集するために機能し、姿をあらゆるものに変化させられる。死さえも超越するその謎の存在はある日、少年と出会い、そして別れる。光、匂い、音、暖かさ、痛み、喜び、哀しみ……刺激に満ちたこの世界を彷徨う永遠の旅が始まった。これは自分を獲得していく物語。
※移動先の電子書籍ストア「BookLive」にて検索窓に「不滅のあなたへ」と入力して絞り込み検索をすれば素早く作品を表示してくれます。
↓↓以下で不滅のあなたへのネタバレをまとめています↓↓
✅ 不滅のあなたへ【ネタバレまとめ】最新巻から結末まで公開中！
この漫画は電子書籍ストア「BookLive!」で取り扱い有り・試し読みも可能です！
今すぐ試し読みする
※電子書籍ストア内の検索窓にて「不滅のあなたへ」と入力すれば素早く絞り込んで作品を表示してくれます。