タコピーの原罪、下巻である。名前の通り綺麗にこの巻で終わる。
タコピーの原罪【下】あらすじ
あらすじを書くのはそんなに難しくないのだが、ネタバレを避けながらあらすじを書くというのは絶望的に困難な構成の作品なので、さくっとネタバレに進もう。
タコピーの原罪【下】ネタバレ
さて、まりなの死が社会的に発覚したあたりからである。明らかに事件性のあるアレなので、警察の人たちとかが学校に来る。
まさか宇宙人が殴り殺したなんて警察に突き止められるはずもないとは思うし、警察の捜査がどういう風に進められてどういう展開になるのかは作中でほとんど解説されないのだが、ともかく、東くんやしずかは捕まって少年院に入れられたりする（注：彼らは子供なので逮捕はされない）んじゃないかと戦々恐々としている。
さて、ここからしばらく東くんの主観視点のターンが続く。端的にいえば彼の心の闇が語られるというくだりである。
東くんは優秀なのだが、もっと優秀な兄がいて、比べられることがコンプレックスになっていた。美しい黒髪の母親がいるのだが、それがしずかに似ているらしい。なかなかに小学生にして呪われた性癖の持ち主だが、しずかの方もなんともかんともで、東くんを誘惑し、最終的には自分の身代わりで警察に出頭させようとする。なんという悪辣な発想。東くんもその気になるのだが、最終的には兄に止められ、兄と仲直りし、その代わり警察に洗いざらい本当のことをぶちまけた……らしい。そのへんどうなってるのか詳しくは語られないのだが。
さて、切札を失ったしずかは、一人で東京の父親に会いに行くことにする。いやタコピーもいるが、役には立たないので……。ところが、そこにはもちろん犬のチャッピーはいなかったし、しずかの妹にあたるのであろう母親の違う（多分。解説はない）娘たちがいて、よく分からないがとにかく、問題は解決しなかった。
で、ここからが問題である。
しずかはタコピーにまで見切りをつけ、背後から不意打ちをしてハッピー道具を奪った。そして、詳細は語られていないのだが、例の妹たち（二人いる）が行方不明になった。たぶんしずかの仕業である。
ここで時系列が変わり、過去（周回前というべきか）に戻る。
タコピーの基準では過去だが、時間軸では未来である（ややこしいな）。まりなが生きていて、でも顔に大きな傷があって、相変わらず母親に虐待されている。ある日、幼なじみの東くんに出会って、恋に落ちる。虐待されていた母親も明るさを取り戻しそうになる。ところが、引っ越してきたしずか（この時間軸では存命だった）に東くんを（恋愛的な意味で）奪い取られ、母親と揉めた末に殺害してしまい、自分も自殺する。
タコピーは馬鹿な上に能天気なので、まりなの「最後の頼み」を聞いて、「しずかを殺すために」過去へと向かう。ところが、その行為は（理由は分からないが）タコピーの属する社会の掟に反するものであったらしく、彼は罰として記憶を消されてしまった。そして、第一話に続くのである。
で、タコピーは（殴られて道具を奪われた時間軸の後）しずかに再会し、何もできない自分についてひとしきり泣きわめいたあと、「自分が持っている最後のハッピー力を使って、時間をもう一度巻き戻す」と言い出す。それをやるとタコピーは消えてしまうらしいが、とにかくそうしたのである。
そして。なぜそうなるのかはよく分からないが、新しい時間軸において、まりなとしずかが仲良くなり、問題がすべて解決しているわけではないが、とにかく元気に生きていく、という最終話が描かれてエンドとなる。
タコピーの原罪【下】感想
いやはや。連載時の盛り上がりはすごかったし、これだけ複雑怪奇な作品をわずか二巻でまとめ切った力量はすごかったとは思うが、最終話はちょっと強引に過ぎたかなあ……。
これ以上のウルトラＣを期待するのは酷というものだとは思うけれども。でもまあ、名作なのは確かです。まだノーチェックという人がいたら、是非にお勧めしたい。では。
タコピーの原罪
地球にハッピーを広めるため降り立ったハッピー星人・タコピー。助けてくれた少女・しずかの笑顔を取り戻すため奔走するが、少女を取り巻く環境は壮絶。無垢なタコピーには想像がつかないものだった。ただ笑って欲しかったタコピーが犯す罪とは…!?
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