砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【上巻ネタバレ】絵と作品の世界観が非常にマッチした秀逸の一冊!

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

同名の小説を原作としたコミカライズである。上下二分冊。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【上巻】あらすじ

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

舞台は鳥取県の田舎町。つまり、現代の日本である。

主人公は山田なぎさという中学生の少女。その中学校に、海野藻屑という少女が転校してくるところから物語は始まる。

藻屑は海野雅愛(まさちか)という、この街の出身でミュージシャンとしてかつて一世を風靡した人物の娘であるのだが、自分は人魚だ、と転校そうそうの挨拶で力説する電波ちゃんであった。というところから物語は始まる。

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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【上巻】ネタバレ

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

藻屑は美少女であるので(本人も自覚している)、最初のうちは転校生としてちやほやされるのだが、電波ちゃんの上に性格が悪いのでそのうち女子からは相手にされなくなる。しかし、そうなる以前、転校当初から藻屑に興味を示さなかった生徒が一人だけいた。それがなぎさである。そのことから藻屑は逆になぎさに興味を持ち、懐くようになる。

なぎさは藻屑にあまり関心がない。金持ちのお子ちゃまでお気楽な性格の持ち主、だと最初は思っていたからである。可愛いかもしれないが実弾を持っていない、と思う。なぎさがいう実弾というのは、まあ要するに自活していく生活力のようなものである。

なぎさの父は漁師だった。しかし十年前の嵐の日に船が転覆し、帰らぬ人となった。それから、引きこもりの兄と働く母と、貧しい暮らしを送っている。中学を卒業したら高校には進学せず、公務員、というか自衛隊に入るつもりである。真面目に考えている。

それはいいのだが、なぎさの父のことを知らない藻屑が、十年前の嵐の日に人魚であるぼく(藻屑の一人称はぼく)はどうちゃら、という話をしたので、知らぬこととはいえなぎさはキレる。しばらく険悪である。

しかしその後、なぎさのクラスメイトの少年が藻屑に片思いして、藻屑はなぎさに懐いているようだから三人で出かけないか、とか言い出す。なぎさは気乗りはしないがそれに付き合うはめになる。

さて、突拍子もないことばかり喋る藻屑になぎさは呆れるのだが、三人で出かけた帰り、泡になって消えてみせるとか言い出すのでさらに呆れる。だがなぎさは本当に消えてみせた(まあ種を明かせば簡単なトリックを使ってるだけなのだが)。

それはいいとして、藻屑はある日大きなナタを抱えていた。

「お父さんがバラバラ死体を作るために」とか無茶苦茶を言うので、なぎさが呆れて「本当は犬の死体なんだろう」と言うと、藻屑は実はそうだと言い出す。で、犬のポチをお父さんが殺してしまって、と説明を始める。

なぎさは嘘だと思って怒るのだが、藻屑は真剣であった。二人でポチを埋めた山に行ってみると、そこには確かに大きな犬の死骸があった。

藻屑は、この少女は私より不幸だったのだ、と遅まきながら悟る。上巻はそこまでである。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない【上巻】感想

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

この漫画版はまだ上巻しか読んでいないが、原作小説はだいぶ前に読破しているのでどういう作品であるかとかストーリーとかは知っている。

いちおうレーベル的にはライトノベルなのだが、ジャンルは、Wikipediaなど見ると「青春小説」と書いてある。ライトノベルとは何かという議論を始めると泥沼なのでそれはおいておくとして、基本的にシリアスな作品である。暗く哀しい。まあ筋書きのことは下巻の解説に委ねるとするが。

コミカライズとして見た場合、絵がとてもいい。上手いというのもあるが、作品の世界観にマッチしているのである。藻屑が正真正銘の美少女に描かれているのもとてもいい。

というわけで、これ以上のことは下巻の紹介をお待ちいただきたい。


砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

原作・著者桜庭一樹 / 杉基イクラ
価格792円(税込)

現実主義の女子中学生・なぎさと、自分を人魚だと言い張る不思議な転校生・藻屑。2人の少女の出会いが、甘く切ない思春期の痛みを呼び寄せる。桜庭一樹の原点といえる小説を気鋭・杉基イクラが鮮烈に漫画化!!

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