漫画「新九郎、奔る!」ネタバレ感想!応仁の乱を北条早雲目線で描く注目の歴史漫画!

新九郎、奔る!

『究極超人あ〜る』『機動警察パトレイバー』などで知られる週刊少年サンデーの大御所漫画家の一人、ゆうきまさみの最新作である(これはサンデー連載ではないが)。

後の世に「北条早雲」の名で知られる戦国武将、伊勢新九郎を主人公とした歴史漫画だ。

漫画「新九郎、奔る!」あらすじ

そもそも北条早雲といえば、古くは「室町末期の関東地方にふらりと現れた謎の浪人者が、智略と権謀術数を持って一代で戦国大名にのし上がり云々」というのが古くからお馴染みの御伽噺(おとぎばなし)だったわけであるが、昨今の研究では「実際にはそんなんではなかった」ということになっているらしい。

近年の通説では、伊勢新九郎は素浪人なぞではなく、備中伊勢氏という有力な室町幕府幕臣の家門の出身で、なんやかんやあって関東に移り住むのだそうだが、この作品は幼少期から話が始まるので、そのなんやかんやまでもいかない。

一巻はとりあえず、新九郎の少年時代からである。

漫画「新九郎、奔る!」ネタバレ

何がどこまで実像や史料に基づいているのかは知らないが、とにかくゆうきまさみによる伊勢新九郎(幼名千代丸)、その少年時代、一言で言ってしまえば「いいとこ育ちのお坊ちゃん」である。権謀術数のケの字もあったものではない。完全に子供だ。

ただ、室町幕府の方はかなり傾き始めて久しい状況なので、周囲の大人たちはみんなきな臭い。お気楽なのは千代丸の姉の伊都という人物くらいなものである。

とりあえずは「文正の政変」というものが描かれている。応仁の乱に先立って起こった、まあ室町幕府内のクーデタみたいな出来事である。

あんまり詳しく語るとそれだけで話が終わってしまうので要点をかいつまむとだ、これによって将軍足利義政側近として強勢を誇っていた千代丸のおじの伊勢貞親が失脚してしまうのである。

そのへんから、細川勝元と山名宗全がそれぞれ幕府内で台頭していき、あとはまあ応仁の乱までまっしぐらというわけなのである。

なのだが千代丸はまだ子供であるのでそれに何をどう関わっていくという筋でもない。まあ、上を仰ぎ見て憧れたり憤ったり、まだそんな感じだ。

そして1巻の最後のエピソードは「応仁元年」。文字通り、応仁の乱勃発のその年である。

漫画「新九郎、奔る!」感想

新九郎、奔る!

1巻は正直言って、序章、という印象がとても強い。応仁の乱という大イベントに向けて、伏線を縦横に張り巡らせたという感じだ。

さて、筆者は読んだことがないからよく知らないのだが、最近中公新書から『応仁の乱』というベストセラー本が出て、室町時代がプチブームになっているらしい。応仁の乱といえば、昔の本に書いてあったことは…

「あまりにも複雑怪奇すぎて、何がどうなっているのかも分からない戦争」

「参加している当事者たちでさえも、ついには魑魅魍魎蠢く情勢に疲れ切り、うんざりするような泥沼の内戦であった」といった程度のことばかりで、

「応仁の乱を詳しく読み解こうとすること自体が無理ゲー」という感じであったのだが。

ちなみに新九郎の誕生年についてはこの作品においては1456年説(異説もまだあるのだが、近年ではもっとも有力視されている説だそうだ)を取るのだが、これでいくと、応仁の乱が終わる時点では20歳くらいだったという計算になる。

2巻以降は当然、応仁の乱について深く語られていくことになると思われるわけだが、この日本史上にも屈指の大動乱に、伊勢新九郎はどのように関わっていくことになるのか、あるいはならないのか。

とりあえずは、先が楽しみであるとだけ言わせてもらうことにしよう。ここまでどう考えても10巻程度では終わりそうもない尺の取り方であるし、先は長そうではあるが。


新九郎、奔る!

新九郎、奔る!

原作・著者ゆうきまさみ
価格600円(税別)

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