郷氏作画の方のキノの旅、第2巻。2巻もジャンジャンバリバリ撃ちまくる話が収録されている。
目次
郷版「キノの旅」2巻のあらすじ
2巻の収録作品は「用心棒」「鍵の国」「英雄達の国」の三作。
それと小説であるが原作者書き下ろしの「武器よさらば」という作品が収録されている。連作短編であるので、さくっとネタバレに進むとしよう。
郷版「キノの旅」2巻のネタバレ
用心棒 -Stand-bys-
えーと、キノは出てこない話である。「師匠」と呼ばれている若い女性と、青年が一人、二人組で旅をしている。この二人の組み合わせは……漫画版では初めてであろうか? 原作でも明示はされていないのだが、キノの銃の師匠である老婆(名前不明)の若い頃の冒険を描いた話の1つだ。
タイトル通り、師匠と青年は「用心棒」をしている。商人のトレーラーキャラバンの用心棒だ。そこを盗賊らしき連中が襲いに来るのだが、師匠は強い(多分キノよりも強い)ので、あっけなく返り討ちにする。で、トレーラーの商人たちに例を言われるのだが……
師匠は、例の盗賊団の仲間の連中に、キャラバンの情報を売ってしまう。というか、最初からキャラバンの情報を手に入れるためにスパイとして潜入していたらしい。
これから多分キャラバンは皆殺しになるのだろうが、師匠としてはそんなことは知った事ではないらしいので、そこで話は終わりである。
鍵の国 -the Key of Tomorrow-
冒頭でまた師匠と青年がちらっとだけ出てきて、キノのフェイズに話が移る。「師匠が旅した国に、数十年後キノがやってくる」という、キノの旅原作では数限りなく繰り返される話のパターンの1つである。
その国は鍵の国と呼ばれている。国の中心に巨大な石版があり、その石版には鍵穴がある。その鍵穴に差し込むための鍵を、国民たちは代々受け継いでいる。ディンプルキーと呼ばれる複製の難しい高度な鍵で、少なくとも現在のその国の国民たちの技術では複製することはできない。
師匠が来た頃にはみんなが毎日のように鍵を回す儀式を行っていたのだが(鍵を回しても何かが起こるというわけではない。儀式である)、キノが来た頃には、週刊的に鍵を回す人々は一家族だけになっていた。
ところでこの鍵は何の鍵であるかというと、何かを開けるための鍵でもなければ、起動するための鍵でもない。これは、実は地下に封じられている古代の超兵器の発動を抑止するための鍵であるのだが……。
英雄達の国 -No Hero-
特に説明もなく、キノが七人組の、プロの軍人っぽい集団と銃撃戦を演じている。珍しく台詞に焦りが見えるくらい、キノにとっても難敵だ。七人組はみんな壮年男性で、何者であるかは分からないが非常に腕が立つし連携も高度なのである。
英雄達の国 -Seven Heros-
手段を選ばないキノの激烈な戦いぶりによって、結局七人組は皆殺しにされた。その上で、彼らは何者であったのかということが後で明かされる。彼らは、戦いの舞台になっている無人の国からかつて派遣された探検隊の生き残りである。国に帰ってきたら国が滅びていたので、最後にひと暴れしてやろうと、ほとんど何の意味もなくたまたま通りすがりのキノを襲って返り討ちにされたらしい。
郷版「キノの旅」2巻の感想

筆者にとって「鍵の国」だけは初見である。原作の小説、最近の数冊は追い切れていないのだが、そのどれかに収録されているらしい。
郷版はだいたいそうだが、特に教訓もなにもなく撃ち合い殺し合いになる話がメインとなっている。哲学的なテーマなどを追う逸話が多いシオミヤイルカ版とは好対照をなしていると言えよう。

キノの旅2 the Beautiful World
かつて師匠と相棒が訪れたその国の住民は、全員が首から鍵を下げていた。どうして鍵を下げているのかと師匠が問うと「わかりません」と住民は答えたのだった。その不思議な国をキノが訪ねると住民の首には鍵はなく、キノが鍵のことを聞くとすでに多くの人々が鍵を下げるのをやめてしまったという。鍵は師匠が訪れたころから伝統として国の中央にある石版に差し込まれて、石版には読むことができない文字が刻まれているのだが、果たしてその内容は……。