海が走るエンドロール【1巻ネタバレ】老婆が美大に入学して映画を撮り始めていく!?

海が走るエンドロール

昨年の暮れに発表された、『このマンガがすごい!2022』オンナ編第一位の作品をご紹介する。『海が走るエンドロール』、既刊はまだ1巻のみである。2月に2巻が出るらしいけど。

海が走るエンドロール【1巻】あらすじ

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「老婆が」「美大の映像科に入って」「映画を撮る」。あらすじというかコンセプトだが、簡単にまとめるとそういう作品である。

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海が走るエンドロール【1巻】ネタバレ

海が走るエンドロール

表紙でいい笑顔でカメラ構えてるこの女性が主人公。茅野(ちの)うみ子、夫と死別したばかりの六十五歳。

暇なので映画でも観ようかと思って古いビデオデッキを動かそうとしてみたところ壊れていたので、何十年かぶりにふらりと映画館を訪れることにした。

そこでうみ子は、海(カイ)という名のひとりの青年と出会う。

老婆であるが故のくったくのなさで、美大の映像科に通っているというカイに「映像科ならビデオデッキ直せない?」と言い出し、家に来てもらう。映像科であることとビデオ修理の技能は微妙に関係ない気はするが、たいして難しい壊れ方をしていたわけではなかったので、デッキは実際直してもらえた。

で、二人で自宅で映画を見て、カイは帰っていくのだが、その去り際にうみ子に言う。

「あなた、こっち側(映画を作る側)の人間でしょ」と。「年齢とか関係ない。今からでも、死ぬ気で映画作った方がいい」と。ここまでが一話。

このときカイが家に忘れ物をしていったので、うみ子はそれを届けるために美大を訪れることにした。で、そこでたまたま上映されていたカイの映像作品を観ることになり、感銘を受ける。で、次にもう一回美大を訪れるときの用件は「願書が欲しいのですが」になっていた。ここまでが二話。

で、うみ子は本当に面接とか受けることになる。映像科は定員割れしているそうで、入ること自体はそんなに難しくはないっぽいのだが、さすがに「うちの大学では高齢の学生を受け入れた経験はない」などのことは面接で言われる(別にそれで入学を断られるわけでもないが)。が、結局合格はした。

話はちょっと逸れて、カイの周りの人間関係やその過去なども描かれる。彼を映像の道に誘った友人との別れ(友人は金がないので美大に進学できなかった)の話やら、両親との関係がいろいろまずくて金がない話など、である。

で、うみ子が美大に入ってからしばらくの日が流れる。うみ子はちょっとした動画ではあるが、既に自分の作品を作り始めていた。それをカイが観て、「面白い」と言う。

どうも、うみ子はかなり天才型のクリエイターで、見た目はただの婆ちゃんだが、才能と素質は備えているらしい。

で、その後、うみ子は一つの決意をする。「カイを題材にして映画を撮りたい」。これを本人に告げたところで、2巻に続く、となる。

海が走るエンドロール【1巻】感想

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老婆が主人公の漫画というもの、実は無いこともないのだそうだが、筆者は正直『セブンティウイザン』シリーズくらいしか知らない。まあ、それはいい。老婆が主人公で漫画を描いてはならぬというルールは無い。

だが、「老婆が美大に入って映画を撮る話」というのは多分、史上空前だろう。美大をテーマにした漫画というのは、例えば『ハチミツとクローバー』だとか、ないこともないが、あえてそこで「老婆」というのがミソである。表紙絵一枚とってもかなりのインパクトがある。

だが、この作品は決して「老人の老後を描いたもの」にとどまってはいない。むしろ、ニュアンスとしては青春グラフィティものに近いのではないかと思う。そういうあたりに面白さがあり、そういうあたりに、「このマンガがすごい」で栄誉に輝いた秘訣もあったのではないかと思う次第である。


海が走るエンドロール

海が走るエンドロール

原作・著者たらちねジョン
価格576円(税込)

65歳を過ぎ夫と死別し、数十年ぶりに映画館を訪れたうみ子。そこには、人生を変える衝撃的な出来事が待っていた。海(カイ)という映像専攻の美大生に出会い、うみ子は気づく。自分は「映画が撮りたい側」の人間なのだと……。心を騒ぎ立てる波に誘われ、65歳、映画の海へとダイブする!!

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