真造圭伍先生が描く漫画「ノラと雑草」第4巻。完結巻である。
刑事の山田は家出少女である詩織が自分の娘とシンクロして匿う事へ。刑事と未成年の少女。禁断の関係に迫る別れの時。
間違いなく親子になった二人の最後とその後が描かれる結末巻となっています。
ノラと雑草【4巻】ネタバレ
21話ネタバレ
大宮のアパート殺人事件が世間を騒がせていく。かつて詩織も襲った泊め男。彼はSNSで出会った家出少女を狙って犯行に及んでいた。
犯人の事を知った詩織。
彼女は泊め男の自宅から逃げていった当時を思い出す。そして彼から言われた一言が脳裏を過ぎっていき、気持ちや気分も塞ぎがちになってしまう。
そして思い出す。
大宮の男のアパートにカバンを忘れてきてしまった事を…。自分に捜査の手が及ばないか心配する中、インターホンが鳴る。恐る恐るドアアイを覗き込むとリコが来訪してくれていた。
部屋にあがり、詩織の絵を見て、やはり才能を感じるリコ。しかし、浮かばない顔をしていた詩織は心情を吐露していく
『やっぱり私、普通に暮らせないのかも…』
そんな詩織にリコが声をかける。諦めてはいけない。生きていれば選択肢は増えていくと。餃子を作りながら自分の過去を伝えていくリコ。彼女は昔、苛められており、電車に飛び込もうとした時期があったと語る。
怖くてやめて生きる選択をしたからこそ、今があると語るリコ。そして山田が帰宅してくる。3人で餃子を作って餃子パーティー。和気あいあいとした雰囲気で楽しい時間が流れていく。
一方、リコはトイレを借りた後、家事当番表を見て違和感を感じていく。そこには「うみの」「やまだ」と記されていたからだ。
場面は変わって詩織の母親のもとへ埼玉県警が訪れていた。
『娘さんって今…いらっしゃいますか?』
22話ネタバレ
警察が訪ねてきて挙動不審になる母親。警察は大宮殺人事件で犯人の部屋から詩織の所持品が発見された事を母親に告げていく。事件に巻き込まれた可能性がある事を伝える。
『昨日、詩織を見かけたんですよ!』
場面転換。
リコもお暇していく。名字の違いに違和感を覚えつつ、詮索はせずに帰っていく。
酔いつぶれて寝ていた山田。
起きると詩織は旅行関係の本を読んでいた。沢山の本を持っている山田だが、そのどれも行った事がないと伝えていく。
『今度一緒にどっか行こ?』
『行こう必ず』
翌日、学校へ久しぶりに登校する詩織。空夫と対面して挨拶。同時に下駄箱前にいる大人達を見て…すぐに警察だと察知する詩織。振り返って逃げ出していく。
警察。
山田を訪ねて埼玉県警の刑事が現れる。山田は詩織を匿っていた事を打ち明けていく。上司から叱責されていく山田。
しかし、埼玉県警の刑事にとって山田と詩織の関係はどうでも良かった。彼は大宮事件に関する詩織の証言が欲しいだけ。
『お前、彼女を説得して大宮署に連れて来い』
連れて行った後の彼女はどうなるのか尋ねる山田。
『取り調べてして母親ン所に帰すに決まってんだろ』
その後、街中で黄昏れていく山田。
23話ネタバレ
山田は詩織へ連絡する。天気がいいからどこかへ出掛けようと伝える山田。家にガラを残して山田は詩織と合流。
レンタカーで移動。
とにかくプチ旅行を楽しむ決意をする山田。
まずはデパートによって洋服を購入していく。買い物も終わると夕方。辺りには夕方を知らせる夕焼け小焼けが流れていく。
それを聞いてやっぱり帰る事を伝えようとしていく詩織。
『次どこ行く?』
被せるように尋ねる山田。詩織は温泉に行ってみたいと告げていく。途中、サービスエリアに立ち寄ってトレイ。そこで詩織は母親から貰ったアウタージャケットを脱ぎ捨てていく。
そして山田のもとへ戻る。
『お父さんの着るから』
そう言って詩織は山田の購入したジャケットを着ていく。
24話ネタバレ
悪い夢を見て目覚める山田。
旅館で朝食を食べて旅行の続き。ゴンドラに乗って富士山の景色を楽しむ二人。場所は箱根の大涌谷。
ここで山田は久しぶりに携帯を開く。
不在着信12件、新着メール4件。心臓が高鳴って呼吸が乱れていく山田。携帯の電源をシャットダウンしていく。
船に乗っている二人。詩織は訪ねていく。
『いつまでこうしてんの?』
詩織はガラのことを心配していた。家で一人待つ猫のガラ。帰ってあげないと可哀想だと伝えていく。
『そうだけど…帰れない…』
『私のせい?』
山田は打ち明ける。大宮事件で警察が詩織を追っていると。そして自分達の関係もバレていると明かす。
『山田さん、もういいよ』
詩織は山田をお父さんから山田さんへと言い方を変える。終わりを察知する山田。詩織も山田へ感謝を述べていく。生まれて初めて生きていて良かったと伝えていく。
山田は最後にお願いをする。一緒に海へ行きたいと。レンタカーを走らせて海へ向かう二人。
25話ネタバレ
海へ到着。
広大な海を見て黄昏る二人。詩織はポケットから摘んできた花を取り出す。
『ココがその海なんでしょ?』
今いる海岸は山田が娘を事故で失った海であった。事故以来、海に来れたのは詩織のおかげだと感謝する山田。
『君を救うつもりだったけど救われてたのはオレの方だったんだな』
照れる詩織。
辛気臭いのが嫌なので高台までダッシュしようと伝えていく。
詩織と娘がシンクロしていく山田。
詩織が後ろを振り返ると山田の姿はなかった。彼は海の沖に向かっていた。場面は暗転。サーファーの協力もあって助けられていた山田。目覚めると心情を吐露する。
『死にたかった…ホントはずっと死にたかった…』
『死んじゃダメだよ』
後日、リコはニュースを見て驚く。山田が未成年略取と誘拐の疑いで逮捕されていたのだ。刑事の不祥事として大ニュースになっていた。
学校の美術室。
詩織と親しかった空夫。同級生からからかわれていく。詩織を悪く言う同級生に殴りかかっていく。そして返り討ち。詩織の似顔絵を見ながら涙を流す空夫。
最終話ネタバレ
舞台は4年後の春。
ルポライターの浜渡は山田と詩織を追いかけていた。リコに接触して取材をしていく浜渡。
猫のガラはリコが引き取っていた。当時の二人の様子を語るリコ。そして現在、詩織が何をしているのか心配をしていく。リコは彼女の所在を掴めていなかった。
続いて浜渡は詩織の母親に取材する。
事件後、詩織は母親のもとへ。しかし、反りが合わず、詩織は施設へ。しかし、詩織は施設を夜中に脱走。以来、行方不明になっていた。
山田に対する嫌悪感と自身の不甲斐なさを懺悔していく母親。
『あのコは私を愛してくれたのに…私はあのコを愛せなかった…』
続いて浜渡は山田と接触していく。
罪を償い孤独に生きていた山田。しかし、顔は晴れ晴れとしていた。車を購入して日本一周をしようとしていた。
詩織の事件について語る山田。
浜渡も思っている事を素直に山田に告げていく。彼女の意見に感謝を述べる山田。天候が晴れてきて店内に日差しが入る。山田はおまじないと称して両手の手のひらを上に向けて太陽の光を感じていく。
取材を通して感じた感想を打ち込んでいく浜渡。
そして最後、詩織が描かれていく。髪を染めており、駅ホームに立つ彼女。日差しを浴びて彼女もまた両手の手のひらを上に向けて太陽を感じていく。
ノラと雑草は完結。
ノラと雑草【4巻】感想
フィクションの漫画であるがリアルに感じてしまう漫画である。こうしたら現実世界でもこうなるよねといった具合の要素が多く盛り込まれていく。
結末も決してハッピーエンドとは言えない。しかし、実際に山田のような事をすれば同じ結果になるだろう。フィクションだがリアルがあるのだ。
成長した詩織の顔は描かれないが、背中を見る限りは精一杯に生きている事がわかる。
切ないが1巻~4巻を通して非常に引き込まれる内容であった。興味が出た人は是非、読んでほしい極上のヒューマンドラマ漫画である!
ノラと雑草
貧困、虐待、JKビジネス。国内外から注目を集める最旬作家・真造圭伍が、この国に生きる少女の今リアルを見つめる衝撃の最新作!/刑事・山田はJKリフレのガサ入れ現場で、亡くした娘にどこか似た少女・詩織に出会う。母親からの虐待で家出を繰り返す詩織に迫る危険。山田は、少女を救うことができるのか。 希望を知らない家出少女と、希望を失くした中年刑事。 二人の出会いが、絶望を溶かしてゆく。
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