かなり久々のご紹介となる。『ニジとクロ』、2巻である。
ニジとクロ【2巻あらすじ】
前巻、SNSで知り合った人と対面することになる場面で幕を引いたわけだが、ふたを開けてみると一見クロと同年代に見えるその女性は、童顔で背が低いというだけでクロより10歳も年上(つまり28歳)の、しかも既婚の女性であった。まったくくったくのない態度で、クロと仲良くなった彼女、田中藍(以下、アイ)は、クロをさらにハッピーマウス飼育者交流の「オフ会」に招待する。
で、そこでアイの旦那さんの田中惠(けい)、それと高台大介(こうだいだいすけ、通称ダイダイ)というイケメンだがハッピーマウスのことしか頭にない青年と知り合うことになる。
で、新しい人間関係も生まれたところで、そこから物語が大きく転がっていくのかというと……それがそうでもないのである。
ニジとクロ【2巻ネタバレ】
重要キャラクターとして配置されているとしたらこの人しかいないのでもうちょっと掘り下げるが、ダイダイはハッピーマウス一筋の人間なのでクロに異性としての興味を抱いた様子はないし、クロもダイダイのいい加減な性格(だと少なくともクロは思っている)のおかげでちっともいまのところ惹かれたりする様子はない。
で、その後どうなるかというと、ネットを通じてハッピーマウス飼育仲間(鳥友)が三人ほど増えるには増えたのだが、あくまでもネット上での鳥友としての交流に留まり、まあ「他のハッピーマウスに会いに行く」などというイベントが差しはさまれたりするにはするのだが、その後はやっぱりクロとニジののんべんだらりとした感じの日常が割とだらだらと展開されていく。
親に言われて珍しくおめかしをしたクロに対して、ニジが異様なまでの興奮を示したり。
クロが買ってきたおもちゃに対してニジが猛烈な抵抗を示したり、クロが入手したハッピーマウスのぬいぐるみ(そんなものが売られているのだ)に対してニジがやきもちを焼いて見せたり。
ニジがチョコレートを食べるのが好きだということが分かって、一家が混乱に陥ったり。ハッピーマウスにチョコレートは毒ではないが、やはりあまりたくさん食べさせるのはよくないのだそうだ。
ニジがハッピーマウスの中でも突出して、「言語らしきものを操る」能力が高いらしいことが分かる、というのは2巻では比較的大きな展開のうちに入る。
ニジが本当に言葉を操ることができるのかどうか、クロや他の鳥友たちも考えてみるのだが、突き詰めてみると「理解して言語を操っているのかどうかなんて、そもそも人間同士の間でだってわかりはしない」という結論にたどり着いて落ち着くことになるのだが。
とはいえ、クロは挑戦する。ニジに物の名前を教えていくのである。今巻ラストでは、「水」の名前をニジが言えるようになった、というところで話が終わる。「ヘレン・ケラーかよ!」というツッコミが入りつつ。
ニジとクロ【2巻の感想】
今のところ、ちょっと不思議なまったりとした動物飼育漫画である。
架空動物を扱っているというのが多少捻ってある部分ではあるが、くどいようだが同作者の前作『かんなぎ』で見られたような(人間の)キャラクターの魅力、キャラクター同士のかけあいというものがまだなりを潜めているというのがどうにも痛しかゆしといったところ。
三巻以降の展開もやっぱりまったりとした感じで動いていくのか、ダイダイというイケメン青年と関係が動いたりなんかするのか、それとも新キャラでも出てきたりするのか。
予想は尽きないが、まあとにかく『かんなぎ』全巻購入者の身としては次巻もチェックを入れてみようとは思う。
ニジとクロ
白黒はっきりしないと気がすまない女子大生・白星クロエが保護したのは、ニジイロテンゴクオウムのニジ。飼い主が現れるまでの1週間、世話をするうちにすっかり懐かれたクロ。そんなクロにニジは謎のダンスを見せるのだが、なんとそれは求愛行動だった!! ハッピーマウスと呼ばれる鳥(?)との不思議な出会いが、クロの日常を七色に彩り始める――。『かんなぎ』の武梨えりが描く、ヘンな生き物と女の子のちょっぴりおかしな日常譚開幕!!