無法島、第2巻である。
無法島【2巻あらすじ】
通称「無法島」での暮らしは始まったばかりだが、ほぼ二つのグループが形成されている。
主人公カイトと、魔女こと美空が所属するグループと、港を根城にするジンボを頭目とするグループである。もしかしたらほかにもあるのかもしれないが少なくとも2巻時点では描写されていない。
ごく簡単に説明すれば、カイトの属するグループのリーダーはカイト自身である。そういうわけであるので、(比較的)闘争を好まない人間が集結している。ジンボの方は、完全にモヒカンでヒャッハー的な世紀末ノリである。
ジンボたちは食料供給路を抑えているし、女も確保している(抵抗したが奴隷にされてしまった人たちが二人ほど)のだが、欲深いし執念深いので、執拗にカイトと美空を付け狙う。そういうわけで、両グループの間でひたすら闘争(ほぼ殺し合い)が展開される。そんな感じのあらすじである。
無法島【2巻ネタバレ】
といってもカイトは本人の主張するところによれば人殺しではないので、人を殺すことを好まない。というか、殺したことがまだないかもしれない。投石って非常に危険な、戦争でも古くは用いられていた殺人術の一つなんだけど。実際、石つぶてを喰らって寝込んでそのまま死んでしまったんじゃないかと思われる敵もいる。
だがカイトは手加減をしたいのである。なるべく不殺を貫きたいのである。それをやるには最強である必要があり、カイトはあいにく最強からは程遠いので理想の通りに行動はできないのだが。
さて、二巻になったところで、普通の無人島サバイバル(無人島じゃねえけど)らしき描写も少し挟まれる。食料供給路を絶たれているカイトたちは、素潜りで貝を取ったりなんだりして生きているのだ。
しかし、基本的にみんな心を病んでいる(それはカイトも同じである)ので、ある日美空が海で入水自殺をはかる。「溺死は苦しいよ」とか言ってカイトが止めるのであるが、そんなことをしている間に、ジンボの手下数名に根城が襲われた。ふいを付けるのはよいのだが、あいにく武器がない。拾った石と棒切れだけである。で、いったん逃げる。そして旧校舎を見つけて、そこに籠城することになる。
しかしそれも詐術だった。旧校舎にこもっていると見せかけて、カーテンを使ってロープを作って(器用だなあ)下に降りたカイトと美空は、準備万端待ち構えて結局刺客たちを撃退したのであった。投石と棒術で。
で、撃退されてしまった側のジンボは、手下どものふがいなさを嘆く。無能な手下は処刑して、しかしまだまだあきらめていないという感じである。そういったところで三巻に続く。
無法島【2巻の感想】
1巻の紹介でも書いたが、この作品の作者はかつて『ホーリーランド』という、ストリートファイトものの格闘漫画を描いていた作家である。ストリートファイトといってもゲームのあれではない、文字通り路上でする喧嘩まがいの格闘のことだ。
というわけで、今回採用されているのは剣道と投石術なわけであるが(余談だが、自殺島の主人公は弓術の使い手であった)、地に足の着いた描写がいい。
漫画の格闘術の使い手でありがちなのは、なんだかよく分からないがやたら強くて無双する、という種類のやつである。美空はおそらく段位持ちの剣道家だと思うが、しかし相手が複数いたりしたらどうしたって苦戦する。そういうあたりの描写がとてもよくできているのだ。
いっぽう、ジンボの方はよく分からない。どう見ても強そうで、見た目からするとプロレスラー(悪役)そのものなのだが、どういう戦いをするのだろうか。そして戦うとして何巻くらいからだろうか。先は長いことになりそうだ。
無法島
20××年、政府は増え続ける凶悪犯に対し、試験的に流刑制度を復活させた。死刑に相当する凶悪犯62名が送られた島の名は、通称「無法島」――。家族を惨殺され、無実の罪を着せられ、この島へと辿り着いた一人の青年。あまりにも過酷な現実が、いま動き出す…。累計330万部超の大ヒットサバイバルコミック「自殺島」。そこでは語られなかった前日譚を描く、衝撃の話題作!!