シオミヤイルカ版『キノの旅』、第4巻である。
漫画「キノの旅」4巻あらすじ
よくもまあ集めも集めたり後味の悪い話ばっかりである。それはそれとして、重要な点が一つ。
シズの旅が始まった。いやシズは前から旅をしてはいるのだが、3巻で書かれた「コロシアム」の話でキノと出会って、その後再会したりしなかったりもするのだがそれとは別に、シズ自身の旅が描かれるようになるのだがその記念すべき第1話目(原作では第1話じゃないかもしれないが)が収録されている。
漫画「キノの旅」4巻ネタバレ
魔法使いの国1/2
退屈な長旅の末、キノはとある国に辿り着く。民衆は比較的友好的で、まあ全体的に言うと普通の国だ。ただ、国長が旅人に語って聞かせるお国自慢が長ったらしいのが玉に瑕だという程度。ちなみに国の自慢は、街の中央広場に飾ってある町の歴代偉人たちの彫像。ところが、街の住民でひとり、その銅像をどけてくれ、と主張している人がいる。若い女性。キノは退屈しのぎにその人の家に行ってみる。変な機械があった。女は、これは飛行機というもので、これを十分な滑走路の上を走らせれば空を飛べるのだ、と説明する。キノはふーんという顔をしている。
魔法使いの国2/2
エルメスと女が何やらいろいろ相談をしたりキノが口出しをしたりした結果、銅像を退けなくても離陸はできるらしい、という話になった(ちなみにエルメスは、何故か分からないが恐ろしく高い科学工学知識を持っている)。で、飛んだ。国じゅうの人が、なんてすばらしい、あなたはきっと魔法使いに違いない、と言って女を拝み始める。女が困惑する前で、キノはスタコラサッサと逃げた。
エルメスの前でキノは言う。「あんなものがまさか本当に飛ぶなんて思ってもみなかった」。これを聞いてエルメスの方が大いに悩むのであった(ちなみに、この世界には大陸間弾道弾を作り出した文明さえも存在するが、基本的に飛行機械はあんまりない)。
過保護
どこかの街角(どこかの町に滞在しているらしいが詳述はされない)。戦争に行かされる少年と、その両親が言い争っている。母親は防弾チョッキを持たせようと言い、父親は塹壕があるからそんなもの要らないという。本人は、戦争には行きたくないと言う。キノはとりあえず「三人でよく話し合ってみては?」とか言ってお茶を濁し、率直に言えば何ら関与せずその場を立ち去るのだが、引っ立てられていく少年の表情は絶望にみちている。それだけの話である。
このシリーズでも最高潮に後味の悪い作品かもしれない。
絵の話
戦争をしていた国があった。戦争は終わり、戦争が終わった事を記念するために、人々は戦車の絵を買い求めていた。この絵には崇高な理念が込められていてなんだかんだ、と人々は言うのだが、キノが偶然会った画家本人は「戦車ってカッコいいから好きなんだ」とだけ熱く語るのであった。
続・絵の話
同じ国、しばらく後、キノが立ち去った後をシズが訪れる。例の戦車の絵が焚火に投げ込まれている。例の画家は落ち込んで、何か暗い抽象画を描くようになっていた。その絵を見てシズが驚愕する。これは素晴らしい芸術作品だ、というのである。この絵は金になる、と言うのだが男は戦車の絵で既に大富豪になっているので興味を示さない。欲しけりゃ全部持ってってもいいよ、と言われ、シズも心が揺れるのだが、芸術作品の運搬をするのは難しいので結局断念する。芸術家がひとり覚醒したにも関わらず誰も報われず誰も救われない。そういう話である。
漫画「キノの旅」4巻の感想
まあ、4巻ともなれば慣れたものである。いつものシオミヤイルカ節だ。郷版と色彩の違いを楽しむもよし、好きな方だけ楽しむもよしと言ったところだろう。
キノの旅 theBeautifulWorld
短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。1巻では「大人の国」「人の痛みが分かる国」「レールの上の三人の男」を収録。
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