現在3巻まで出ていて、未完結の作品。作者はかなりキャリアのあるベテラン。
漫画「官能先生」あらすじ
主人公は鳴海という、40歳独身、出版社勤務のかたわら小説を書いている兼業小説家。神社の縁日で仕事運を占ってもらったら、「恋をしているね」とか言われる。しかも「相手もあなたに恋をしている」と続く。しかしそんな相手はいないのである。「この恋路はきっとうまくいく」というのだが、くどいようだが身に覚えがない。
だが、そのあと縁日の雑踏の中で、鳴海は一人の美しい女性に出会う。彼女の下駄の鼻緒が切れてしまい、それを直すという、なんか江戸時代のラブロマンスには既にあったんじゃないかなというような古典的描写が差し挟まれ、二人は名前すら名乗ることもなくその場で別れる。
だが鳴海は一目惚れしていたのである。
漫画「官能先生」ネタバレ
そうはいいつつもう会えることもないだろうと思っていた鳴海であったが、割と再会は早かった。彼女は行きつけの喫茶店のウェイトレスだったのである。
名前は雪乃、年齢22歳。だが態度がそっけない。祭りの日のことなどなかったが如くの態度を取ってくる。というか、ウェイトレスと客という関係にしてもちょっとそれは態度が冷たいんじゃないかなという態度である。
その日から鳴海の猛アプローチが始まる。とりあえず名刺を渡してみたり、割とさっくりと愛の告白をしてみたり。雪乃にはやっぱり冷たくあしらわれてしまうのだが、鳴海からは見えない場面で、雪乃が激しく赤面している描写が差し挟まれたりする。
さて、鳴海は小説家であるのだが、官能小説というかポルノ小説を扱っている出版社から依頼が舞い込んでくる。場所は例の喫茶店である。自分にはそういう作品は向いてないと思う、と抗弁する鳴海なのだが、その一連の会話を雪乃に聞かれてしまっているため、ひやひやものである。
ある日、雪乃が野良猫に煮干しをやろうとしているところにはたと出くわす鳴海。これもまたベタなシーンではあるが、少し距離が近付いた?みたいな感じで鳴海はウキウキしている。そのあと、雪乃に自分の本を渡そうとして断られるのだが、雪乃は本屋に行き、鳴海の本を自分の金で購入して読み始める。
ある雨の日、例の縁日があった神社に行ってみる鳴海。そうするとそこに雪乃が雨に濡れていた。何か探し物をしているらしく、探しているものというのは、初めて出会ったあの日に鳴海があげた小さな鈴であった。鳴海は思わず雪乃を抱きしめ、唇を奪ってしまう。だが雪乃は言う。
「キスくらい、たいしたことじゃないですから……」
とことん素直になれない女である。おおむね、一巻はここまで。
漫画「官能先生」感想
『官能先生』などというタイトルだから淫猥でドロドロした性描写のきつい作品なのかと思ってページをめくったら全然違った。
主人公、40歳にもなってとても純情である。純情先生だ。
雪乃という女の方も、22歳になるわりにはやることが子供っぽい。どうも、態度が冷たいのは恋をすることに照れているからではないのかという感じだ。恋に恋する幼さというのもあるが、こっちは恋をすることを恐れる幼さである。どう見ても満更でない感じではあるのだが。
あらすじにもネタバレにも書けなかったが、主人公・鳴海が雪乃を想って自慰に耽る場面というのが何度も何度も書かれる。官能先生というよりオナニー先生じゃないかと作者にまで突っ込まれる始末である。
とりあえず前述のように現在、3巻まで出ているわけだが、これが3巻までかけてどれだけ進展することだろうか。先を楽しみにして読み進めたいと思う。
官能先生
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