新規シリーズをご紹介する。ボーイズラブ系オカルトホラーである。
光が死んだ夏【1巻】あらすじ
ある日、親友が山で行方不明になり、しばらくして戻ってきた。だが、戻ってきた「それ」は親友ではなかった。何か、「人ではない、この世のものでもないバケモノ」が、親友の死体に取り憑いたものであったのである。
というのは物語の話そのものではなく、話の前提なのだが。
具体的に何が描かれるかというと、主人公の少年と、その化け物との同性愛的恋愛である。
光が死んだ夏【1巻】ネタバレ・感想
舞台は田舎の町。ちょっと足を延ばせばファミレスくらいはあるが、それでも山間部にある田舎の町である。
主人公の少年と、光は、学校の友人であった。男同士だが、主人公はどうやら光のことが好きであったらしい。男同士だからどうだ、とかそういう苦悩をしている風はない。そういうあたりはなんていうか、実にボーイズラブ的文脈で描かれている感じがする。
ある日、主人公は思い切って光に聞いてみた。「お前、本当は光じゃないだろ」。光は、本当の姿(形容しがたい異形の怪物)を垣間見せて答えた。「なんでわかったん 完璧に擬態してたのに」。
完璧だと思ってるのは本人(人じゃないが)だけで、ぜんぜん完璧でもなんでもないのだが、とにかく擬態してたのである。
さて、ここでは「光は人ではない何かである」ということしかまだ分からない。実はこれ最初読んだときというか読み始める前、SFでエイリアン的なものなのかと思っていたのだが、ぜんぜん違った。割と古典的な、オカルトホラー的な分脈であった。
「そいつ」はその山に古くからいたらしく、名前もついている。ある老婆が、「山から来たそいつ」に対して罵声を浴びせかけた。光に不審を感じるのは主人公だけではないらしく、一目見ただけで見破られるようなこともあるのである。ちなみに猫にも警戒されている。
その老婆はまもなく、変死を遂げた。さいしょ光が殺したのかと思ったが、そういう話でもないらしい。なんか、もっと名状しがたい「災厄」が始まっており、その化け物は「この世とあの世の境目」を捻じ曲げるような強大な力を持っているらしいのだ。
もっとも、本人はそんなこと意識している風がない。光の記憶を読み取っているのだが、本人にはそこから独立した自我があり、人間としてのささやかな暮らしを楽しんでいる。本人はそれだけのつもりである。
老婆が死んだあと、光のいない状況で、主人公は知らないおばさんに声をかけられた。「あなた、よくないものと関わってるでしょう」。どういうことかと問い返すと、「自覚せずにやっているわけじゃないわよね。いや、私はただの主婦だけど、ちょっと“見える”のよね」ということである。オカルトホラーもののお約束、霊能力所持の一般人(ランク低め)の登場である。
主婦の人は連絡先を置いていった。結局、主人公はその人に相談することになる。いろいろ教えてもらう。この町はおかしくなり始めている、その原因そのものがその光という少年の姿をした「何か」なのであるという。
で、具体的にどうすればいいのか。どうやら、どうにかしないといけないらしい。最低でも、光と別れることだけは必要である。死んだものは死んだのだからそれを受け入れないといけないのだが、好きな人に死なれてしまったことが辛くて、だらだらとそれに化けた怪物と付き合っていたわけである。
さて、1巻ラストシーン。光は主人公に告白する。愛の告白である。光そのものが元からそういう感情を持っていたとは考えにくいものがあるので、「そいつ」自身の感情であると思われる。というわけで、そんなに長い作品にはなりそうもないなあ、次巻に続く。
光が死んだ夏【書籍情報】
光が死んだ夏
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。新進気鋭の作家・モクモクれんが描く、未知のナニカへ堕ちていく物語、開幕。巻末には在りし日の2人を描いた、描き下ろし短編も収録。
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✅ 光が死んだ夏【2巻ネタバレ】ボーイズラブと共に描かれる禍々しい怪異に戦慄が走る!?
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