漫画「江戸力士咄」ネタバレ感想!猫と供に紡がれるお江戸人情物語!

江戸力士咄

「お江戸ねこぱんち」という雑誌で連載された作品で、つまりタイトルはこうだが、相撲よりも猫がメイン。猫が取り持つお江戸人情ものである。

漫画「江戸力士咄」あらすじ

主人公は三毛の山という力士。いちおう幕内力士だが、いつも幕尻のあたりをうろうろしていて、関取としてはそんなにパッとしない。身体は立派なのだが、性格が優しすぎるところがあって、勝負ごとに向いていないのである。そして、大の猫好き。

この物語は、そんな三毛の山を中心に進んでいく。

漫画「江戸力士咄」ネタバレ

三毛

冒頭、いきなり三毛の山が負けて、観衆にブーイングを浴びせられているところから始まる。親方にも厳しいことを言われる。お前には上を目指す熱意が足りないと。そんな相撲を取り続けるならいっそ棒手売(ぼてふり)に戻ったらどうか、などと言われる。

棒手売というのは江戸の町で食品などを売り歩く人のこと。三毛の山は魚屋の生まれなのである。店は兄が継いでいるが。

そう言われて本人も、魚屋に戻ろうかなどと考え始める始末なのであるが、結局やっぱり自分は相撲が好きだということで一念発起、負けはするが良い相撲を取って負ける。

黒石

この話は黒石(くろいわ)という幕下の力士が主役。黒石は三毛の山とは全然性格が違い、真剣勝負が大好きで、勝つためなら手段を選ばないというタイプの力士。三毛の山とは違う意味で人気がない。

この黒石という力士が精神的にちょっと成長を遂げて、勝つためには手段を選ばないという相撲から、真っ向勝負の相撲へとスタイルを変える話である。

谷山

谷山は小結である。相撲は汚いが、鬼のように強い。どう汚いかというと、相手を怪我させることが多いというなかなか凶悪な汚さである。さらに性格も悪い。

三毛の山は大人しい性格だが、谷山がたまたま道端で行き会って、弟弟子に乱暴を働いたのでさすがに怒り、これはなんとしても谷山を負かしてやりたいというので黒石を相手に熱心に稽古をする。

なお、結局三毛の山は谷山には勝つ。決まり手は足取り。しかし場所は負け越しであった。

寅吉

寅吉というのは行司である。話の冒頭では幕下三段目格。つまりはひよっこだ。それが次の場所で、幕下格に昇格する。ところが土俵の上で失敗をして、したたかに叱られる。

寅吉は落ち込むが、同僚たちに励まされる。そして、また土俵に上がる。難しい一番を裁くことになり、物言いがつく。一同ひやりとなる場面だが、判定は行司軍配通りであった。

梅さん

梅さんというのは力士でも行司でもない。猫の名である。三毛の山が可愛がっていたのだが、うっかり逃がしてしまう。結局、預かってくれていた人がいたのだが、猫を逃がすような人には猫を返せない、どうしても返してほしかったら力士として本気を見せろ、などと言われる。そこで三毛の山は、「次の場所、九つの星を全部取りに行きます」と約束してしまう。

無茶である。この時代の相撲には優勝という概念は無いが、それにしたって無茶である。病気の子供のためにホームランを打つとかいう話の十倍くらいは無茶であろう。

だが三毛の山は秘めていた力を覚醒させたかのように連勝街道を驀進(ばくしん)する。九番目の相手は谷山である。そして三毛の山は勝ち、まっしぐらに梅さんのところに駆けて行くのであった。

漫画「江戸力士咄」感想

江戸力士咄

おしむらくかなちょっとスポーツ漫画として見た場合、絵的な躍動感には欠けるのだが、人情ものとして見ればよくまとまった作品ではある。あと、猫漫画としても。


江戸力士咄

江戸力士咄

原作・著者にしだかな
価格550円(税込)

相撲部屋の若き力士達と部屋に居ついた猫たち…彼らの絆はどんなものより固く、土俵で戦う男達の力になっていました。江戸を舞台に繰り広げられる温かい人情と猫の物語。

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