面白いんだけど諸々先行きの不安な作品。
『ヤオチノ乱』第2巻である。
最近よく聞く類の話ではあるが、1巻は書籍版も出版されていたものの2巻は電子書籍版のみの発売となっている。
漫画「ヤオチノ乱」2巻あらすじ
1巻の続きで忍者バトルロワイヤルが展開されていくのだが、2巻のメインの敵を倒したら、「試験終了、お前たちが合格だ」と告げられていきなりバトルロワイヤル編は終わってしまう。
そして3巻に続く、となる。
明らかにまいて展開している。テコ入れなのかもしれないが、それにしてもなんというか、読まされる方は先が不安でたまったものではない。といっても連載自体は新章突入という形でまだ続いているようなのではあるが。
漫画「ヤオチノ乱」2巻ネタバレ
キリネとシンヤは前巻の続きでネットカフェに滞在している。それを外から監視している男が二人。こいつらも敵のニンジャである。作中で名前は登場しないが、便宜的に「フードの男」「モジャモジャ頭」の二人組と呼称する。
キリネもシンヤも、フードとモジャに気付いていない(読者は作者からフードとモジャの視点を示されているので知っているが)。そんな中、キリネは二人とは別の敵ニンジャを発見する。便宜上の呼称「ミュージシャン」、路上ライブのミュージシャンのふりをしている女ニンジャである。どうでもいいが、目の前に西武デパートがあるのでここは池袋の東口のようだ。
ミュージシャンはシンヤには気付いているがキリネには気付いていない。フードとモジャはそれらの全ての流れを把握している。というわけで、ここに三重尾行の追いかけっこが始まることになる。
キリネは追いかけているので、ミュージシャンの足さばきが図抜けて巧みであることにすぐ気付く。尾行術・移動術の達人ということだそうだ。
ところで、キリネとシンヤはキリネからシンヤへの「合図」を決めている。身体のどこかに小石などを当て、その当てた場所によって指示の内容を決めるという合図である。そのことに気付いたフードとモジャは、シンヤに適当なものをぶつけてその意図を攪乱する。一方、シンヤを尾行しているミュージシャンはシンヤが混乱しているので自分も混乱する。最終的に、シンヤとキリネに挟みうちにされたらしいと気付き、煙幕を投げて逃げて行く。
結局、キリネとシンヤはミュージシャンを逃がしてしまう。なんでも、ミュージシャンはこのあたりの地理を既にすみずみまで把握し尽くしていて、立体的にビルのあいだを飛んで逃げたりもできるので追いつけなかったらしい。ミュージシャンの能力は実に地味であるが、そういうあたりがいかにもこの作品だ。
キリネとシンヤからは逃げ切ったミュージシャンであるが、フードとモジャに奇襲され、バトルロワイヤルからはリタイヤとなる。
フードとモジャがなぜキリネの追跡をも振り切ったミュージシャンを追い切れたのかといえば、試験選考官が使役しているニンジャカラス(的なもの)が空中にいるのを確認し、それを手掛かりにつり目を追っていたのだそうだ。
さて、ここからはフードとモジャの二人組と、キリネとシンヤの直接対決が展開されていく。まず、寝床のネットカフェが襲われ、金や荷物を奪われてしまう。そして橋の下で寝る羽目になる。あちこちに隠している金などはあるのだが、苦境には相違ない。
ところがここで急展開が入る。まいて進んでしまうのである。いきなり二人組とシンヤの対決のシーンになり、シンヤの記憶が飛んでる間に、シンヤのもう一つの人格が二人組をノックアウトしてしまった。そしてその場に、キリネが「お兄様」と呼ぶ試験官が現れ、試験終了を告げるのであった。
漫画「ヤオチノ乱」2巻の感想
テコ入れはテコ入れとしてそれでも話自体は文句なしに面白い。もっと多くの人に知って欲しい。それに尽きる作品である。
ヤオチノ乱
現代に忍者は生きている――。スパイ天国と称される我が国にあって、本当は世界最強の諜報集団が存在し、護国の柱となっているのをご存知だろうか? いわんや忍者のことである。「八百蜘」なる一族に生まれ育った少女・キリネは、とある「大会」に参加していた。その表向きの目的は、日本代表の忍者を選抜すること。しかしその実態は、四日以内に他の参加者を間引かなければ自身が絶命するという凄絶なるサヴァイバルであった。