四ノ宮小唄はまだ死ねない【ネタバレ感想】ゾンビ系女子高生の探偵物語!

四ノ宮小唄はまだ死ねない

四ノ宮小唄はまだ死ねない ーBORDER OF THE DEAD−』1巻を御紹介する。原作(公式サイトでは原作担当と明記されてはいないのだが)の大槻涼樹という方は、昔好きだった『終末の過ごし方』というゲームなどのライターをしていた人なので、そういう縁でチェックを入れてみた。

四ノ宮小唄はまだ死ねない【あらすじ】

ジャンルは……えーと、SFだろうか。いちおう現代の世界が舞台になった、ただちょっと設定的にはSF的な、まあライトSF活劇である。

この世界には「ボーダー」と呼ばれる人々がいる。

正式名称は「“生”同一性障害」。性同一性障害の間違いではない。生同一性障害である。死んでいるのだが、何故か生前と同じ意識を保っていて、知的な活動ができる。食事もする。そして死ぬことができない。ちなみに、LD(リビング・デッド)という裏の呼称もあるが、かなり危険な差別用語らしく無暗に口に出すものはいない。「ゾンビ」に至ってはなおさらである。誰も言わない。

さて、主人公四ノ宮小唄はそのボーダーの若い女性で、警察に協力して生活しているのだが、そんな彼女が関わるさまざまな事件が各話完結方式で描かれていく。

四ノ宮小唄はまだ死ねない【ネタバレ】

四ノ宮小唄はまだ死ねない

第1話 お悔み申し上げます

とりあえず第一話であるので、設定や主人公の紹介を兼ねつつ、最初の事件はある若い女性のボーダーが「殺人事件」の被害者として警察の調査の対象になるところから。主人公の小唄は、女が「処女であるかどうか」を執拗に訊く。男の匂いがすることを嗅ぎつけたのである。結局、女は同棲相手の男に殺されていて、しかしボーダーとして目覚めた後「男とやり直したくて」犯行の痕跡を隠すなどしていたということが分かる。

第2話 生きてるフリ

アイドルが爆発事故に巻き込まれ、致命傷を負った(ように見える)シーンから始まる。しかし、死んでいないのである。いや、死んでるのだが、この時に死んだのではなく、もっと前から死んでいたのだ。結局、犯人は「ボーダーがアイドルをやっていることが許せない」とひそかに思っていたマネージャーの女性であった。

第3話 敵の敵は逆に味方

小唄は貧乏である。ボーダーは人権も認められておらず、まともに働くこともできないので、生きていく(いや死んでるんだけど)のは大変なのである。そんな彼女が、NHKの集金を装う詐欺師に騙されてさらに赤貧に陥るのだが、その詐欺師は二人組の、女性の、そして二人ともボーダーである連中だということが分かる。

第4話 ご協力お願いします

麻薬の売人を見つけるために張り込みをする小唄たちの話である。この4話と5話はエピソードとして繋がっている。

第5話 税金天国(タックスヘイヴン)

麻薬の売人を発見した小唄たちは、知り合いから自転車を徴発(ほとんどかっぱらいだが)して、その売人を追う。やっと追い詰めたのだが、その売人もボーダーであった。彼(男である)が扱っている「麻薬」は、通称「タックスヘイヴン」。ボーダー専用の覚醒剤みたいな代物だそうである。小唄は男を事実上捕まえることに成功するのだが、前の話に出てきた詐欺師二人組がなぜかしゃしゃり出てきて、「その男をこっちに渡せ」とか言い出す。なんだこいつら? というところで、次巻に続く。

四ノ宮小唄はまだ死ねない【感想】

四ノ宮小唄はまだ死ねない

作中で一言もその単語は使われていないのだがまあ要するに一種のゾンビものSFであるといえよう。「ボーダー」と言うものの存在する世界、の作りこみがどうなっているのか、まだまだ見えてこないので、とりあえず次巻以降に期待と言ったところだ。


四ノ宮小唄はまだ死ねない

四ノ宮小唄はまだ死ねない ーBORDER OF THE DEAD−

原作・著者りいちゅ / 大槻涼樹 / モンスターラウンジ
価格660円(税込)

“生”同一性障害、通称『ボーダー』。“性”ではなく“生”ーーいのち。それは10年前に突如現れ、世界の約7.6%の人間を“死者”へと変えた新たな疾病。彼らは主観では生きていて、けれど客観的には“死体”でーー。生と死の境が揺らいだ社会で巻き起こる未知の事件に立ち向かう、女子高生探偵×ボーダー少女の生死バディ探偵譚!!

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