『先輩はおとこのこ』2巻である。表紙はヒロインの咲。男の娘でもなければ女装でもない。女性である。
先輩はおとこのこ【2巻】あらすじ
非常にシンプルなあらすじから成り立っている。まず、なんか学校で記念日だかなんだかのイベントがある。ダンスパーティーである（いい学校だなあ）。男はスーツで女はドレスを着る。まことはドレスを着る予定であるが着ていくドレスがない。ので、三人で買いに行くことになる。まことと先とりゅうじである。
で、ひとしきり買い物を楽しんで帰るのだが、ちょっとかわいい感じのハンカチを自室に置いていたのが母親に見つかった。ちょっとまずいらしい。母親に問い詰められるまこと。
それはガールフレンドのものであると誤魔化したまこと、学校で女装をするのをやめてしまった。
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先輩はおとこのこ【2巻】ネタバレ
無理して「ふつう」を目指そうとするまことの悪戦苦闘が始まる。とりあえず男子用の制服で学校に行き、クラスには普通に適応している（ように見える）。問題は、何を考えているのかということなのだが、咲が本人より先にキレる。自分を偽るのはやめてください、と言って。
その後もまことの普通の服を着ての暮らしは続き、しかし一週間くらい咲は姿を見せなかった。一週間後、また問い詰められる。先輩の本心はどこにあるんですか、と。
そらっとぼけるまことであるが、咲は騙されない。普通の男に戻って咲と付き合うことにするみたいなことを言うまことであるが、咲はそれを拒絶する。本当にわたしのことを好きじゃないのにそんなことを言わないでください、と言って。感受性の高い女である。
ところで回想シーンがさしはさまれる。かなり幼い頃からまことはかわいいものに興味があったのだが、母親は「男は男らしくあらなければならない」というような人であった。小学校にあがるとき、ランドセルも母親の意向で黒を選ばされた。
しかしかわいいもの好きな本質は隠せず、やがて母親がそれに気付いて激昂する日がやってくる。驚いたのは理解のある父親で、（えーと、一緒に暮らしてないよな？離婚でもしてるのかな？）そういう特殊なことを許容してくれる学校があるからそこへ行ってそこで女装してはどうか、母さんには隠すんだぞ、ということである。そういう事情と流れであったらしい。しかし、本当に父親の方は理解力が高くてびっくりする。
こないだ買ったドレスは破いて捨ててしまった。ハイヒールの靴も捨てた。しかしダンスパーティー当日、咲はそれが収集車に回収されるのを見て走り出す。取り戻すために走り出したのである。
いっぽう、まこと。決意し、誰かにウィッグを借りて、とりあえずスーツのままではあるが髪型を長髪にする。そして咲を探し出し、取り返していたハイヒールを履かせてもらって、その上、スーツとドレスを交換した。再び男の娘完成である。
で、結局、「自分はかわいいものが好きだ！そういう自分として生きていきたい！」と高らかに叫ぶのであった。
先輩はおとこのこ【2巻】感想
基本的にはゆるいテンポ、ゆるいノリの作品なのだが、描いているものは割と真摯な、前にも言ったけどマイノリティの立場の難しさというやつである。
いまのところ話の中軸はまことと咲の関係というより、まことの一家の母子家庭の描写に置かれているようだ。ただでは済まないと思うが、無事に「理解してもらう」ことができるのか、それともそんな安易な展開は選ばないのか。果たしてどういうものであろうか。
いまどき、女装ものなんて珍しくもないのだが、こうやって真面目に「少数者であることの難しさ」に対して挑んでいく姿勢は誠実でとてもよいと思う。
先輩はおとこのこ
「次にくるマンガ大賞2021」Web部門第3位受賞の話題作！可愛いものが大好きな男の娘・花岡まことは、後輩女子・咲に「まことが女性だと勘違いしたまま」告白される。そこで、まことは自身の性別は男性だと告げ「好きな人はできたことがないから」と告白を断ってしまう。しかし、咲は男の娘という事実に対して「男女両方の先輩が楽しめる」と喜んでしまい「先輩の初恋の人になってみせます」と、まことを振り返らせると宣言するのだった。
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