新シリーズをご紹介する。といってもまだ一巻が出たばかり。
目次
一級建築士矩子の設計思考【1巻】あらすじ
主人公・カナコ（矩子）は一級建築士で、自分の事務所を開いたばかりの二十代。夢は建築士で終わらず「建築家」として名を立てること。
そんなカナコの日々を描きつつ、建築業界のうんちくをちりばめていく作品である。といっても非常に専門性の高い高度な内容で、日常と業界うんちくの比率は1:9くらい。一巻には全部で9話が掲載されており、内容的にはほぼ各話完結なので、簡単に概要を説明していくとする。専門的な話の部分にはあまり触れない。素人の手に負えないし。
一級建築士矩子の設計思考【1巻】ネタバレ
1話 設計士の努め
矩子が事務所を開いた直後の話。事務所の隣はスナックなのだが、そこのマダム（といっても見た目は若い）の弟が新築の家を建てるとかで、図面を見せてもらうことになる。それを見たカナコの顔はシリアスになった。端的に言えば、欠陥住宅だったのである。問題についての長い説明が続き、その家の建築は結局取りやめることになり、マダムには感謝された。
2話 見えないものを見る力
いきなり「家を設計してくれ」という依頼がぽんと舞いこんだりはしないので、実際に建っているが図面が残っていない建物に直接赴き、図面を起こすという仕事をすることになる。そんなに悪くない物件だったという話なのだが、専門的な話が延々続き、しかしそれが面白い。説明が雑で申し訳ないが。
3話 目指すは遠い道程
社会科見学の子供が保護者連れで事務所にやってくる（近所の人）。ちょっと話を聞いただけで、その人たちの住んでいる家がどんな風であるかとか、あっけなく見破ってしまうカナコ。ほとんどシャーロック・ホームズである。
4話 悪いやつは2人いる
カナコんちの近くに高層ビルが建つことになった。高層ビルを建てるにあたっては法律的に難しい問題がたくさんあり、いろいろ大変なのだが、その大変をネタにした一編。ちょっとかみ砕きようがないのだが、この話でもカナコは「建築学探偵」みたいな活躍をする。
5話 江東区クラフトビール放浪記
1巻ではいちばん「日常」の色彩が強い内容。ほぼタイトル通りの内容である。ちなみに、主人公カナコはかなりの飲んべ。
6話 矩子現場で悪戦苦闘
まだ駆け出しの設計士だったころのカナコが、初めて設計した物件の現場に出入りして、しごかれていた頃の話。とんでもないパワハラ現場監督にぶつかったのだが、それなりにいい人でもあり、いろいろ勉強にはなったらしい。そして初めて設計した家が建ったことに関する感動なども描写される。
7話 設計事務所の1日
これも回想だが、6話よりは後の時系列。まだよその事務所で勤め人をやっていたころ、こんな家を建ててみたいとかあんな家を建ててみたいとか、そんな夢を膨らませていた頃の話である。
8話 矩子マンション総会に出席す
これも建築探偵っぽい類の話。建物は悪くはないが管理会社がなんかいまいちで、なぜか管理会社の肩を持つよくわからない住民がいて……実は、その住民はただの住民ではなく、その物件を建てた建築事務所（倒産済み）の元オーナーだった、という。その謎を解く話である。
9話 独立初設計
1話の続き。お隣さんの弟さんの物件の設計を結局任せてもらうことになった。しかし、非常に悩む。悩んだ末に答えを見つけて、自分の設計に辿り着く。そういう話。
一級建築士矩子の設計思考【1巻】感想
実はこの漫画の作者、本物の建築士であると同時に、かつてエロ漫画家として名をはせた人物である（あいにく読んだ記憶はないが）。それが建築の大真面目な漫画を出すというので、話題になったので読んでみた次第。
期待していた以上に面白かった。
書くのは大変だろうが、続きも出るなら読みたいところ。
一級建築士矩子の設計思考
古川矩子(こがわかなこ)は20歳で青森から上京。建築とお酒が大好きな彼女は7年間、設計事務所に勤めた後に独立。東京亀戸に“立呑み”併設の個人事務所を設立した。お金は無いけど、理想とお酒はある！心（じょっぱり）に、火をつけろ！知られざる『一級建築士』の実務が描かれる、唯一無二のプロフェッショナル物語！！『一級建築士』『1級建築施工管理技士』資格を実際に有する著者、魂の会心作！！！
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