『神達に拾われた男』、現状最新刊となる第4巻である。
神達に拾われた男【4巻あらすじ】
前巻の引きでは「ダンジョン攻略が続く」というようなことを書いたのだが、それは4巻の冒頭2ページで終わった。
そのあと、廃坑の土から鉄を回収して(鉄鉱山だったらしい)鉄のインゴットを錬金してそれを商人に売る話をつけたりだとかする展開があるのだが、そのへんは(伏線にはなっているのかもしれないが、今巻の話の動きの上では)そんなに重要ではない。
今巻は、この物語で初めて、「悪人らしい悪人」が出てくる。リョーマは苦も無くそれを退けるのではあるが、しかし身体に傷を負わなくても受けた心理的ショックは大きかった。これを機会に、リョーマは精神的に大きな成長を遂げることになるのである。
神達に拾われた男【4巻ネタバレ】
2ページで終わった戦闘訓練の話の後、リョーマは外に出てボタ山を見つける。ボタ山というのは鉱山などで発生する、残土の捨て場所に出来上がる土の山のことである。この鉄鉱山、鉄鉱石はもう出なくなっているが、そのボタ山には多くの酸化鉄が含まれている、ということをリョーマは発見する。
そこで、後日またそこにやってきて、土を回収して錬金の魔法を使う。まず土から酸化鉄を分離する。魔法でちょちょいのちょいである。
そして、酸化鉄を魔法で精製する。恐ろしいことにこれもちょちょいのちょいで、純鉄つまり純度100%の鉄を回収することに成功する。魔法とはげに恐ろしきものである。ちなみに「100%」となると地球人類の科学技術をもってしても不可能な水準であるのだが、それはまあ置いておこう。
しかし、いくらすごくても、この世界では純鉄を用いる技術などが存在しないので、あえて不純物を添加して(これも魔法でちょいちょいとやってしまう)、輸出品として売ることになる。
そのあと、廃坑で大規模なモンスター討伐が行われる。リョーマも参加するが、ギルドに大規模な依頼がかかって、大勢での仕事である。
たいしたモンスターはいないので楽な仕事ではあるのだが、ちょっとしたトラブルが起こった。リョーマたちが退治したモンスターの死体を拾い集めて回収し、小銭稼ぎをする子供の集団が現れたのである。
リョーマはそれを黙認するのだが、あとでその子供たちが結局別の冒険者グループとトラブルになっているところをリョーマは見つけてしまう。
リョーマが割って入って仲裁しようとしても、冒険者グループの方には話が通じない。なんと攻撃を仕掛けてくる。で、リョーマはそのリーダー格の男を怒りにまかせてぶちのめしてしまう。
そして後でギルドマスターに報告に行くのだが、そのリーダーだった男、サッチについてギルドマスターから話を聞かされる。サッチは昔は有能な冒険者だったが、ある時期から壁にぶち当たって昇進ができなくなり、やがてグレて新人の冒険者と徒党を組み、悪事を繰り返していたらしいのである。
ここで、リョーマは「スローライフ」的に送ってきた自分の人生を振り返る。少年の姿をしているが、リョーマの精神そのものは中年男性のそれである。このままのんびりした暮らしをしていてはいけない、自分を成長させるために旅に出よう、とリョーマは決意する。
そして例の貴族一家の人たちはそれを快く送り出してくれる。ここまでが4巻である。
神達に拾われた男【4巻の感想】
正直、無敵で万能な主人公がひたすら突き進んでいく作品かと思っていたので、この主人公が悩みを抱いたり成長を望んだりするというのは驚きであった。この先、リョーマにはどのような冒険が待ち受けているのであろうか。
神達に拾われた男
日本の中年サラリーマン竹林竜馬は、死後、三柱の神に協力を求められ、子どもの姿で異世界へ転生! 森で一人、のんびり暮らし始めた竜馬は、魔法でテイムしたスライムたちの研究にのめり込んで行き…。「小説家になろう」発! 意外と便利に使えるスライムたちと、まったり第二の人生を謳歌する、異世界スローライフファンタジー!