『逆転裁判〜その「真実」、異議あり!〜逆転特急、北へ』。これ単巻で一冊にまとまっているという作品なのだが、原作ゲームにもないオリジナルストーリーだというので人気ゲーム『逆転裁判』のファンとしてチェックを入れてみた。
なんでも、逆転裁判のアニメ版を放映したとき、オリジナルストーリーのエピソードがあって、それをコミカライズしたものなのだそうだ。ただし、ミステリ部分の監修は原作ゲームのスタッフが行っているそうである。
漫画「逆転裁判~その「真実」、異議あり!~逆転特急、北へ」あらすじ
弁護士・成歩堂龍一(ナルホド君)とその助手のマヨイちゃんは、銀星号という特別特急のツアーに招待された。送り主はナーリキン共和国の大富豪リッチナンデ氏。別にナルホド君はリッチナンデ氏の知り合いでもなんでもないので、なんで招待状が届くのかと訝しむのだが、マヨイちゃんが行きたいというから行くことになったのであった。
着いてみると、逆転裁判シリーズではおなじみの顔ぶれであるイトノコ刑事、そして裁判長(この人はレギュラーキャラなのだが名前がなく、いつもサイバンチョとか呼ばれている)も来ていた。チケットに当選したのだという。
漫画「逆転裁判~その「真実」、異議あり!~逆転特急、北へ」ネタバレ&感想
というわけでいわゆる、ミステリーものの世界ではおなじみの「豪華列車もの」が始まるわけである。
ディナーのあと、1号車のラウンジでくつろいでいると、そこに武装した人員がどやどやと押しかけてきた。ジャックされたのである。主導者は、なんと銀星号の持ち主であるところの大富豪リッチナンデ氏その人であった。
なんで列車の持ち主の大富豪が自分で自分の列車をジャックするのかという話だが、なんでもアメリカで殺人犯として死刑判決を受けてしまい、その濡れ衣を果たすために脱走、この銀星号を舞台に模擬法廷を開いて、自分の無罪を立証したいのだという。
いろいろと無茶苦茶であるので逆転裁判を知らない方は戸惑われるかもしれないが、このくらいの無茶苦茶は逆転裁判という作品の世界では割と普通のことなので、色々な疑問などはぐっとこらえていただきたい。
さて。模擬でも何でも裁判をやるからには専門家が必要である。弁護士はナルホド君。
裁判官は裁判長。そして検事は、裁牙由三郎。アメリカ司法参謀本部局なるところに勤めている日本人の検事である。
漫画の中では「知っている前提」の情報なのだが、さすがに知らない人も多かろうし、書かないわけにもいかないだろうと思うので解説する。『逆転裁判』の世界の裁判というのは、裁判長、弁護士、検事とそれに証人だけで、ごく短い回数(だいたい三回くらい)で審理を行い、即座に判決が下されるという形式を取っている。例外もあるがどこの国もそんな感じである。
さて、話の中で重要なのは列車が消失するトリックと、第二の殺人事件の発生である。列車消失トリックというのは、3号車にいたはずのイトノコ刑事が1号車に向かおうとしたら、2号車(食堂車)がなくなっていたというトリックだ。蓋をあけてみればなんのことはない、模擬法廷を開くために列車をいったん止めて車両の列の順番を入れ替えたためにそうなったというだけのことなのだが。
第二の殺人事件の方は、死体消失トリックである。こっちはさほど大がかりなトリックではなく、共犯者がいて生きた人間が演技をして死体のふりをしていた、というものだ。
リッチナンデ氏が死刑判決を受けた殺人事件の件も含め、すべての犯行の裏にいた真犯人は裁牙由三郎その人である。「検事が犯人なのかよ!」というツッコミは野暮なのでやめておこう。逆転裁判とはそういうゲームなのである。
全体としては、随分と込み入ったシナリオをよくもまあ単行本一冊に詰め込んだものだと感心する作品となっている。
逆転裁判~その「真実」、異議あり!~逆転特急、北へ
異議あり! 成歩堂の元に、大富豪のリッチナンデ氏から豪華特急「銀星号」の旅の招待状が届いた。相棒の真宵と列車に乗り込む成歩堂だが、銃を持った乗務員がテロを起こし…。要求はある事件の再審理。史上初の列車内裁判が開廷!!