作画:郷「キノの旅」4巻ネタバレ感想!偽物の国・嘘つき達の国・長のいる国・インタビューの国…4エピソード収録!

郷版キノの旅(4巻)

キノの旅である。であるので毎度の説明をしよう。キノの旅コミカライズ版は「郷」と「シオミヤイルカ」両名による二つのシリーズがあり、別々にナンバリングされていて、今回紹介するのは「郷」版の4巻である。以上、説明終わり。

郷版「キノの旅」4巻あらすじ

キノは旅人である。エルメスと名付けられたモトラド(注:二輪車。空を飛ばないものだけを指す)に乗って、諸国を渡り歩く旅をしている。短編集であるので、以上のことだけ説明して先へ進むとする。

作画:郷「キノの旅」3巻

郷版「キノの旅」4巻ネタバレ&感想

郷版キノの旅(4巻)

偽物の国

キノが「次の国に着いたらナイフを買いたい」とか言っている。別に戦闘用のナイフではなく狩った動物を捌いたり料理をしたりするときに使うただのナイフである。いいナイフだったけど研ぎすぎて刃が痩せてしまったのだそうだ。

「トレオン」というブランドのナイフで、いろんな国に流通しているらしいのだが、次に着いた国ではトレオンのナイフは売っておらず、あるのは粗悪な偽物ばかりであった。しかし、町外れで「トレオンの偽物の偽物」を作ってる職人がいて、それが非常にいい出来だったので、キノは喜んでそれを買った上に、行商人にその職人のことを道すがら教えてあげました。めでたしめでたし。

嘘つき達の国

実は正直言ってこの話あんまり好きではない。だがまずはあらすじを語ろう。ある国にキノが入国しようとすると、城門の外で暮らしている青年から声をかけられた。僕の恋人にどこかで会わなかったかと聞いてくるのだが、様子がおかしい。狂人のようである。

この国では五年前、革命が起こった。そのとき、例の青年には恋人がいた。革命は成就したが、実はその恋人という女性は身分と素性を隠していたこの国の王女であり、それを自分の手で殺害してしまったということで彼はおかしくなってしまったのだ。

以来、恋人はまだ生きていると信じ込み、誰かれ構わずその行方を聞いて回っているのだという。

と、というところで落ちではない。実は、青年の恋人だった王女という人は生きている。生きている上に、青年の世話係として今も一緒に暮らしている。真実を告げることをあえてせずに。

と、いうところでもまだ落ちではない。

実は青年は狂ってなどいないのである。恋人だった女性が生きていることもなにもかも知った上で、周りの人々の配慮に応えるために狂人のふりをして暮らしているのだと、こっそりキノに教える。というわけで、嘘つきの国だという次第である。

正直、美談というにはもってまわりすぎではないかなーという気がして、筆者はこの話はあまり好きではない。

長のいる国

時系列的にはおそらく、シリーズ中でもっとも古い話。ある国で、国の指導者が山賊団に攫われ、国に身代金要求が来るようになった。

それがあんまりしつこいので、山賊団を始末するための殺し屋が雇われた。若い女性。のちの「師匠」その人である。

で、山賊団を始末し、ついでに(諸事情あって)指導者も依頼された通りに始末したのだが、生き残りが一人。青年である。本人の申し出で、一緒に旅をすることになる。これが、師匠と相棒の青年の出会いのエピソードだというわけだ。

インタビューの国

なんともネタバレ説明のしづらい話である。あらすじだけ言ってしまえば、「キノが、立ち寄った国でインタビュー取材を受け、旅立った動機とか旅の心得とかを語るのだが、それがあんまり陰惨で生臭いので仕上がったインタビュー記事は嘘だらけの内容のものとして出来上がった」というもの。

全部説明するのはやめておくが、たとえば「旅の間に出会う他の旅人とのふれあいがどうのこうの」とか記事になっているのだが、キノが話したことの実際は「自分以外の旅人はとても危険です。銃を向けられたらその時点で射殺することにしています」といった具合。

笑えるといえば笑えるが、皮肉の効いた作品である。


郷版キノの旅(4巻)

キノの旅4 the Beautiful World

原作・著者郷 / 時雨沢恵一
価格638円(税込)

とある国へ入国したキノとエルメスを変な男が迎えた。「ぼくの恋人を知らないか」と聞くその男は、お付きの家政婦に連れていかれる。男と別れた後、町の住民たちから歓迎されるキノ。そこで、恋人の帰りを待つ男がこの国の英雄であったこと。そして彼のために、人々がある嘘をつきつづけていることを知る。人間キノと二輪車エルメスの旅の物語、電撃コミックスNEXT版第4巻!

今すぐ試し読みする