漫画「我らコンタクティ」ネタバレ感想!大人の青春・ロマンが詰まったSF的作品

我らコンタクティ

なんていうか……一言で言うと、「大人の青春」。そんなマンガだ。

漫画「我らコンタクティ」あらすじ

冴えないOLのカナエは、ある日奇妙な男に出会う。ストーカーかと不審に思うカナエだが、その相手は実は小学校の同級生、かずきであった。

かずきは「ロケットを打ち上げる」という途方もない夢を語り始める。宇宙人に映画を見せるのだ、宇宙で映画を上映するのだ、と言って。

はじめは「これ金になるかもしれない」というよこしまな思いから、かずきに手を貸すようになっていくカナエであるが、やがてかずきの誠実な人柄に触れ、本当にこの人の夢をかなえさせてあげたいという思いから、本当の意味でのかずきの協力者となることになる。

やがて仲間は四人となり、無人島からロケットを打ち上げるための準備も始められた。だが、横やりが入った。政府と警察からのもので、要するに法的に打ち上げは許可できない、というものである。

だが、法の目をかいくぐって、ついにかずきとカナエは打ち上げに挑む。その結果は……。

漫画「我らコンタクティ」ネタバレ&感想

我らコンタクティ

結果は。どうなるかは、書けば一言であるのだが、まあ言わなくても分かるだろうし、言わぬが花であろう。

さて。この漫画、表紙の一枚絵だけでは分かりにくいし、具体的にどういう感じであるのか説明するのも難しいのだがまず極めて絵柄が独特である。まったく「テン年代的絵柄」ではない。もしかしたら90年代にこんな漫画家がいたような、いなかったような、そういう懐かしさのある不思議な味のある絵柄だ。最も作者はこれが初長編作品という新人なのではあるが。

ストーリーについてもう少し掘り下げてみよう。残りの仲間二人のうち一人は、かずきの兄である。兄弟仲はあまりよくないが、喧嘩などもして、互いに歩み寄り、ついには仲間同士となる。打ち解けあって。要するに青春だということだ。

もう一人は女性。カナエと親しい近くのバーの店主であるのだが、実は放火魔、パイロマニアである。ロケットに火を放とうとしたところでひと騒動になり、結局、いろいろあって、なんか分かり合う流れになって、一緒にロケット飛ばそう、と和解する。パイロパニアなのだが。

この漫画はロマンに満ちた漫画である。やってることはSFではあるのかもしれないが、あまりSFとして真面目に考えるのはやめたほうがいいと思う。突き詰めていくと無理がありすぎるし破綻する。町工場の片隅でガラクタを組み立ててロケットにして飛ばすのは無理だ。現実のロケットというものの技術やら何やらの難しさからいって。

だがこの漫画はロマンなのだからそんなことは別にいいのである。「今夜星を見に行こう」みたいなノリで、「宇宙人に映画観せたいからロケット飛ばそう」と言い出す。そしてそれを実現する(あ、落ちを言ってしまった)。そういう漫画なのだ。

筆者は青春を描いた漫画が好きである。代表的な例としては以前にここで紹介したハチミツとクローバー などがあるが、これはああいうのとはまったく別種の漫画である。青春というのは本来、大人になったら戻れない場所、そういう場所であるはずだ。

だがこの漫画は違う。

いい歳で、子供もいたり、生活に悩んでいたり、そういう人たちが、何かに突き動かされるようにして、青春をする。

この漫画には善人や悪人は出てこない。打ち上げを妨害しようとする人々も単に敵や悪として描かれるわけではないのだ。

というか、青春というものを創作で描写するにあたって、こういうアプローチもあったのか、と正直なところ読み終えてそう思った。これは、なんとなく雰囲気は古いようでいて、実は新しい漫画なのである。

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