満州アヘンスクワッド【8巻ネタバレ】闇深い描写が目立つ…麻薬漬けで金を貪っていく!?

満州アヘンスクワッド(8)

漫画「満州アヘンスクワッド」第8巻。とうとうというか、やっと面白くなってきた気がする。

満州アヘンスクワッド【8巻】あらすじ

満州アヘンスクワッド(8)

大きな流れとしては、満州旗人たちを陥落させる。まあそのへんはいつも通りである。目的は、六千圓という高額の請求を工面するためだ。例の闇医者である。

だが、それはある意味今巻の主眼ではない。まず、前の巻から出てきているのだが昊天(ハオテイエン)という満州人の若者がいる。身分が低く、旗人の豪商のところで召使をやっているのだが、彼が麻薬密売の手引きをする。彼が実質的なこの章の主役である。詳しくはネタバレ欄で。

次は長谷川の暗躍である。これも説明すると長いから、やっぱり後で語ろう。

満州アヘンスクアッド(7)

満州アヘンスクワッド【8巻】ネタバレ

満州アヘンスクワッド(8)

まず、医者のところで勇がピンチになっているわけだが、医者は勇を庇う。「右眼に傷がある日本人が確かに来たが、そいつが勇という名前かどうかは分からないし、既に死んだ」と言ったのである。なるほど、と納得するそぶりを見せた長谷川だが、次の瞬間が怖い。「なんで勇という日本人が“右目”に怪我をしていると知っているんですか?」と来る。こいつ有能だ。というわけで、思いっきり怪しまれてはいるが、長谷川はその場は去っていく。

一方、昊天。好きな女(高貴な身分だけど貧乏な美女)がいて、彼女のためになんとか金策をしたいということで、麻薬密売に手を染めることになる。しかし、彼はいままでの登場人物たちと決定的に違う要素が一つある。麻薬を忌み嫌っているのである。

というわけで、めちゃくちゃ嫌々なのだが、主人が嫌な奴なのでとりあえず主人を勇の阿片で狂わせることにする。だが、想像以上にその真阿片が効くので、びびる。自分はひどいことをしてしまった、と思っている。で、やっぱりこんなことはやめよう、と思うのだが、好きな女が「借金のカタに身を売ることになった」と言い出したので、結局商売を続けることにした。勇にそそのかされて。

で、多少はしょるが満洲旗人たちは割とあっけなく陥落した。で、昊天はその女にものすごく感謝され(借金を代わりに返したのである。勇たちから得た金で)、なんかキスとかされている。でも幸せになれるのかなあ。ろくな未来が待っていない気がするなあ。

一方、前にも出てきた、日本人の阿片密売の大立者。最近何をしていたのかと思ったら、真阿片を自分たちでも作ろうとして模造品を作っている。新キャラクターも出てくる。マッドサイエンティストっぽい医者で、阿片の鑑定人だそうである。偽真阿片にダメ出しをしている。そのシーンはその程度。この人はまた出てきそうな感じである。いい味出している。

さて長谷川。例の病院にスパイを送り込む。家族を人質に取ってあるので、(長谷川にとっては)信用のおける駒である。スパイの人も苦悩しているが、家族が人質なのである。結局、そこの医者が勇を匿ったことは長谷川にバレてしまい、憲兵隊に踏み込まれた。というところで、次巻に続く。

満州アヘンスクワッド【8巻】感想

満州アヘンスクワッド(8)

やってること自体は最初からずっと一緒のはずなんだが、今巻はなんか非常に闇が深い感じの描写が目立った。

なんとなれば、主人公たちがすごく悪党然として描かれているのである。いや最初っから悪党なんだが、それを明確に描写しないできたものを、今巻はかなりえぐいのだ。「麻薬なんてよくない!やめよう!」という人とかもたらしこんで麻薬漬けにして金をむしり取っているのだから当たり前ではあるのだが。

というわけで、なんかずっと低調だったこの作品だが、とうとうピカレスクロマンとしての深い味が出てきたように思う。割と嬉しい。


満州アヘンスクワッド

満州アヘンスクワッド

原作・著者鹿子 / 門馬司
価格693円(税込)

「満州で一番軽いものは、人の命だ」時は昭和12年。関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇は、戦地で右目の視力を失ってしまう。「使えない兵隊」として軍の食糧を作る農業義勇軍に回され、上官に虐げられる日々を送るも、ある日農場の片隅でアヘンの原料であるケシが栽培されていることに気づく。病気の母を救うためアヘンの密造に手を染める勇だったが、その決断が自身の、そして満州の運命を狂わせていく…。

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