クライム冒険活劇まんが『満州アヘンスクワッド』第11巻である。
満州アヘンスクワッド【11巻】あらすじ
今巻から大連編が始まる。そんな感じ。
こんどは大連で客を捕まえてアヘンを売る、という話ではない。もっとスケールが広がる。世界に販路を広げる、つまり海外に密売するために、貿易港である大連に橋を渡そうと、そういう計画を練っているところである。
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満州アヘンスクワッド【11巻】ネタバレ
麻薬王里山が訪ねてきたところから始まるわけだがたいした話はしない。単純に「私と手を組まないか？」（彼の販路で真阿片を売りたい、ということらしい）と言われ、勇はそれを割とあっけなく拒絶してしまう。麻薬王の方は、「とりあえず今回はこれで」と言っておとなしく引き下がっていく。ドンパチが始まったりはしない。
昊天（医者の人の弟）についてはちょっとフォローがある。例の恋人の人、帰ってみたら阿片中毒になっていた。完全に廃人である。弟の人は看病をしているがもうダメそう。一緒に地獄に落ちましょう、みたいなことを言ってフェイドアウト。もう出てこなさそう。ぜんぶ勇たちのせいであるが。
さて、車を一台買い足して、一行は大連に向かう。行くだけなら簡単である。何をしに行くかというと、密貿易業者を探すのである。それも、単独で船や航路を手配できる、腕利きの業者でないといけない。
密貿易業者を探すこと自体は難しくはないが、質の悪い業者が多く、信用に値する人間を探すのは難しい。勇とリーファが夫婦者に化けて「宝石を買いたい」とか吹いて回ったところ、密輸を手配してやろうと名乗り出るチンピラは大勢いるのだが、どいつもこいつも話にならない。
それを酒場数軒で繰り返したところ、「密貿易を手配してやる」と名乗る青年が向こうから名乗り出てきた。「あなた方の運びたいものは宝石なんかではない。阿片の大規模な売り先を探しているのでしょう？」と言う。
リーファはその青年のことを怪しんでいるが（結論から言ってしまうと、こいつはどこかのスパイであるらしい）、とりあえずほかに当てはないので、仕事を頼むことになる。
ところで、大連にも地元のヤクザというのがいる。そこに、周がいた。周って誰？ってなる人もいるかもしれないが、だいぶ前の方で出てきて、勇のことを執念深く狙っているやつである。久方ぶりの登場とあいなった。大連のヤクザに友人がいたらしく、そいつらの力を借りて勇に復讐しようとしているようだ。何の復讐だか忘れたけど。
まあ11巻は話としてはそんなところ。
満州アヘンスクワッド【11巻】感想
昊天かわいそう。まあ彼は自分の意思で麻薬密売に手を染めたのであるから七割くらいは自業自得であるかもしれないが、恋人の人は巻き込まれただけであるわけで、本当に物語として救いようがない。同じタイミングで勇は弟や妹と家族だんらんをし、麻薬王を相手に「仲間がいるからどうちゃらこうちゃら」とカッコつけているのである。見ていてたまったものではない。
この物語は本質的にはピカレスクロマンだと思うのだが、そのへんについて描写が自覚的でないのがどうにもこうにも気にかかって仕方ないんだよなあ……。
とりあえず、一巻で敷かれた伏線として、勇が麻薬密売で暗黒街の帝王にまでのし上がるところまでは確定してしまっているわけで、そこに至るまではそんな致命的な失敗とかをすることもないのだろうし。
でも悪党であるのだから、もうちょっと自覚的に悪党然としていてほしい。主人公が麻薬を売って大儲けしているというのに、明るく爽やかに楽しくやっていられたのでは見ていられたものではないのである。なんとかして。マジで。本当に。
さて、ちなみに11巻には長谷川はまったく出てこなかった。生きてはいるはずなので、そのうち再登場するだろうけど。ではまた12巻で。
満州アヘンスクワッド
「満州で一番軽いものは、人の命だ」時は昭和12年。関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇は、戦地で右目の視力を失ってしまう。「使えない兵隊」として軍の食糧を作る農業義勇軍に回され、上官に虐げられる日々を送るも、ある日農場の片隅でアヘンの原料であるケシが栽培されていることに気づく。病気の母を救うためアヘンの密造に手を染める勇だったが、その決断が自身の、そして満州の運命を狂わせていく…。
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