『満州アヘンスクワッド』3巻である。ちなみに巻末に次巻予告があり、2021年5月発売とのこと。
満州アヘンスクワッド【3巻】あらすじ
主人公・勇は阿片の販路を確保するため、青幇(チンパン)との対立色を深めていく。表面的にはそれは、リー・ヤオリー(洋子)という女優を奪い合うという形を取ることになる。洋子はいちどチンパンに奪回されてしまうのだが、結局勇がそれをさらに奪い返すことになる。
一方、その間リーファは勇の阿片をダシに使って着々と映画会社を乗っ取りにかかっている。映画会社というのもチンパンの息がかかったもので、これをこの地での阿片商売の足掛かりにするという意図だ。
満州アヘンスクワッド【3巻】ネタバレ
映画会社を牛耳っていたチンパンの幹部は、名を周という長い口髭の中国人である。こいつが、まず行方不明になった(勇たちが匿っているのだが)洋子を探している最中、勇の部屋にやってくる。で、家探しをするのだが、トランクの中に隠れている洋子は見つかることはなかった。周たちは去っていく。
で、その後、洋子が「育ちの故郷が見たい」とか言い出して、子供の頃を過ごした町を訪れることになる。そこで、昔世話になったとかいう近所の中年女性に挨拶したあと、山の上から景色を見て、雨が降ってきたので山小屋へ。
雨に降られたので服を脱いで暖炉で乾かそう、ということになり、勇も一緒に脱ぎ、なんか当然の流れみたいな感じで二人は事に至りそうになるのだが(洋子は勇に惚れてしまったらしい)、邪魔が入る。周である。
例の中年女性に情報を流されたのだ。あっけなく二人して捕まり、軽く拷問されてすぐ洋子は降参した。勇の無事と引き換えに、映画会社に戻るというのである。
周はこの時点で、勇のことを「無関係な第三者の日本人」としてしか認識しておらず、彼が実は自分の属する組織が殺し屋まで雇って追っている対立組織の首魁(しゅかい)だということをまったく知らないので、勇には関心を失い、逃がしてしまう。
一方、リーファはその頃、映画会社に自分を女優として売り込んでいた。
女優が逃げて困っていることを知っているので、それを足掛かりの売り込みである。で、主演男優の男をたらし込み、阿片を吸わせて、廃人に変えてしまう。あとは言いなりである。
さて、戻ってきた両グループが合流し、そこで勇が拳銃を持って飛び出していこうとするのでリーファがキレる。事情は分かったが一人で何をどうするつもりなのか、と。
だが洋子の境遇に同情を寄せるリンが味方してくれることになり、結局勇は周のアジトを見つけ、そこに訪ねていく。爆弾を仕掛けた暗殺用の阿片煙管持参で。
周は、勧められた暗殺煙管には気付いた。しかし、そっちではなく、勇が持ってきたカバンの中に時限爆弾が仕掛けられていたことにはさすがに気が付かなかった。アジトは吹き飛び、勇は洋子の救出に成功する。
その後、乗っ取った映画会社を使って、一味は映画を撮ることにする。阿片の販売のプロパガンダにするための映画を。
最後に、爆弾で死んでいなかった周が「阿片王・里山柾(さとやま まさき)」なるしたたかそうな人物に会いに行く場面で3巻は終わりである。里山は、自分たちの商売の邪魔をするネズミが現れた、とか言っている。勇たちのこととみて間違いあるまい。
満州アヘンスクワッド【3巻】感想
ようやくエンジンが暖まってきたな、という感じで、右肩上がりで面白くなってきた感がある。
この漫画に出てくる、通常のものはともかく「勇の阿片」、描写が本物の現実の阿片とはあまりにも違うのがこの漫画の突っ込みどころであったのだが、いい加減慣れたし、この作品のこういうギミックなのだと思って納得できてきた気がする。
ところで最後の里山という人物はモデルは実在する。「阿片王里山」、という日本人が確かに満州にいたのである。もっとも、名前は違うし顔も変えてある。史実通りの動きをさせるわけにもいかないだろうから、まあそういうことにもなろう。
というわけで、次巻の紹介をお楽しみに。
満州アヘンスクワッド
「満州で一番軽いものは、人の命だ」時は昭和12年。関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇は、戦地で右目の視力を失ってしまう。「使えない兵隊」として軍の食糧を作る農業義勇軍に回され、上官に虐げられる日々を送るも、ある日農場の片隅でアヘンの原料であるケシが栽培されていることに気づく。病気の母を救うためアヘンの密造に手を染める勇だったが、その決断が自身の、そして満州の運命を狂わせていく…。
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