- 作品名:29歳独身中堅冒険者の日常(2)
- 作者・著者:奈良一平
- 出版社:講談社
- ジャンル:少年漫画
漫画「29歳独身中堅冒険者の日常」2巻のあらすじ
さて、一巻の続きで、リルイとヴェロニカがテレポーターで飛ばされてしまったところから話は始まる。
いちおう、危機的状況であるが、言うほど話的には煽られない。割とあっけなくハジメが二人を救出して、終わりである。
その後、村に市が立つ日が来る。着たきりスズメのリルイに(周囲の女性陣のアドバイスで)服を買ってやることになる。それと、正体不明の謎の卵を、怪しげな商人から買う。
次に、リルイが何か神の試練のようなもの(選別、と呼ばれている)を受け、新しい能力を目覚めさせる。水の加護だそうである。
さらに、新しい仲間が加わる。ドワーフの少女(というか、こちらも子供)、アニャンゴ。リルイと意気投合し、あまり戦力にはならないのだが、「仲間」ということになる。周囲の人々はもう既に完全にハジメをお人よしの苦労人くらいに思い始めている。
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漫画「29歳独身中堅冒険者の日常」2巻のネタバレ&感想
まず最初のダンジョン脱出から。このダンジョンは12階層の小さなダンジョンで、攻略法は確立されており、状況のリスクは測ることができる。
なんでも、モンスターが再ポップ(なぜモンスターが再ポップするのかは分からない。多分今後も説明されないのではあるまいか)したばかりで、地下深くの階まで飛ばされていると、ルリイは問題外として多少心得のあるヴェロニカの戦闘能力でも自力で戻ってくるのは難しいのではないか、ということである。
で、ハジメ(と、ヴェロニカの連れの奴隷)は、遭難者の救出に向かうこととなる。
リルイ一人が飛ばされたのであったら本当に危険だったのだろうと思うが、ヴェロニカは「こういうときどうすればいいか」をしっかりと把握していて、無理な動きをせず、救助が来るまで隠れて待つことになる。こういうあたりの描写の丁寧なリアル(現実的という意味ではないが)さには好感が持てる。
ところでヴェロニカは何をしにやってきたのか。いろいろあるようであるが(なんだか知らないが、用が済んだら帰るのかと思ったらその後も村に逗留している)、一つには、サキュバスの同族の子をハジメが拾ったらしいが子供なのをいいことにハジメが不埒な真似をしていないだろうか、ということを探りに来たらしい。
この問題については別の場面でも詳しいことが明かされる。ヴェロニカの差配なのであるが、ハジメの暮らしている村に新しい娼館が立つ。ハジメ(29歳・独身)はウキウキ気分で出かけていく。
その娼館はマジックアイテムを使って客を惑わし金を騙し取るインチキ同然の店なのであるが、ハジメはそれを見破ってしまい、商売の邪魔をされたヴェロニカにひどい目に遭わされる。
ひどい目に遭わせるのだが、ヴェロニカは同時に感心してもいる。「この店に来たということは、どうやら本当にルリイに手を出すつもりはないらしい」と。
リルイはサキュバスの子供である。夜の間はずっと大人の身体らしい。そして、社会的にも精神的にも、ハジメに依存し切った存在だ。
そういう漫画ではないからそういう展開にはならないが、もしも悪意があればどうにでもなってしまうわけである。だがならない。まあ、そういう漫画ではないので。
だがしかし、リルイ自身はどう思っているのだろうか?
これについても、この2巻からはっきりと明かされる。新キャラクター、アニャンゴとルリイは年回りが近いのもあって親友同士となるのだが、アニャンゴがハジメに冒険中危ないところを助けられて思わず「ポッ」となりかけたとき、リルイはあからさまに嫉妬して怒る。「友だちのもの とっちゃダメ」と言って、アニャンゴが恐怖を覚え、ハジメが「なんだか知らないがヴェロニカの匂いがする」と感じるくらいに。
なりは子供でも、本性はサキュバスである。奥底では立派に目覚めているのだ。あんまりラブロマンス的な雰囲気の作品でもないが、面白いこた面白い。
というわけで、話の方向性もおぼろげに見えてきたところで、次巻に続く。
29歳独身中堅冒険者の日常
仕事でダンジョンに潜った冒険者・ハジメは、お腹を空かせた少女・リルイと出会う。親に捨てられ、身寄りのない彼女を一人、放っておくことも出来ず──「俺の仲間になるなら泣くな!!」かくして始まった、二人の共同生活。しかしリルイは「ただの」少女ではなくて……!?
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