「グリコ・森永事件」インスパイアミステリ小説原作漫画、『罪の声』全3巻中の3巻。堂々の完結である。
罪の声【3巻】あらすじ
阿久津と俊也が接触する。阿久津の方が俊也について知り、自分から接触を図ったのである。俊也は情報提供を断って「出ていけ」と言うのだが……。
大雑把に説明すると、犯行グループの正体と、犯行の経緯のほとんどが明らかになる(もちろん、これの原作小説を書いた人が考えた空想上のシナリオだけど)。
結論を言ってしまえば犯行に関わった人間の多く(特に主犯が三人いるなかのその二人)は時効以前の問題として既に死んでいる。ひとりだけ生存者で阿久津が接触を図ることに成功した相手がいるが、それについては先で述べよう。
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罪の声【3巻】ネタバレ
3巻のざっくりとしたストーリー内容をご紹介!(※ネタバレを含みますので注意)
2巻紹介でもやらなかったが、阿久津の調査の進展の流れを細かく追っていくのはきりがないのでやめておく。重要なところだけ書くと、例の「し乃」の板前にまた阿久津が話を聞きに行く。そしたら、「俊也という人から連絡はなかったか?」というようなことを言われ、彼のテーラーショップに行くことになる。
前述のように俊也は供述を拒む。阿久津は、「あなたの叔父に会ってきます」と言ってまた英国へと出かけていく。で、1巻で出てきた英国の老婦人にまた会うことになる。
前回の調査のとき空振りになったのは「中国人」について質問したからで、その人物は中国人ではなく、俊也の叔父の達雄という人物だったのである(つまり日本人だった)。
日本人について説明を求めると老婦人はさくっと教えてくれた。その人物の所在についても教えてくれた。で、英国の地方都市まで会いに行く。「ギンガ・萬堂事件について」と話を切り出すと、達雄はだいたいのことを説明してくれた。
ここからは事件の真相(もちろんフィクションの)についての解説となる。
犯行について計画を練ったのは達雄で、計画を最初に主導したのは例の悪徳警官である。悪徳警官氏は、犯行に人材が必要なので青木というヤクザを仲間に引き込んだ。
犯行の内容は、簡単にいえば、「身代金は目的ではなく、株価を操作してそこから儲けを得ることが目的だった」というもの。なのだが、成功に気をよくした青木は、悪徳警官と達雄に分け前を寄こさず、さらに事件をまた起こそうとした。
で、達雄は途中で事件に関わるのを辞め、英国に逃げてしまった。悪徳警官の方はというと、途中で仲間割れの末青木に殺されてしまったらしい。
さて、まだ終わりではない。悪徳警官の子供二人、つまり犯行に使われた声の主、姉と弟なのだが姉の方は犯行グループの手で殺されてしまっていた。弟の方はなんとかすきを見て逃走し、ひそかに生き延びていた。
で、俊也は阿久津に連れられ、その男に会いに行く。私もあなたと同じであの事件に関わった子供の一人だ、と名乗りを上げる。
そしてその男と、俊也は一連の事件の真相を発表し、世間に名乗りを上げるのであった。終わり。
罪の声【3巻】感想
未解決事件をテーマに、フィクションを重ねて物語化するという作劇手法はそう珍しいものではない(たしか三億円事件についても似たような作品が存在するし、切り裂きジャックの出てくる二次創作なんて数えたらきりがないだろう)。
だが、それはそれとして、この作品はなかなかきれいに(可能な限り史実に基づいて)分析を重ね、物語として実在事件を換骨奪胎(かんこつだったい)することに成功していると思う。
唯一、ちょっとこれはどうかと思うのは例の「し乃」の板前があまりにも重要な役割を果たし過ぎていてデウス・エクス・マキナみたいになってしまっていることだが、まあ30年も前の未解決事件を解決しなきゃあならない手前それはしょうがないといえばしょうがないか。
3巻読破して、思わず原作を図書館で予約してしまった。というところで、紹介を終える。
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罪の声
京都でテーラーを営む曽根俊也。ある日、彼は父の遺品の中から黒革の手帳、そしてカセットテープを発見する。手帳には英文がびっしりと書かれており、さらに「ギンガ」「萬堂」という製菓メーカーの情報が。そしてテープに入っていた幼い子供の声は、31年前に起きた【ギンガ・萬堂事件】で脅迫に使われた録音テープの音声と全く同じだった。――「これは僕の声だ」。 実際に起きた未解決事件に迫るミステリー大作!!
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