新シリーズをご紹介する。といってもまだ1巻しかないのだが、コミックDAYSという講談社がやっている漫画配信サイトで連載している作品だ。
この世界は不完全すぎる【1巻】あらすじ
一見すると、異世界ファンタジーである。
いわゆる「それ系」の中世風ファンタジー世界で、「王の探索者(キングス・シーカー)」と呼ばれる探索者たちが活動している。主人公はその一人で、ハガという名の青年。だが、この作品は異世界転移とか転生ではない。書いてしまえば、この世界は人間が作った電脳世界、それも「VRゲーム」である。
ハガらキングス・シーカーたちはデバッガーとしてこのゲームにログインしたのだが、事故(?)のために現実世界に戻れなくなった人々である。そんな彼らが、異世界でどのように行動していくのか、それが作品のメインテーマとなる。
この世界は不完全すぎる【1巻】ネタバレ
ところはフェルナーク大陸南方に浮かぶクレボーン島の辺境、ベイル王国のそのまた僻地。二コラという少女の住む村が、ドラゴンに襲われた。ドラゴンは本来奥地に暮らすはずの、こんなところに現れるはずもない生き物なのだが、とにかく襲われたのである。
二コラはひとりの青年に助けられる。青年はハガと名乗った。
ドラゴンがなぜか岩にひっかかり、そのまま直進しようとしているのを見て、ハガはメモを取っている。二コラはハガのことを「モンスターの生態を調べる仕事をしている」のだと思うが、ハガは違うと言う。ハガは「世の中のこと全部」を調べているのだと。
ふたりは二コラの村に向かうのだが、そこにもまたドラゴンは現れる。
ハガはドラゴンを倒して二コラをまた助けたが、なぜかドラゴンとは無関係に、二コラの身体は燃え上がった。そこでハガは言う。
「これは負けイベントなんです」
「ホイモイドラゴンに無理やり勝っても、村が全滅するシナリオは変わらない……!それを調べるのが、僕の仕事なんです。僕はデバッガーなんです」
ハガらがこの「完全体感型VRゲーム キングス・シーカー・オンライン」から出られなくなってから、既に一年が経過している。デバッグのためにログインしたキングスシーカーは大勢いるが、1巻で確認されている限り、まだ真面目にデバッガーをやっているのはハガ一人であるらしい。
さて、二コラの死を見届けたあと、ハガはテントにいたのだが、そこに何故か、よみがえったのか何なのか、二コラがやってきた。二コラはゲームの中の存在、「NPC」である。
二コラは「探索者を追って村を出た」という新たな記憶を持ち、生まれなおしたらしい。で、ハガは放っても置けず二コラを連れていくことになる。
その後、ハガは他のシーカーと遭遇する。他のシーカーたちはデバッグの仕事を放棄し、この世界の中で快楽に溺れて暮らすことを選んだ者がほとんどである(ハガが女のNPCを連れているのを見て、お前も楽しんでるんじゃねえか、とか言っているところを見ると、NPCとの性行為も可能であるらしい)。「社長」と呼ばれるシーカーが、その集団の中心にいる。
各デバッガーたちは「デバッグストーン」と呼ばれる、仕事に使う端末を所持しているのだが、この世界を統括しているAIからハガは「他の、仕事をせず世界を荒らしているデバッガーたちのデバッグストーンを回収しろ」と依頼される。だいたい、このへんが本作品のメインプロットといった感じだ。
この世界は不完全すぎる【1巻】感想
この作品、どこで知ったんだったかな……ツイッターかな?
とにかく、基本設定自体はベタなのだが(VRゲーム仮想現実ものはそんなに珍しくはない)、主人公の目的が「世界のデバッグ」で、ひたすらに「デバッガー」であることに徹するところが面白い、と評しているのを見かけたので、読んでみて、こうしてご紹介している次第である。
で、実際に読んでみたら、想像していたよりは殺伐とした、エグめの話だった。が、面白いことは面白いと思う。とりあえず2巻の発売を待ちたいところである。
この世界は不完全すぎる
極秘に組織された調査隊「王の探索者」(キングス・シーカー)の一員である主人公・ハガ。この世のあらゆる事象を調べ、王命を受け旅をする探索者は村人からも尊敬されていた。任務の一環でドラゴンの襲撃から村を守ることに成功するハガ。成り行きで助けた少女・ニコラと世界を探検することになるが、ハガの真の目的は冒険ではなく…。
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