サザンと彗星の少女・上下巻、完結の下巻である。
漫画「サザンと彗星の少女(下)」あらすじ
下巻はおおむねまるっと、サザンとミーナ・並びにピクニック盗賊団と、地球征服をたくらむアグルダとの対決。
そして幕引きまでが描かれる。
漫画「サザンと彗星の少女(下)」ネタバレ
ピクニック盗賊団とサザンが関門を越えてアグルダの巨大宇宙船に乗り込み、そしてそれを知ったミーナが捕まっていた場所から脱走して暴れはじめるあたりが冒頭である。それを追跡カメラで監視していた者がいて、ピクニック海賊団と旧知のアウトローたちが映像を全宇宙に中継されるテレビ番組のようなものに繋いで、一部始終は地球も含めた宇宙各地で放映されるようになる。
戦いの中、サザンは水の流れるパイプに流されてしまう。あわや溺死、というところで、敵ロボットにそっくりだが敵意を持たない一体のロボットが助けてくれる。そのロボットもアグルダとゆかりのある存在なのだが、本人が言うに「私は私が残していった良心」なのであるという。
で、事情は一通り把握している良心ロボットが、サザンの手助けをしてくれ、ミーナのところまで送ってくれる。さらには、「船の一番前にいる私の本体」を壊してくれ、と言い出す。
良心ロボットと別れた後、サザンはミーナと再会する。ミーナは戦いを繰り返していてボロボロの身体で、それを背負ってサザンは走り出す。そしてミーナに、ここから脱出できたら一緒に地球で暮らそう、と持ち掛ける。
ミーナはそれを承諾するのだが、そこにアグルダが現れる。ミーナの攻撃でアグルダのマスクが外れるのだが、そこから現れた素顔のアグルダの目は、機械の目であった。アグルダは、AIというかアンドロイドというかなんというか、要するに機械人間だったのである。
アグルダの過去が語られる。彼はもともと地球で、平和目的で作られたアンドロイドであった。だが自ら感情を獲得し、地球人を救う為と称して暴走を始めた。その当時の彼には暴走している自覚もなければ地球人に対する敵意も無かったのだが、地球人は彼を危険なものを判断、処分しようとした。
どっかで聞いたことのあるような話だがそれは置いておこう。とにかく、アグルダはからくも宇宙に逃げだし、以来数百年、宇宙でスクラップを集めたり自分のクローンのロボットを作ったりして、地球に対して「復讐」並びに「救済」を行うことを画策していたのである。ミーナのエネルギーを手にすることはそのための手段であった。
さて、アグルダを撃破することには成功するのだが、それでも宇宙船は止まらない。一件本体に見えるアグルダだが、実はそれも「本体」ではなかったのだ。本当の本体はどこにいるかというと、「良心」のロボットが教えてくれたことがヒントになっている。つまり船の船首部分に、ボロボロの状態で置かれているのが本体であった。それに向かって、サザンは手榴弾を投げつける。
こうしてアグルダの暴走は止まった。だが、サザンの肉体にも限界が来ていた。命を落としてしまったのである。泣き崩れるミーナ。その涙が奇跡を起こした。これも本当にベッタベッタのコッテコッテだがとにかく奇跡は起こった。サザンは蘇り、力を使い果たしたミーナは普通の人間になった。そしてピクニック盗賊団と別れ、二人は地球へと向かう。ジエンド。
漫画「サザンと彗星の少女(下)」感想
東宝まんが祭りとかでやった1980年代の映画をコミカライズしたものだ、と言われたら素直に信じると思う。それくらい、良くも悪くも古い。だが、古き良き王道のSF、王道のスペースオペラである。
たまにはこういうコッテコテをコッテコテなりに楽しむのもいい。そう思わせてくれる作品であった。
サザンと彗星の少女
300年後の世界。破滅を呼ぶ生命体。巨大船の謎。他惑星へ出稼ぎに出ている地球の青年サザンは、ある夜、赤い髪の少女・ミーナと出会う。彼女は体内に強大な力を秘めており、そのエネルギーを狙って腕自慢の盗賊たちが次々と襲ってくるという。再会を約束した日、何も言わずに姿を消したミーナ。彼女を追う中で「破滅を呼ぶ生命体」の存在を知ったサザンは―オールカラー&フルアナログ作画!80’sの世界観で描く驚異の新人の圧倒的デビュー作!!