名状しがたきトランスラブストーリー、『おかえりアリス』最終第7巻である。つまり、この巻で完結となった。
おかえりアリス【7巻】あらすじ
えーと、あらすじをあらすじとして書いてしまうとほとんど何もない。というか、ネタバレをせずに語れるほどのあらすじがない。なので先に進んでしまおう。
作品名 | おかえりアリス |
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作者 | 押見修造 |
ジャンル | 少年漫画 |
内容 | 学園 / ヒューマンドラマ / ラブストーリー |
出版社 | 講談社 |
価格 | 550円(税込) |
巻数 | 全7巻完結 |
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おかえりアリス【7巻】ネタバレ
洋平と慧が「男を降りる」とかわけわかんないことを言い出したところからである。その場で、結衣が割って入って、そんなことできるわけないだろうみたいなことをとうとうと語るのだが、慧は「女だって降りられるよ」とか言い、さらに結衣にキスして黙らせた。結衣は蓮にたしなめられ、その場を去っていった。
慧のものすごく今更みたいな打ち明け話が、退院してきた洋平を相手に語られる。なんでも、幼稚園のとき、「自分はどうしてこんな肉体にとらわれてるんだろう」みたいなことを言った慧に対して、洋平が無邪気に「じゃあ体を交換しよう」とか言ったことがあったらしいのである。洋平は完全に忘れているが、慧にとっては忘れがたい経験であったらしいから、まあそうなんだろう。本人が言ってるんだし。
で、具体的にこのあと何をするかというと、慧は洋平に自分の髪を切らせた。男の髪っぽくはない。ショートカットの女の子みたいな髪型が出来上がった。そのあと、なんだかよくわからない観念的なシーンが延々何ページも続くのだが、正気に返った二人が二人して裸でベッドに寝ていたところを見ると要するにとうとうベッドインしたらしい。まあ、予想通りの展開ではある。
そのあと、どうやら慧は失踪したらしい。連絡は取っているらしいが、ずいぶんながいこと行方をくらましていたようだ。結衣と蓮とは洋平は連絡を取り合っているらしいが、慧は没交渉だった模様。
どこに行っていたんだか知らないが、日本に帰ってきたらしき慧(髪がまた長くなっている)に、洋平が「おかえり」と言って終わり。展開がどうなっているか紹介するという点においていえば、これ以上特に書くことはない。
ただ、問題が一つある。漫画としての作品が終わったあとに、作者本人による「あとがき」(漫画によくあるエッセイ漫画のあとがきではなく、全部文字の文章なのだが、それが実に5ページの尺にわたって展開されている)が載っているのである。漫画の紹介とは関係ないのでスルーしようかとも思ったが、いちおう目を通した。それについては、しかしあとは感想欄で語ることにしよう。
おかえりアリス【7巻】感想
この作品は多分そんなに長くならんだろうとは思っていたが、案の定であった。まあ全7巻は短いというほど短くもないが。
さてそれで、作者のあとがき5ページについてである。本人がはっきりと公言していることだから書いてしまうが、作者押見修造氏は、自身がなんというか「性的な自認に関する難しい問題」を抱えた人物なのだそうだ。世の中には「性同一性障害」とか「トランスジェンダー」とかあるいは「アセクシャル」とか、いろんな言葉があるが、具体的のそのどれである、ということまでは書いていない。というか、自分が具体的にどれであるのかがわからないから苦しい、という悩みをずっと抱えておられるのだそうである。
さて。
この『おかえりアリス』作中で延々繰り返されてきた「男を降りたい」というモチーフは、登場人物がただ演出としてそう言っているだけのものではなくて、作者自身の苦悩であるらしい。それが目的であるのはいいとして、ではどうすればいいのか?どうなれば解決するのか?それに対する暗中模索の中で、難産の末に生み出されたのが『おかえりアリス』全7巻だというわけである。
正直言って、筆者(この文章を書いてる人間)にはこの作品が「成功している」とは思えないのだが、「苦悩を吐き出す」ということそれ自体もまた芸術の一機能ではあるわけで……なんていうか、考えされられる作品だったなあ、ということは思う。その次第である。
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