麻雀漫画「笑うあげは」2巻のネタバレ感想!命を賭けた勝負であげはが取った行動とは!?

笑うあげは(2)

美しき盲目の雀士、「あげは」を主人公とした漫画の第2巻である。

笑うあげは(1)

漫画「笑うあげは」2巻のあらすじ

1巻同様、独立したエピソードが繰り返されるが、1巻から大きく変わったことが2点。まず例の編集者の青年、東(あずま)が、全エピソードに顔を出すようになっている。

そして2つ目、1巻ではシルエットだけの登場であったあげはの執事、橘吉花という若い女性が、サブキャラクターとして脇を固めるようになっている。

吉花はいちおう、麻雀が打てるのだが、弱い。下手である。とても下手である(一応書いておくが、筆者も麻雀は打てる。だから吉花の下手さが理解できる)。

「金を賭けるのは駄目」というポリシーの持ち主でもあるので、脱衣麻雀に巻き込まれて惨敗、ひん剥かれた挙句にあげはに助けられている。あげはは無敵なのでそういう役回りはできないので、貴重なシーンだ。あまり色っぽいというタイプではないのだが。

漫画「笑うあげは」2巻のネタバレ

それからもう一つ。2巻には、長さとしては前後編の2話からなるに過ぎないが、作中で一つの転機となる、大勝負の話が収録されている。端的にいえば、あげはが「命を賭けた勝負」に臨む話である。

しかも、対戦相手に有利な、牌の読み上げを一部制限するというルールな中で、だ。局が進むごとにルールはさらに厳しくなり、最終的にあげはは灯油を浴びせられた挙句手袋をさせられる。いくら達人でも、手袋をして盲牌ができる人間はいない。

どうするのかと思ったら、舌で手牌をざっと舐めて盲牌をしていた。人間業ではないと思うが、まあ理屈は通っている。で、オープンリーチからツモり上がって勝つのだが、その場を仕組んだ張本人(死病を患ってやぶれかぶれになっている中年男)に、火をつけられる。

というところで間一髪東と吉花が飛び込んできて火を消し、めでたしめでたしとなる。

かと思ったら、次の話で、あげはは吉花に麻雀で遊ぶ金を取り上げられて一文無しになっていて、東に金を借りたりしている。

漫画「笑うあげは」2巻の感想

笑うあげは(2)

麻雀というのは、多くの創作の題材になっている卓上遊戯である。

何故、碁でも将棋でもオセロでもなく麻雀が、阿佐田哲也という文豪を産み、専門の漫画雑誌まで定期刊行されるほどの人気を誇るのか。筆者の持論を簡潔に述べよう。それは、麻雀という遊戯が、未完成で、混沌としたゲームだからである。

将棋や碁は、ルールが洗練されており、隙がない。だから実力差が如実に出て、「遊び」が生じない。麻雀は違う。引きが良ければどんな下手糞でも達人に勝てる可能性を残しており、また、ルールが複雑怪奇なので、組み得る物語のプロットも多様である。

で、だ。漫画に描かれる麻雀には、もの凄く大雑把に分けて、二つの系譜がある。リアル路線と、超人路線である。この2つは必ずしも背反の関係ではない。超人的な雀士をリアル的な打牌で打倒する、という作品もよくある。

この漫画はといえば、完全に超人路線である。あげはは無敵だ。超人的な読みと、神がかり的な豪運を兼ね備える。こういうタイプの麻雀漫画キャラは、だいたい、人物そのものの魅力で魅せていくタイプが多い。

有名な例に、『アカギ』の名キャラクターで、本人主人公のスピンオフも出た鷲巣などがいる。

超人が超人であるのに、理由は必要であるようで、実はいらない。彼らも実際には普段は地道な練習の日々を送っているのかもしれないが、そんな姿は別に、観客には見せなくていい。天才はただ天才として、傲然とそこにあればいいのである。

また、麻雀漫画にはもう一つの類型がある。麻雀を描くために人間が登場する漫画と、人間を描くために麻雀が登場する漫画である。

この漫画が載っている『近代麻雀』誌はゴリゴリの麻雀趣味の人に愛読される雑誌であるから、前者も好まれる。が、後者にも魅力的な作品がたくさんある。また同じ名前を出すが、赤木しげるや鷲巣の人間的魅力を抜きにして、『アカギ』という作品を論じることはできまい。

で、この漫画はといえば、後者である。断っておくが、人間を描くために麻雀が登場する漫画というのは、「麻雀でなくてもいい漫画」という意味ではない。赤木しげるから麻雀を取ったら、ただの凡庸な青年しか残らない。あげはも、ただ盲人である彼女しか残らなくなる。そこにハマるピースは、麻雀でなければならないのである。

麻雀を打つとき、あげはは輝く。本人も言っている。

「麻雀は何一つ救ってはくれません」
「でも、それがあればほんの少しだけ人生は違ったものになります」
「生きていけます」
「生きていていいんです」

天才の持てる輝きが、凡人に与える希望もある。これは、そういう漫画なのだ。

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