『KILLER APE』、とりあえず現在のところ最新刊の3巻である。
漫画「KILLER APE」3巻あらすじ
ノルマンコンクエスト編の続き。スタンフォードブリッジの戦いは起こらなかったが、ヘイスティングスの戦いは(史実とは顔ぶれなどは異なっているものの)いちおう起こる。
すなわち、ハロルド2世+ハーラル3世、対ギョーム2世の戦いである。
哲平の描いた絵図はうまくいき、ハロルド2世の軍勢とハーラル3世の軍勢によってギョーム2世の軍勢を挟撃することに成功したのだが……そこで大きな転変が起こる。が、まずは最初から説明していくとしよう。
漫画「KILLER APE」3巻ネタバレ
ところで、まったく説明しないのも何なので一応書いておくが、22世紀の現実世界の方でも戦争が起こっている。詳しい解説がないので、誰と誰がどういう戦いをしているのかなどはよく分からないのだが。
さて、いつの間にやらハロルド2世にすっかり心酔するようになっている哲平、必死である。何が何でもハロルド2世を勝たせてやろう、としている。相手は仮想空間上に構築された人工知能みたいなものなのだが、そんなことはまったく頭にない。すっかり英国軍の一員に成り切っている感じだ。まあ動画配信のことを完全に忘れているというわけではないのだが。
ギョーム2世、前巻では顔見せ程度だったのが本格的に登場するのだが、これが実に冷酷な人物である。得意なのは人の皮を剥いで拷問することだそうだ。他人を征服し、屈服させる技能に関しては極めて長けている。
作中で解説されているのだが、ある街を支配下に収めたとき、ひとりの英国人がギョームの軍勢に対して反抗した。とっとと殺すべきだと部下は思ったのだが、ギョームは「その男に、二人の息子の兄と弟のどちらを処刑するか選ばせろ」と言った。選ばなければ両方殺す、というのである。
男は結局兄を選んだのだが、ギョーム2世はそれを受けて言った。「弟を殺せ」。これ以来、ギョーム2世に逆らうものは誰もいなくなったという。そういう人物なのである。
さて、細かい間は端折ろう。両軍はヘイスティングスの地で対峙する。そこでギョームは言う。ハロルド2世は、王の器ではないと。王位を継ぐ権利がどうとか言う話ではなく、人物の力量として王をやっていく能力が無いという意味である(ちなみに二人はもともと面識がある)。
何がしたくてそんな話をしたのかと言えばハロルド2世を兆発しておびき寄せるのが目的で、それはまんまと図に当たるのだが、仕留めるには至らなかった。ギョーム2世の軍勢はハロルド2世の軍の「シールドウォール」(哲平も参加している)を破ることができず、そうこうしている間にハーラル3世の軍が上陸してきて、ギョーム2世の軍を挟撃するかに思われたその時。
ハーラル3世に捕えられていたセバスチャンがこの王を暗殺し、馬にとってハロルド2世の軍に向けて突貫を仕掛けた。その捨て身の攻撃でシールドウォールに穴が開く。そこを見逃すギョーム2世ではない。英国軍は総崩れとなり、ハロルド2世は敗れ去ったのであった。
ちなみに、1話だけ3巻に挿入されているのだが、次の話は「フォークランド紛争」になるとのことである。
漫画「KILLER APE」3巻の感想
この作品のタイトル、「KILLER APE」だが、作中人物たちのことを指していると同時に、おそらくはこれが元ネタだろうと思われる理論がある。
キラーエイプ仮説。
1950年代に提唱された理論で、単純化すれば「人類はその祖先が残虐だったから繁栄し、そして今も殺し合いを好んでやっている」という理論である。
簡単に結論を言ってしまうと現代の進化論では否定されており死んだ理論なのだが、面白いところからネタを引っ張ってくるものだとは思う。この作品のタイトルとしては、実に相応しい。
KILLER APE
人工知能が極度に発達した22世紀末。突如、謎の飛行体「GAYLA(ゲイラ)」によってすべてのAIが停止した。人間の兵士すら一人もいない世界で、戦争勃発の危機を予知した大企業は、兵士の養成を決意。主人公・坂本哲平は「人が人を殺す」技術を学ぶために、歴史の中の戦場に飛ばされる。ミッションは「ナポレオンとの決戦」!? 『バンデット』の河部真道が放つ、驚天動地のSFバトルアクション開幕!!