『官能先生』3巻である。ちなみに、まだ完結ではない。
官能先生 3巻のあらすじ
さて、2巻の終わりで二人でデートの後バーに繰り出したところなわけだが。
単刀直入に言うと、バーでもいい感じの二人、結局鳴海の部屋でベッドインするところまで行く。
それはいいのだがこのあとかなり大きなどんでん返し的なものがあって、1巻と2巻の解説のときほとんど紹介しなかった要素が伏線に使われていたりするので、正直ちょっと頭を抱えている。
これ以上は何を言ってもネタバレになるので、ネタバレの項に進むとしよう。
官能先生 3巻ネタバレ
えー、バーでふたり男と女。男は女を口説く。いい雰囲気である。しかし、口説きはするものの鳴海は雪乃のことをどこか子供だと思っているふしがあるので、まんざらでもないという態度の雪乃に対し、「飲み終わったら家まで送っていく」とか申し出る。ところが、雪乃の方が鳴海を誘うのである。で、結局鳴海の家に行く。
んでベッドインして、愛を交し合うことは交し合うのだが、何故だかさっぱり分からないが最後まではしない。鳴海は一方的に雪乃を愛撫して満足させて、何故か劣情を抱えたままその思いを自作小説にぶつけ始めるのである。何考えてんだ。
さて、そのことについて雪乃がどうこう言うわけではない。問題は、翌朝、雪乃から発せられた一つの問いである。
「この部屋、奥様がいらっしゃることはありませんの?」
「以前、見かけましたよ、お子さんもいらっしゃるのでしょう」
鳴海は普通に本当のことを言う。「僕には姪がいるだけです 独身です」。
これを境に、雪乃の態度が激変する。本人が鳴海に打ち明けるのだが、雪乃は鳴海のことを既婚者だと思っていて、不倫関係に応じるつもりで鳴海に身体を許したのだという。
さらに、雪乃は自分自身についても打ち明け話をする。自分は出戻り、つまり離婚経験あり(バツイチである)の身であると。
どこまで本気で言ってるのかよく分からないが、雪乃は鳴海が妻帯者であるなら、つまり不倫関係で遊びの関係を求めてくるのなら身体を許すこともやぶさかでなかったが、真剣な交際をしたいというのならそれには応じられない、という。
で、3巻の間においてはその拒絶の状況が続く。雪乃は感情面ではやはり満更ではないように見えるのだが、とにかく鳴海を拒み続ける。
最後の方で、もう一つ重要なことが明らかになる。雪乃のかつての夫は、鳴海の知人であった。前の巻から出ているのだが、小説家で、鳴海が仕事で(つまり編集者として)担当しているその相手だったのである。
官能先生 3巻の感想
正直、予想外の展開の連続で混乱を隠しきれない筆者である。まあ、バツイチだったというのは、いい。驚きはしたが、別にそれ自体は問題のあることではない。と、鳴海も言っている。驚きはしたが、あなたが生娘ではないという理由で愛が損なわれたりはしない、というようなことをとうとうと語るのである。
まあ、そりゃそうであろう。これまでのキャラクター像からすれば、意外ではあるが、鳴海の言うことはもっともである。
ちなみに雪乃とその元夫であるが、幼なじみの関係みたいなものから自然と両家の意思で、みたいな流れで婚姻に至ったらしく、雪乃に恋愛経験のようなものが乏しいということ自体はやはり事実であるようだ。
雪乃が鳴海を拒むのは一つには、結婚と言うものにはもう懲りた、というものがあるらしい(本人がそう言っている)のだが、しかしこの物語、このまま終わるとも思えない。今後、二人の関係はまたどう転がっていくのだろうか。まだ出ていないが、4巻が楽しみである。
官能先生
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