一番最初に感想を書くが、「久しぶりに名作に出会った。」そんな感じである。
漫画「神様がうそをつく」あらすじ
主人公は七尾なつる、11歳の少年。サッカー少年で、この年の子供の言うことであるからどこまで本当に取るべきか微妙なところではあるがプロ志望である。
ヒロインの名前は鈴村理生(りお)。なつるのクラスメイト。勇太という弟がいる。この年頃にはありがちなことであるがなつるよりも背が高い。
ある日、ひょんなことからなつるは理生の隠している「秘密」を知ってしまう。秘密を共有する二人は少しずつ距離を近づけていき、そしてさらにひょんなことから、束の間の共同生活を送ることになる。
もちろんバレる。で、脱走である。小さな恋のメロディ(※昔の映画。愛の逃避行をする子供が出てくる)である。もちろん捕まる。しかし、二人の絆はそれでも途切れることなく続いてゆく。
漫画「神様がうそをつく」ネタバレ
なつるはある日、子猫が捨てられていたのを拾う。家に連れて帰るのだが、母親(ちなみに父親は病死している)が猫アレルギーなので飼う事ができず、そのまま外に連れて引き取り先を探そうかと考えていたら偶然、理生が弟を連れて買い物に出かけているのに出くわした。
で、引き取ってもらうことになる。ところが理生の家に行ってみると、家族は彼女と弟しか居なかった。子供だけで暮らしている家である。これが理生の「秘密」だ。大人の人に知られると児童相談所などに入れられてしまうので、このことは他人に話さないでくれと理生は言う。なつるは約束を守る。
ところでなつるはサッカー少年だが、最近赴任してきた熱血漢のコーチと折り合いが悪い。喧嘩になったりする。で、三日間の合宿をサボってしまう。サボるだけならともかくサボるという事実を親に告げていないので、寝る場所がない。野宿でもするか、と公園で弁当を喰っていたら、理生とまた偶然会う。うちに来る?と言われる。
ところで繰り返すがこいつらは11歳である。変な意図はない。……少なくとも大人が考えるような意味での変な意図は。
結局、なつるは親にも内緒で理生の家に泊り込んで一緒に生活することになる。なんと、布団は一緒である(無論大人が思うようなことは何もしないが)。二人とも、もう既に相手に対してまんざらではない。
ちなみに理生の親であるが、漁師で、アラスカでカニを取っているのだという。母親は昔逃げたそうだ。
その晩、庭から窓ガラスを叩く音がする。理生が異様にこれに怯える。なつるが様子を見に行くと、ただのクワガタであった。だが理生はまだ泣いている。思わず、なつるは理生を抱きしめてしまう。理生がなぜそんなにも怯えたのか、その意味については伏線である。
さて、町では縁日をやっている。浴衣姿の理生となつる、隠れも無いデートをする。なつるは完全に自分の恋愛感情を自覚するようになっている。
クワガタはまもなく死んでしまった。墓を掘ったのだが、埋め直そうとして庭をもう一回掘ったら、なんと人骨が出た。
てっきり父親の骨かと思ったら違う。祖父の骨だという。父親というのは実際には漁師ではなく、いわゆるネグレクトの虐待親で、祖父が姉弟の面倒を見ていたのだが死んでしまい、その死体を理生がどうすることもできなくて埋めたのである。庭に。
それが理生の第二の秘密である。やがて合宿をサボったことが家にバレて連れ戻されるなつるだが、その話は隠し通す。
学校にも居づらくなり、親とも気まずくなり、なつるは理生と駆け落ちをしようとする(弟連れだが)。しかし、小学生同士の駆け落ちである。うまくいくはずもなく、一泊未満で連れ戻された。姉弟は施設に入れられ、なつるはそのまま小学校に通う。
卒業のその日、理生から電話がかかってくる。そして言う。「わたしたち、また会おうね」。
漫画「神様がうそをつく」感想
小説ならばまだしも、漫画で一巻完結の名作を探すというのは本当に大変だ。なんとなれば基本的に、1巻完結の漫画というのは打ち切り作品である場合がほとんどで、計算して1巻に収める作品として描かれるものというのはほとんどないという事情が大きい。打ち切り作品が名作になる可能性はそう高くはなかろう。
この作品がどういう経緯で書かれ世に出たのかは知らないが、これは本当に、名作だ。二度言うが、心からそう思った。
神様がうそをつく。
転校先の学校で、同級生・理生の秘密を知ったなつる。少年と少女の、幼い恋と冒険の物語。――七尾(ななお)なつるは東京から転校してきた小学6年生。クラスの女子に無視され、サッカーチームの新任コーチともソリが合わない。そんな時、大人びたクラスメイト・鈴村理生(すずむら・りお)の、誰にも言えない秘密を知ることに……。夕立、お祭り、「とうふ」という名の白い猫。小学校最後の夏。ふたりの、ひそやかな冒険が始まる。
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