平穏世代の韋駄天達、第5巻。ゾブル帝国vs韋駄天の全面戦争勃発、という巻である。
平穏世代の韋駄天達【5巻】あらすじ
まず最初に、前巻の紹介でも少し触れた、王妃ブランディの企みについて。言うほどたいしたことをやっていたわけではなかった。
魔王や夫の皇帝タケシタにも内緒にしたまま、自身の実子である三人の子(当然全員が魔族)を、秘密裡に逃走させたのである。三人の子というのは、第一王子クライシ、第三王子バズ、第二王女ラキの三人。
ブランディは彼らに、異性の魔族のパートナーを一人連れて行くようにと命じた。魔族の血を絶やさないようにするため、というわけだ。
ちなみに、ミクもゾブル帝国の置かれている絶望的な状況を理解し、産婆ウメヨとその助手のメルクゥ(女の魔族)を連れて逃亡した。ウメヨの体内にいま男の赤ん坊が二人いるそうで、こっちも魔族の血を受け継ぐことができるわけである。
平穏世代の韋駄天達【5巻】ネタバレ
さて、リンとハヤトとプロンテアはそれとほとんどタイミングを同じくして、ゾブル帝国の首都に真正面から攻め込んだ。
ゾブルの軍の大将であるピサラがこちらにいるので、表向きの口実はピサラによるクーデタということになっているが、実質的にやっていることはほぼ虐殺である。降伏勧告はいちおうしたが、逃げ遅れた奴はそのまま死ね、とか言っている。しみじみやり口がえげつない神様である。
もっとも、ゾブル側もただやられるがままになっているわけではない。
魔族最高戦力の二人、皇帝タケシタと王妃ブランディの二人が応戦に動く。流れの中で、ブランディvsリン、タケシタvsハヤトの一対一の戦い×2という構図が生まれる。
ブランディは、正面から戦っても絶対に勝ち目がないということを認識しているので、かなり複雑なからめ手を使った。ブランディの能力は、自分の髪を伸ばして操り、それで他の生き物や死体などを操ることができる、というものである。
まず、雑魚っぽい魔族数人がリンに襲いかかる。リンはそれを一蹴するが、首を飛ばしてもなおその死体が戦い続ける。リンは困惑する。単に死体を操ってるやつがいるというだけの話なのだが、リンはなかなか気づかない。
破壊力などだけを言えば圧倒的なのだが、こういう頭を使った戦いになるといまひとつ頼りにならないリンであった。
一方、皇帝タケシタ。
こっちは割と正面から堂々とハヤトの前に出てくる。正々堂々と戦うかというとそれは微妙なラインで、ほぼ初手で放ってくるのが「両目に目つぶし」である。
ハヤトは視力を奪われた。もっとも、神であるので、目くらい当然再生するし、再生していない状態でもある程度までは周囲の状況を把握することは可能であるらしい。タケシタは慨嘆する。この戦いは我々の負けだ、そしてその敗因は「我々の認識不足」なのだ、と。
平穏世代の韋駄天達【5巻】感想
天原氏の原作作品(『33歳独身女騎士隊長』『貞操逆転世界』『異種族レビュアーズ』など)はどれも面白いが、本作品はその中でもトップクラスにワクワクさせられる内容である。
脇役まで含めてキャラクターがみんなイキイキしていて、みんなそれぞれに考えや思惑があって、でもそれでも運命というものはとても残酷で。といったような感じで、エッセンスの一つ一つに至るまでが筆者の好みのそれなのである。
アニメ版は既にコミック単行本よりもだいぶ先の方までストーリーが続いているらしく(正直に言うと視聴はしていない)、この先もいろいろと驚きの展開が待っているらしいのだが、筆者はいわゆる単行本派というやつであるので、また続きが出るのを気長に待とうかと思う所存だ。
平穏世代の韋駄天達
WEB漫画の傑作がWEB界のカリスマ2人の手で運命の再始動!! かつて、この世界は魔族に滅ぼされた。 近代兵器も通じない怪物魔族の前に、人類は滅びる寸前を迎えていた。打つ手を失った人間たちは救いを求めて祈り続けた。祈る以外に道はなかった。そして神は現れた。韋駄天と呼ばれる戦いの神。彼らは突如この世に現れ魔族を倒した。現在より800年以上昔の話である――。魔族を封じて800年。時は過ぎ…平和な時代に生まれた韋駄天=戦いの経験のない「平穏世代の韋駄天達」の前に再び、魔族が復活する。神・人・魔物の800年ぶり生存闘争、開幕!!!
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