今巻の予告に「邪悪な権力の魔の手が!」みたいなことが書いてあったんだけど邪悪なのは主人公たちでは?……といった感じの『満州アヘンスクワッド』9巻である。
満州アヘンスクワッド【9巻】あらすじ
物語そのものはあんまり進展しない。今巻は回想シーンが長い。誰の回想シーンかというと例の闇医者のお姉さんである。
あと、リンが延々と拷問を受け、いちおう最後のページで彼女の死体だとされるものが描かれているのだが……本当に死んだんだろうか?確証は持てない。
満州アヘンスクワッド【9巻】ネタバレ
今度は闇医者はリン(リンが勇と入れ替わりに闇医者のところで働いていたのである)を庇おうとするのだが、憲兵が容赦なく闇医者を殺そうとしたので、リンは自ら自首した。ちなみにスパイの人は殺されてしまった。人質だった家族も殺されちゃったそうです。かわいそう。
長谷川は「リンは生半可な拷問には屈しない」ということを見抜いたので、なんか秘密の道具みたいなものを持ち出してくる。凝った拷問具である。これでだめなら自分には口を割らせられないということらしく、じわじわと苦しみながら死んでいくという手法なのだが、それを時間をかけてやっていく。
医者の人も一緒に連行されてしまい、ノーマンに会いたくないか、とか言われている。ノーマンという人物が彼女にとって重要なのである。そのへんをいつの間にか調べ上げているあたり、長谷川は本当に有能だ。
で、ノーマンについて。ノーマンは共産主義者のカナダ人で、医者である。中国共産党を支援するために満州にやってきて、ついでに貧乏人の治療を善意でやっている。らしい。あまりにもいい人すぎてうさんくささを感じるのだが、少なくとも闇医者の人はそう信じている。闇医者の人はもと娼婦なのだが、ノーマンに拾われて医術を仕込まれた。恩人である。だがある日、ノーマンは日本の関東軍に連行され、それっきり行方知れずになってしまった。今巻ではそれ以上の消息は分からない。
一方、昊天。例の彼女と一緒に暮らし始めた。夫婦同然。ちなみに、阿片密売に関わっていることは教えていない。ある日バレそうになったがなんとか誤魔化した。
勇はというと、リンたちを助けにいこうとして仲間に止められている。武闘派の二人が行くことになるのだが、勇はボスだからそんなことをしていてはいけないのである。
さて、闇医者の人だが生き別れの弟がいる。引っ張るほどの話でもないので書いてしまうと誰かというと昊天である。闇医者を屈服させるため、長谷川は昊天を逮捕して連行する。何の罪状も容疑もない(と長谷川は思ってる。実際には麻薬密売に深く関わっているのだが)のに、しょっぴいてきて拷問にかけて、弟がかわいかったら関東軍に協力しろと闇医者の人に迫る。
一方、リンは拷問に屈しなかった。長谷川は諦めた。「口を割らせるのは無理なので殺してください」と部下に言う。部下が死体(?)を持ってくる。そのシーンで今巻は終わりである。
あ、昊天の恋人の人が昊天が麻薬密売人だと気付いてしまうシーンもある。忘れてた。
満州アヘンスクワッド【9巻】感想
勇たちにしても昊天にしてもリンにしても麻薬密売組織であるわけで、あまり同情の余地なんかなく、憲兵たちのやってることの方が社会正義という概念に近似していると思うのだがそれはそれ、リンほんとに死んだの?死んでる方がすごいと思う。たぶん死んでないような気がする。殺すには惜しいキャラクター造形だし。
前巻から引き続き、相変わらず闇が深い。いい感じである。麻薬密売人の話なんだから、そうであってくれなくてはいけないと思うのだ。ファンタジーじゃないんだよ。
満州アヘンスクワッド
「満州で一番軽いものは、人の命だ」時は昭和12年。関東軍の兵士として満州にやってきた日方勇は、戦地で右目の視力を失ってしまう。「使えない兵隊」として軍の食糧を作る農業義勇軍に回され、上官に虐げられる日々を送るも、ある日農場の片隅でアヘンの原料であるケシが栽培されていることに気づく。病気の母を救うためアヘンの密造に手を染める勇だったが、その決断が自身の、そして満州の運命を狂わせていく…。
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