血塗られた因習が生む和製ホラー！下川咲の漫画「魃鬼（ばっき）」ネタバレ感想

漫画「魃鬼（ばっき）」は新進気鋭である下川咲先生が描く純和製ホラー漫画。昭和時代の設定で四国の山脈奥深くにひっそりと佇む鬼釜村が物語の舞台。

これ、ちょっとカバーで損している気もするが久々のじわじわと恐怖を感じることができる良作だ。

話題となった柏木ハルコ先生の名作「花園メリーゴーランド」のように村の因習が絡み、主人公がトラブルに巻き込まれていく。ホラー要素が強く表情豊かなキャラ達の絵柄と展開が秀逸の漫画。

第1巻では5話まで収録されており、これから起ころうとする壮絶な恐怖を予感させてくれる仕上がりになっている。

漫画「魃鬼（ばっき）」登場人物や背景

物語は主人公である辻村修介（つじむらしゅうすけ）の母親が祖父の家を譲り受ける形で東京から四国の山脈の麓に位置する鬼釜村に引っ越してくる。修介自体、10年前にこの村で過ごしていた経験もあり、当時の親友が訪ねてくる。

そこから、災難もあり村の因習について知っていく。1巻は物語の背景や不穏な空気で今後のさらなる展開に期待できる内容となっている。

辻村修介（つじむらしゅうすけ）

この漫画の主人公。高校3年生。母親が祖父の家を譲り受けたことで鬼釜村へ引っ越してくる。都合の悪いことから目を逸らそうとする部分がある。

彼が今後、鬼釜村の悪しき因習にどう立ち向かっていくの大きな見所の一つ。

花菜・日菜（かな・ひな）

修介の妹たち。
花菜は非常に活発な子。
日菜は引っ込み思案で照れ屋。

ある事件をきっかけに日菜の性格は豹変してしまう。

蕪木春（かぶらぎはる）

修介の同級生で幼少期に遊んでいたこの村の親友。また鬼釜村の総代であり不穏な影のある人間。

千種（ちぐさ）

幼少期は修介、春と一緒に遊んでいた同級生。修介が引っ越した後、事故で家族全員を亡くしている。村や蕪木家の秘密を知っており、修介に村や春の秘密を教える。

漫画「魃鬼（ばっき）」ネタバレ

妹の死に直面する修介…

鬼釜村に引っ越してきた修介たち。
引っ越しを聞きつけた春が修介に会いにやってきて村の案内や立ち入り禁止区域など様々な事情を教えることとなる。そんな中、春に立ち入ってはいけないと言われた場所へ入ってしまう修介。そこには洞窟があり、禍々しい声が響き渡り、引きずり込まれそうになる修介と花菜。

その時、洞窟の入り口にあった札を取ってしまう修介。

翌日、春と日菜をつれて川へ釣りに行く修介。花菜は起きるのが遅く遅れて合流する予定であったが修介達の元へ行く前に札を洞窟へ返すために立ち寄る。

夕方になり、夜になっても戻ってこない花菜。翌日、花菜は洞窟へ続く階段で帰らぬ人となって発見される。

妹：日菜の豹変や千種からの警告

花菜の死後、日菜は長髪をバッサリと切り、花菜のような髪型にする。引っ込み思案であった性格もわざと花菜に似せるようにして明るく振る舞うようになってしまう。また時折見せる、何かに取り憑かれたかのような表情が恐怖を感じるのだ。

さらに物語が進んでいくと千種は村の因習、蕪木家の秘密について修介に教えてくれる。

ここでは読者も驚く驚愕の事実を知ることになる。

花菜を殺害したのは蕪木春。
そして、過去に千種の家族を殺害したのも蕪木家の人間だと修介に伝えるのだ。村には悪しき因習があり、取り締まりを行うのが蕪木家の役目。春を信用するなと修介に伝える。

鬼釜村に伝わる悪しき因習

鬼釜村には魃鬼と呼ばれる人の形をした厄神が取り憑いている。怒らせれば村に災厄をもたらすと昔からの言い伝えになっているようだ。

その魃鬼の機嫌取りのため、村では昔から娘を生贄として捧げる儀式を行っていた。作中の修介の言葉を借りれば「村を護るために人殺しを正当化」している村だったのだ。

さらに魃鬼は蕪木家に取り憑いていると千種は修介に教える。

最悪にも人間の娘を捧げる儀式は修介が引っ越してきた今夏に行われることが明らかとなる。生贄となる娘。それは千種であった。

そんな衝撃となる事実が明かされて次巻への幕引き。

漫画「魃鬼（ばっき）」感想

昭和63年が時代設定になっており、村には警察もいない。鬼釜村は蕪木家の総代によって行方が左右される構成になっている。村の勢力図としては余所者の修介と村の異端者である千種の2人に対して村全体が敵となるような感じだ。

修介が親友の春にどう立ち向かうのか…また姿を見せない魃鬼とは人間そのものなのか…或いは怪奇的で異形の者なのか…大いに見所のある漫画です。

まだ1巻ですが、じっとり絡みつく良質な恐怖を与えてくれる漫画「魃鬼」。ホラー・怪奇漫画が好きな方にお勧めです。是非、チェックしてみて下さい☆彡

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